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暁の水平線  作者: NBCG
本編
27/97

24話 新型攻撃機

明海三十八年 5月27日 大浜綴帝國陸軍高砂軍司令部 新松試験飛行場 格納庫


異文化の風すら感じられないような森の中の陸軍基地の格納庫にあったのは、今まで見た中でも特に大きい攻撃機の姿が3台。


「大型旅客機や戦略爆撃機ほどではないにしろ、ここまでの大きさの攻撃機は……」


「使用用途が少し異なるらしいからな。にしても大きいが」


重野が冷静にそう分析した。


「胴体の下にあるのは……“アレ”か?」


「そうだな。しかし……攻撃機についているとなると、見ていて不思議な感覚になるな」


所沢が言った“アレ”とは……


「にしても……、迫撃砲か……」


そう、迫撃砲だった。


それは、砲口が機体の左に向けられたまま固定されているという、異様な雰囲気を放っていた。


「機関砲は撃ったことはあるけど、流石に迫撃砲は無かったからなぁ……」


そもそも海軍軍人の中で、迫撃砲を撃ったことのあるヤツがどれほどいるのか、という話だ。


所沢はこの機に乗るのにあたって、今回は爆弾を投下しなくなる代わりに、この迫撃砲の射手を担当することになっている。


元々、後方機銃手でもあるので、俺の機体に乗る中で、最も飛行機から銃砲を撃つ経験を有しているので、そうなったのは当然の話であった。


離れたところからでも分かる迫撃砲が印象に残るだけで、その他の装備もよく見ると目を見張るものでもある。


7.7粍旋回機銃が2門、20粍旋回機銃が1門搭載されている。


格納庫には他に換装し、試験するための他の武装も保管されていた。


迫撃砲程ではないが、20粍旋回機銃よりも大きいものがある。


どれがどれかは分からないが、そういったものも扱うのだと思うと、得も言われぬ感情が湧き上がってくる。


今までの攻撃機と異なる武装の特徴として、爆弾や魚雷が基本武装として数えられていないというものも、考えさせられるものだ。


一応搭載可能ではあるらしいが、主兵装でそれらを扱わない攻撃機と言うのはここ数十年でこの機だけかもしれない。


陸軍の航空機にはあまり詳しくないが、これが特殊な航空機として試作されたということは、この手の航空機の制式機体は作られてこなかったことは明白だろう。


皆が呆けるようにまじまじとその機体らを見つめる中で、陸軍将校が言う。


「どれほど見ていても良いが、不用意に触って壊すなどといったことの無い様に。それと、晩飯の時間までには食堂に集まらないと晩飯は無いと思え。では、これからは自由時間だ。解散」


その後、誰もがそこまで長居することもなく、自然と解散していったのであった。


6月1日 新松試験飛行場 滑走路


ここへ来たから数日、機関始動などの試験のみだったが、今日は遂に初飛行の日だ。


「回転数確認……ヨシ。液温……、適正。他には―――」


機関始動訓練で行った項目確認を行い、機関を始動させ、機体を滑走路へ移動させる。


「相坂機、滑走路に入った」


『こちら管制。相坂機、第一滑走路に進入したことを確認した。離陸許可はもう出している。機器の最終確認の後、離陸せよ。芙蓉機、第二滑走路に入れ。幟機は相坂機離陸後、第一滑走路に―――』


管制の指示の通り、機器類の最終確認を行う。


「……よし。相坂機、離陸する」


機関を回し、その速度を徐々に上げる。


四発全て回していると、攻撃機の星霜よりも早く加速している気さえする。


そして、車輪が滑走路を離れるのを感じた。


『相坂機、離陸を確認。そのまま速度を上げろ。秘匿空域からは出ないようにな。幟機、第一滑走路に進入せよ』


無機質な無線が響く。


『相坂機、高度制限を解除。次の指示に従い、機体の挙動を―――』


そして、暫くして、訓練が始まった。


同日 夕方 同滑走路


「これにて今日の演習は以上だ。解散」


なんてこともない、普通の訓練だった。


ただ、いつもより大きい航空機であるため、その挙動を覚えていくのは難しいと感じられはしたが。


庁舎 食堂


「暫くは飛ぶだけの訓練か……つまんねぇなぁ……」


所沢は晩飯を食べながら愚痴た。


「仕方ねぇだろ、所沢は。操縦や航法に通信、機上整備の担当は飛ぶだけでも仕事は山ほどあるが、射撃演習がなければすることなんてないだから」


「分かってるけどよぉ~~~」


「それにお前だけじゃなくて、他の火器担当も空にいるときは暇なんだから、一番機のお前が文句言うな」


「一番機は関係ないだろ~?」


「大隊の隊長機なんだから、お前が弛めば他の火器担当も弛むだろ、例え意識しなくとも」


「そうか~?」


正直俺もそこまできついことを言うのも面倒だし、なんなら今は陸軍の預かりだから言わなくてもいいとは思ったが、海軍に戻った時にこういうことを忘れて譴責されるのも癪だ。


「俺もこれ以上言うつもりもないが、もう少しはシャキッとしとけ」


「ふぁ~あ……、う~い」


隊長の心、隊員知らず。


というか、飯の最中に欠伸するなよ。


初期訓練はそもそも済ませてあるし、実際に実戦に出ていた部隊ではあるから、あと数日もすれば射撃演習も出来るはずだ。


そこまで気にすることではないのかも知れないな。

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