2-2rep
夕方の宿場町、唯一のトレーニング室には、応援とも怒号とも取れる野太い声が響き渡っていました。
「全力を出しきれ!頑張れ!全てを出し尽くしてからの5レップ!そして更に5レップだ!!」
嫌がる私を、彼らはまるで羽虫でも扱うかのように指2本で摘んでここへ連れてきました。そして、私のBIG3を計測したのです。
彼らとの今までの過酷な旅で少しは鍛えられたとはいえ、私の記録は惨憺たるものでした。
• ベンチプレス(BP):25kg
• デッドリフト(DL):50kg
• バックスクワット(SQ):60kg
合計135kg。参加資格の200kgには、あと65kgも足りません。
大会までは後2週間。絶望する私に、彼らは恐ろしい笑顔で謎の呪文を唱え出しました。
「200マデナラ筋力アップヨリ、神経系ガ繋ガレバ、イケナイコトハナイ!」
そこからは、まさに地獄でした。
全身が悲鳴を上げ、関節が軋む音が聞こえます。食べる気力が無いと訴えれば、特製のドロドロしたスープを口に捩じ込まれました。おそらく、鶏肉を彼らの怪力で液体にまで粉砕したもの(鶏肉ジュース)でしょう。ほんのりと香るバニラの香りが余計に私を苦しめました。
そして10日後。再測定の日。
• BP:40kg
• DL:80kg
• SQ:100kg
合計220kg!
わずか10日で、私は「健康少女」の皮を被った「モヤシ」へと変貌を遂げ、参加資格をもぎ取ってしまったのです。
素直に喜べないほど衰弱し、口の端から鶏肉ジュースを垂れ流している私を、彼らは歓喜の雄叫びと共に胴上げしました。その衝撃でまた頚椎がズレそうです。
——お父さん、お母さん。
私は今、魔法よりも重力に魂を引かれています。
やっぱり、私は選択を完全に間違えたのかもしれません。




