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暁の水平線  作者: NBCG
本編
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42話 爆破漁と七面鳥撃ち

明海三十八年 9月4日 高砂島南東部側 太平洋


『十二時の方向に不明機を多数、電探で探知。敵戦闘機である可能性が高い。注意せよ』


『こちら琴海。奴さん、こちらから見える位置にいる。大きさは小型から中型ほど』


嗚呼、その大きさならより高確率で戦闘機だろうな。


『不明機、複数の集団に分かれる。一部集団は左右に広がる』


『こちらからでも確認できる。これは……戦闘行動だな。いつでも戦闘できるようにしておけ』


俺たちは丸腰……ではないが、戦闘機のように真っ向から迎撃できる機体ではない。


前回もそうだが、戦闘機部隊の前線から俺たちや爆撃機部隊への前に敵戦闘機が現れた場合、迎撃装備の無い機体は逃げるしかなく、俺たちのように銃座がある機体はその兵器で迎撃する。


まあ、今回の部隊に付けられている爆撃機部隊の機体には銃座はあるが。


それにしても、機体自体は戦闘機ではない軍用機にとっては、戦闘機の戦闘域に入ることは危険極まりないのは言うまでもない。


機動性では明らかに劣り、最高速でも戦闘機に劣る機体は少なくない。


銃座から迎撃しようにも、銃座から攻撃出来ない場所から来られては、操縦士が周りの音や状況などから考えて、戦闘機の機動性より劣る機体での回避を行うしかなくなる。


『昨日より多い。気を付けろ。戦闘機各部隊、交戦を許可する』


これまた更に嫌な話だ。


昨日、こちらの戦闘機がある程度落としたと聞いている。


俺も涼風や大峯ではない機体が海へ落ちていくのをあの戦いの中で幾度か見たが、墜とした数を上回る機体を用意しているとは、恐れ入ったものだ。


イギンダ連邦軍はただの支援ということではなく、本当にマルシアが画策している何らかの計画に、重しをのせてまで踏み込んでいるらしい。


『戦闘機ではない機体は十分に気を付けろ。特に動けない哨戒機部隊はより一層注意しろ。こちらは上がれない部隊もいて、昨日より戦闘機が少ないからな』


そう、こちらの機体は未だ一機たりとも落ちてはいない変わり、戦闘機部隊の損耗も少なくはなく、多く被弾してしまった部隊もいたらしい。


そのため、再度の出撃を見送った部隊が一つあった。


その部隊は被弾が特に多かった部隊で、予備機を回すのを見送られた部隊だということだ。


つまり今は昨日より戦闘機部隊が一部隊少ない編成で来ている。


昨日でも落ちなかったとはいえ、離脱機自体はあったことを考えると、今日は被撃墜機が出ても可笑しくはないと思える。


『こちら瑞守隊服部機、目標探知』


逃げ回るばかりでいられない理由ができてしまったな。


『了解した。これから指定する領域を探索せよ』


俺たちの戦いが今、始まった。


……。


『予測位置を割り出した。爆撃機部隊各隊、爆撃を開始せよ』


爆撃機乗りらはあの数少ない爆撃回数で慣れたらしく、滑らかに爆弾が海にばら撒かれる。


『瑞守全機、探知なし』


昨日の投下の七割ほどの時間で仕留めたようだ。


ただ無暗に投下していた訳でもないようだった。


『全機、作戦終了。敵戦闘機を撒いて帰投せよ』


昨日までならここで安心して帰ることができたのだが―――、今日は違った。


『クソッ!まだついて来やが―――』


『うちの爆撃機部隊の二番機が墜ちた!火を噴いてる!』


昨日とは違い、敵戦闘機どもはここで退いてくれなかった。


先ほどまで爆弾を投下していた爆撃機の一機が黒煙を残して海へと没して行った。


「ザワ」


「いつでも」


所沢はこちらに一瞥もくれず、引き金に指を掛けた。


「……そうか。後方の確認もついでに頼む。他二人は姿勢を安定させておいてくれ」


「分かった」


「了解した」


確認し、操縦桿を握りしめた。


同空域 イギンダ連邦義勇軍


「昨日より戦闘機は少ない。防衛線を越えるたら鈍足が相手、ターキーハンティングだ」


『それまでにジャスパーを抑えて躱して抜ければいいんだな』


「そういうことだ」


ヒンテイが少しほど前にロールアウトさせた戦闘機、ジャスパー(Jasper)。


既存の戦闘機のヒュー(Hugh)や陸軍機ライナス(Linus)と比べ、順当に性能自体は上がっているらしいが、そこまで革新性や爆発的な性能上昇などは確認されていない機体。


ヒンテイが性能上有利であるというのは以前より変わらないが、我が国の機体の性能上昇率を比べてみると、こちらのエアラパイソンは前世代時よりも優位性は高まってきている。


『隊長、やはり居ます。例の新型機』


「見間違いじゃないんだな?」


『はい。ヘレナの中に、ヘレナと同じような速度で逃げる機体が。複数機確認していますが、そこまで多くは無いです。ヒンテイの編成機数から考えて、4機いるとみて問題はなさそうですが……』


「分かった。1機でいい。落としてみろ。マルシア海軍にでも頼んで機体を回収すればそれがただの観測機か偵察機、または爆撃機か。それとも何か新たな脅威なのかが分かるだろう」


『イエッサー。……狙われたな。失礼、ケツを狙う機を追い払ってからします』


「焦らなくていい。堕ちるなよ」

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