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街に戻った私たちを待っていたのは、割れんばかりの喝采だった。
「聞いたぞ! あの白オークキングを、魔法も使わずに『棒』一本で仕留めたんだってな!」
「あぁ、あの娘だろ? 魔法を温存してあの威力……Sランクも夢じゃないぜ!」
(……違うの、あれは全力の加速魔法で、あとスクワットの遠心力が……!)
私の必死の叫びは、街中の歓声にかき消された。
そんな狂乱のムードを切り裂くように、銀色に輝く装備を纏った一団が現れた。
「フン……野蛮な連中が。魔法の都で、ただの腕力自慢で英雄気取りか?」
現れたのは、Aランクパーティー『ミスリルの翼』。
魔法と剣を完璧に使いこなすエリート集団だが、その目は私たち(主に裸の三人)をゴミを見るように蔑んでいた。
「おい、そこな魔女。貴様のような低レベルを連れている時点で、このパーティーの知性が知れる。……我々がこの街な相応しい礼儀を教えてやろう」
「……あ? 知性だと?」
アドニスの顔から、爽やかな笑顔が消えた。
「俺たちのモヤシちゃんをバカにしたな……? ガストン、バジル、準備しろ」
「おう。俺の流星錘が、あいつらの銀ピカの鎧を叩き潰したいって言ってるぜ」
「女神の御名において、無礼な魂は矯正せねばなりませんね」
一触即発。ギルドマスターの仲裁により、決着は「一対一の四番勝負」という形での決闘へ。
【対戦カード】
1.ガストン(流星錘) vs 氷結の魔剣士
2.バジル(メイス) vs 剛腕の盾騎士
3.ティミド(釘バット) vs 高飛車な天才魔女
4.アドニス(金砕棒) vs ミスリルの翼のリーダー
「ま、待ってください! 私、三番目!? 無理です、相手はエリートの魔女ですよ!?」
「大丈夫だ、豆苗。お前のあのスイングなら、魔法の障壁ごと相手をホームランできる!」
「鈍器を信じるのです、ティミ嬢。君の背筋は今、最高の仕上がりだ!」
「(……お父さん、お母さん。相手は本物の『魔法の使い手』です。バット一本でどう戦えと言うのでしょうか……!)」
コール・ド・ジムの円形闘技場。
知性と技巧の『ミスリルの翼』か、野生と質量の『ゴッドハンズ』か。
街中の住人が見守る中、運命の第一戦が始まろうとしていた。
——お父さん、お母さん。
私はついに、公衆の面前で「物理(物理)」を披露することになりました。
やっぱり、私は選択を間違えたのかもしれません。




