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暁の水平線  作者: NBCG
本編
83/97

74話 駆号作戦

高度機密指定、要人救難作戦。


「駆号作戦」。


駆の読みはクでもカリでもなく、指定された読みはない。


作戦参加総人数、不明。


作戦動員艦艇、高須賀海軍基地艦隊附属第一艦隊及び他四隻。


救難部隊本隊、全四六機。


攻撃部隊一時転用救難部隊、瑞守隊、星影四機。


偵察部隊一時転用航法嚮導部隊、隼翠隊、暉雲二機。


他、空中給油部隊、四〇機。


また、支援部隊及び機体数については詳細不明。


作戦内容、省略。


作戦開始日時、明海三九年、九月十七日、〇四〇〇時。


作戦終了予定日時、翌日午前。


現在日時、明海三九年、九月十七日、〇六〇〇時。


現在地、大津久海上空。


同空域下作戦機数、二六機。


もうすぐ、海岸線。


作戦全機に比べ、同行している機体の数が少ないのは、この二時間で墜ちた……のではなく、「後から来る予定」の、後段作戦機。


今回の作戦は作戦を行う距離が長いということと、星影と暉雲の航続距離が短いため、往路二度、帰路四度の計六回の補給、空中給油を行うこととなっている。


この内、本隊の空中給油部隊が行う給油は六回の内の四回、海から救難地点へ行き、海岸線を再び越えるまでの距離の分だ。


そして本隊の給油部隊が行う第一回目が今から行われる。


「各機、もうすぐ陸地だ。給油準備を開始せよ」


『『『了解』』』


「状況を再確認。各機、瑞守隊相坂機を基点として位置を再参照、参照位置に移動し、体勢を維持せよ。第一給油担当機らは給油用誘導灯を点灯せよ。給油担当に達する。搭載された探照灯の使用は隠密任務であるため、使用は極力控えよ。通常時と同様に、探照灯の使用により操縦者の視力に影響を与え得るため、使用の際は無線で使用の許可をとること」


先に述べたように、この部隊には司令偵察機、前線の司令部となる機体は無く、俺の機体が代用機となっている。


瑞守隊の指揮なら短くはない期間してきたが、二〇機を超える部隊の指揮などしてはこなかったが、なんとも楽なものだ。


「……zzZ」


横で眠るシゲのイビキが多少、緊張した空気を和らげていた。


重野が今眠っているのは決してサボタージュしている訳ではなく、長きに渡る任務であるため、操縦者は代わる代わる仮眠を取りつつ任務を遂行していく。


彼は長らく通信士をしていた時期もあったが、本職は副操縦士。


勿論操縦も出来る、俺ほど練度があるかと言われれば別だが。


「眠るのはいいけど、イビキは掻かないで欲しいな」


「確かに、せめて無線には入らない程度にしては欲しいか」


かと言って、操縦士が無言でいるのも眠気に襲われる恐れがあるため、今回は後方火器担当というよりも搭乗介助という役割となり乗っている間、おおよその時間を暇な状態で過ごす所沢が喋り相手となっている。


今もシゲのイビキを話の種にして語り掛けてくれている。


「おっと、給油完了か」


そうこうしている内に作戦は次段へと進む。


「第一給油担当機らは帰投せよ。高度計や座標のみならず、煤羅射軍にも気を付け、気を抜かずに生きて帰れよ」


『『『了解』』』


確率は低いだろうが、煤羅射軍とかち合う可能性も勿論ある。


確率が低いと言えるのは、近頃武器の供与や貸借で意図的に煤羅射に対して友好な姿勢をしていることが挙げられる。


そして恐らく政治的な話で伝わっている可能性はあるが、ここで俺たちがヘマをして大人数の民間人に認識でもされようものなら無視できないほどの通報が入ってしまうだろう、ということだ。


今まで随行してきた二六機のうち、一三機が帰投し、残りの一三機だけが継続して同行する。


瑞守隊と隼翠隊で実務部隊は六機だが、今いる機体の合計がこのような不思議な数になっているのは、この六機を補給するための給油機六機に加え、予備の給油機一機が随行しているためだ。


今回は補給について失敗していなかったため、きっかり半数がついて来られた。


「さて、綴点を越えたぞ。現作戦全機、すぐに山に入る。隠密は必要だが、死なないことも必要だからな。丁寧に飛べ」


未だ夜は明けず、暗闇を飛んでいる。


「ん?寒」


「起きたか。よくイビキ掻くほど寝られるよな、そんな椅子で」


「まあ……慣れかな。交代か?」


「いや、あと二時間だ」


「おやすみ」


「早いな……。おやすみ」


「お前らは本当この状況で普通に会話できるよな!?シゲに至ってはもう寝ようとしてるし!?」


「zzZ……」


「って寝てる!?」


「このくらいどうってことも無いだろ。戦闘機がいる訳でも、対空砲の中を進んでいる訳でもない」


「おおっとと。戦場でないにしろ、こんな状態で冷静を保てってのが無理があるだろ」


ザワは姿勢安定用の手すりに掴まりながらも横の変化する加速度に負けるように姿勢を崩しながら言った。


「そうか?」


「理不尽な状況に毒され過ぎてるよ、お前ら……」


ちょっと機体が失速しそうなギリギリの速度で四五度を少し超えるほどの角度に傾けて、旋回しているだけじゃないか。


「特に後ろから墜落の報告があった訳でもなし、そこまで理不尽でもないだろ」


「……帰りはこの旋回を待機席じゃなく、後方の射撃席でいないといけない可能性が高いということを考えると頭がおかしくなっちまいそうだ」


それに関しては頑張って欲しいと思うのみだ。

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