10.人との関連性で相手の態度は変わるもの。
〈獅子の瞳〉――魔具との関わりがあったと見るべきか、物事がつながりつつあると見るべきか、悩む前に情報を得たところで矢鮫組をあとにした。
その足でシュヴァルツ・カッツェへとやってくる。開店まではまだ数日あると聞いていたが、気の早い人が多いようで、店の前の花輪の数が増えている。これでは開店していると間違えてやって来る客もいるのではないのかと考えるのだが、もっとも利用している客層が近所の、それも商工会の男たちともなれば、間違えずともやって来ているのだろうと思えてしまって呆れるほかない。
店の扉をくぐるれば、カウンタでは開店準備に勤しんでいる遊慧の姿がある。店の奥では、のんびりと紫煙をくぐらせている霞と、必死に書き物に勤しむ千代がいた。これだけを見ていると、〈異端狩り〉として恐れられている存在なのかどうか、疑わしく見えてきてしまう。
でも、これが〈異端狩り〉としてではなく、彼女らの日常なのだろう。美加は微笑ましく見渡す。
「こんにちは」
声をかければ、遊慧は会釈で返してきて、霞は手招きをしてくる。千代に限っては、煙たそうに眉をひそめている。
まだここに来るのは二回目なのだが、毎回このような対応をされるのではなかろうかと今から予想してしまって、苦笑せざるを得ない。
「どう? 何か分かったことあった?」
霞は煙管の灰を灰皿へと落としつつ、尋ねてくる。猫がいなくなったことについての話をすぐに聞きたいところなのだろう。
美加は霞の向かいの席へと座った。千代が睨んでくるが、ここはあえて見ないふりをする。これも毎回のことになるだろうからこそ、今のうちに慣れておけば、ストレスに胃腸を痛めることもないだろうからだ――と考えつつも、じりじりと感じてしまっていて、今にも泣きたくなっているのは言うまでもない。
「猫がいなくなっていること自体に、事件性があるのか分かりません。〈獅子の瞳〉という物と猫に関連性があるようです。
それと、変死体についてですが、事件と見ていいようです。誰かによって殺害されたとのことですが――何かありそうな感じのことを言っていました。ただ、私にはよく分かりませんでしたけど」
「あら、そこまで調べているなんて。これじゃ、私たちの出番はなさそうね――いやいや、そうじゃなくて。保健所の人の中に、その手のことについて詳しく話せるような人がいたかなぁ。あそこは基本的に〝一般人〟のはずなんだけど」
霞はブツブツと呟きつつ、言葉をコーヒーとともに飲み込む。霞にとって思った以上の情報があったから怪訝に思っているのだろうか、美加は様子を窺うだけ。何よりも〝〈獅子の瞳〉〟についての話を得たことを訝しく思っているのだろう、と分かれば――
「あ、あのぅ、保健所の人から、そのぉ……」
矢鮫組の人から教えてもらった、と正直に話すべきかと考える。霞は〈異端狩り〉なのだから、ヤクザに教えてもらったと言っても物怖じしなさそうだから問題ないのかもしれない。でも、眞紀自身も言っていた〝一般人〟としての考えというものが、ためらいを持たせる。
ひとまず、〝矢鮫組〟としてではなく、もうひとつの言い方にすればいいのだろうか――
「保健所の方から猫愛好家の人を教えてもらって、話を聞いてきたんです」
「猫愛好家? 猫愛好家、ねぇ……。その人って、大きな家に住んでいて、いつも猫にまとわりつかれているオバサンじゃないわよね? ついでに、強面のお兄さんがわんさかといそうなところ」
霞はいとも簡単に答えへと辿り着いたようだ。千代も答えへと辿り着いたのだろうか、誰かを思い浮かべて顔を曇らせている。
これならば素直に答えた方がいいのだろう、と美加は頷き――
「はい、大きな家の、猫いっぱいの人で、怖い人がたくさんいました……」
霞の答えに対して答えた。となると、霞は矢鮫組を知っていると見ていいのだろう。和葉から〝この街の〈異端狩り〉である〟と聞かされたことがあるので、この街のことなら知っていて当然なのかもしれない。なら、普通に矢鮫組として挙げて話しても問題なかったということか。
「矢鮫のオバ様から聞いたのなら、分かるわ。というか、〈獅子の瞳〉は矢鮫のオバ様がしっかりと管理しているはずなのに。また猫たちにやられたのね。これだから私たちに管理を任せればよかったのよ。矢鮫のオバ様も頑固なんだから」
霞はやれやれといった口調で、煙管をくわえてぷっと吹いてから、火皿へと刻み煙草をつめていく。マッチを擦って煙草に火をつけた。紫煙が霞の困惑の心情を表しているというべきか、クネクネと天井へと舞い上がる。
「とりあえず、猫については分かったわ。今のところ、別件のようね。というか、事件に絡んでこられると困る代物だから、こちらで対処することになりそうね。いえ、こちらで対処しなければならないわね。そちらとは関係のないことだろうし。
さて、これからはそちらの抱えている事件について話しましょ。――でも、まだ何も掴めていないのよね。千代ちゃんの勉強に時間を使っちゃってね。なので、これから――いえ、もう少し経ってから、千代ちゃんを好き放題扱き使って頂戴」
ニマニマと笑みながら、千代の肩をポンと叩く。千代がとても嫌そうな顔でこちらを睨んでくるが、この際、いつものことなので「よろしくね」と言うだけだ。
「大変な事件なのですか?」
遊慧がコーヒーを持って尋ねてきた。コーヒーを美加の前に置くと、霞の後ろへと立つ。
淹れたてのコーヒーは、ネコジシ商会のコーヒーメーカで作るインスタントと、香りが明らかに違う。豆からしっかりと選んでいるのだろう。そして、淹れ方にしても全く違う。
先程カウンタの前を通った際にサイフォンを見た。やはり、喫茶店とあって、全てに拘っているということだろうか。そもそも、遊慧が拘っているということもあるのかもしれない。以前、遊慧と千代を自分の部屋へと泊めた際に、遊慧は朝早くからサイフォンでコーヒーを淹れていた記憶がある。
「そうねぇ。大変なのか、まだ分からないところだけど、十中八九〝大変〟になるんじゃないかなって見ているところね」
美加の代わりなのだろう、霞が答えた。
「そうなのですか。でも、無理はなさらないでくださいね」
遊慧はそれを告げるとカウンタへと戻ってしまう。美加に言ったのか、霞に仕えているからこそ霞と千代に言ったのか――何とも判断のしにくいところ。
しかし、事件に関して、関心のなさが伝わってきた。〈異端狩り〉じゃないから、魔具に興味を持たないのだろうか。それとも、単に淡白な性格なのかもしれない。
「いつもなら、あんなこと言わないし、話に入ってきたりしてこないのに。どういう心境の変化なのかしら。他人を気にする人じゃなかったのに。あなたのこと、気に入ったのかな」
霞はどこか嬉しそうに笑んでいる。だが、美加にはいつもの遊慧と変わらないようにしか見えない。でも、霞はずっと長く知り合っているのだから、霞の言うとおりなのだと見ればいいのだろうか。
「話が逸れちゃったわね。それで、犯人についてのことなのだけど、矢鮫のオバ様は何か知っていそうだった? ヤクザの姐御を引退したなんて公言しているけど、この辺りのヤクザは誰も矢鮫のオバ様に頭が上がらないのよ。だからなのか、色んな話が矢鮫のオバ様に今でも入ってくるのよ。どうでもいい話から、きな臭い裏の話まで」
「そ、そんなにすごい人だったのですか……。矢鮫組がこの辺りで最も大きな組織であることは、組織対策の担当の人から聞いたことがありましたけど。よくそんなところに行って、無事に帰ってこれたのだと、自分自身びっくりしています」
思い返すたびに、あの屋敷の、特に強面の男たちに身震いをしてしまう。眞紀自体は威圧をしてこないが、男たちは存在そのものが威圧しているようなものだ。それも、警察官が警察官としてあの屋敷へと入っていって、何事もなく帰ってこられたのだから、安堵の息をつかざるを得ない。
「アハハ、警察の人だものね。何かされるんじゃないかって思う方が普通よね。大丈夫よ。矢鮫のオバ様は怒ると怖いけど、義理堅い人だから」
美加の心情がそのまま霞に伝わったのだろう。霞のカラカラと笑う様は、眞紀と同じだ。
「それで、あの人は、〝傾奇者〟と言っていました。私には何を示しているのか分からなかったのですが」
「〝傾奇者〟? あの矢鮫のオバ様のことだから、普通に意味をとっても問題ないと思うけど――」
霞は首を傾げる。別の意味があるのか頭の中で模索しているのだろう。
「そんな派手な恰好の人って、この辺りにいたのかしら? 千代ちゃんはどう思う?」
うまく答えを導き出せないのだろう、千代へと窺う。千代は首を横に振るだけだ。
「矢鮫のオバ様に問い詰めたって、それ以上話してくれるとは思えないし。もしかしたら、本当にそれだけしかまだ知らないだけなのかもしれないし。
――しょうがない。ジョウくんに頼もうか」
ひとつ間を置くように紫煙を吹かしてから、言葉を紡ぐ。
「ジョウくん?」
「ほら、カズくんの友達にいるでしょ。色んなことを調べてくれる人」
きっと浄一のことだろう。和葉のように、名前を短縮して呼ぶのが霞の呼び方らしい。
それに、和葉が学生時代からのよしみで浄一に情報を頼むことがあるのは知っているが、霞も同じく情報を頼むことがあったというのは驚きだった。
世界はそれだけ狭いということか。それとも、浄一が多岐に渡って情報を与えている人物なのだろうと認識。
「あ、でもぉ、私の言うことを聞いてくれるかしら。駄目よねぇ。好まれてないし」
霞はやぁねとため息をついた。美加は、霞と浄一とのつながりを認識付けようとしていたがために、そうでなかったことに唖然とするだけだ。
◇
電車を乗り継ぎ、見知らぬ街にやって来て、最初に思うことは何だろうか――
知らないからこその不安。知らないからこその希望。正負どちらにも向かう心情がある。どちらを強く持つかで、今後の進む未来へとつながっていく。
――とでも言えばそれなりに着飾った言葉となるのだろうが、やはり〝現実〟というものは、物事を深く考えさせることも許してくれないのかもしれない。物思いに耽っている場合ではないだろ、と言ってくるかのようだ。
どんなに見知らぬ街にやって来たからといっても、変わらないものがある。それが〝現実〟として立ち向かってくるのだから始末が悪い。夏の気だるいむしむしとした暑さだけは、どこへ行っても同じだということだ。もう少し別の――過ごしやすさがあればと思うのだが、同じ日本で、さほど離れてもいない場所ともなれば、仕方のないことなのだろう。
電車で数駅行ったところにある〝神塚市〟と呼ばれるところ。自分たちの住んでいるところと大した違いはない。地名が違うだけの、住んでいる人が違うだけの、それだけのところだ。
五階から七階ほどの高さの建物が並ぶ通りは、閉塞感があり、その感覚に溺れそうになる。ひとたび風が吹けば、収束された生暖かい風が吹き飛ばさんという圧力で吹き荒れる。そして、その風に耐えることによって、より暑さが増すというもの。
こうもなると、暑さが憎い、としかいいようがない。
赤レンガの古ぼけた雑居ビル。そこが目的の場所だ。ネコジシ商会のある栗花落ビルも相当古いが、こちらも負けていない。小さな入り口は薄暗く、階段が入ってすぐのところにあり、人が一人通るのがやっとの狭さ。
その階段をゆっくりと上がっていき、最上階までやってくると、窓から入ってくる陽射しがとても眩しい。いくつも並ぶドアの前を通り過ぎていき、しみのある古い――汚いといえなくもない――ドアの前に立った。「茉神探偵事務所桜守分室」とネームプレートが掲げられている。
美加は手にしているメモ用紙を見やり――同じ名前が書かれているということで、ここで間違いないのだろうと頷いた。
浄一は水地という姓であるのに〝茉神探偵事務所〟となっているが、〝分室〟ともなっているということから、和葉がネコジシ商会の事務所を任されているように、浄一がここの事務所を任されているのだろう。〝桜守〟はこの雑居ビルの屋号で、そのまま分室の呼称としても使っているようだ。
呼び鈴を押す――反応がない。留守なのか、呼び鈴が壊れているのか、再確認のためにもう一度押した――また何の反応もなかった。
ここまで来ておいて、いませんでしたで帰るわけにもいかないだろうと途方に暮れていると――
「どこかで見覚えのある方が」
横から声がかけられる。見やれば女だ。
琥珀色の長い髪と瞳、透き通るようなまでの白い肌。男だけでなく女ですらも魅了するだろう美人。なので、美加は思わず見蕩れてしまったほどだ。
ただ、初見とは思えない。女の言葉と同じで、美加もどこかで見たような覚えがある。
「こんにちは。こちらには、何かご用でも?」
女が言葉を紡いでくる。美加はハッとなって「こんにちは」と慌てて返した。
「私は、その、何と言いますか、こちらの水地さんに――」
「浄一さんに、情報収集の依頼ですか?」
「えと、はい。で、ここへと来たのですが――」
呼び鈴を押しても誰も出なかった、と伝える前に、女はポケットから何かを取り出し、ドアの前に立つ。柴犬のマスコットと狐のマスコットが連なったキーホルダをくくりつけた鍵を挿し込む。
「誰も出ないのね。待ってね、今開けるから」
笑みを向けながらドアを開ける。
美加はキーホルダの狐のマスコットに、和葉が以前言っていた〝女狐〟という単語を思い出した。そして、ネコジシ商会の前ですれ違った女が、今目の前にいる女であることを気づいた。
こうして見ると、和葉がどうして〝女狐〟と称して嫌っているのかが窺い知れない。物腰が柔らかで、人当たりがとてもよさそうな美人さんだ、という印象を持てる。どこに嫌う要因があるのか、疑問しか浮かばない。
「さ、入って。浄一さんは、中にいるはずだから」
女が招き入れてくれるので、素直に従って入った。これほど好印象を受けるのだから、和葉が〝女狐〟と称するのはとても失礼だと憤慨しかない。ただ、もとより素直じゃない和葉のことだから、好印象をそのまま受け取れないのかもしれないと考えればこそ、何ともいえない遣る瀬無さが生まれる。
部屋はマンションの一室を間借りしているだけのようで、ネコジシ商会のような如何にもな事務所らしさが全くなかった。普通に人が暮らしていても、何らおかしくない部屋――実に至って普通の一室。雑居ビルと思ったこの建物そのものが、実は古いだけのマンションなのだろう。
女に先導され、奥へと向かう。キッチンも兼ねている廊下を通り、部屋へと通された。居間のようで、テーブルにソファ、とこれまた普通。ここのどこが〝探偵事務所〟なのだろうか、分からない。
女にソファを勧められ、美加がソファの前に立てば――
「浄一さん、浄一さん? お客さんですよ」
女は居間の奥、もうひとつ部屋が連なっているようで、呼びかけながら歩んで行く。間取り自体はそう広くないようなので、ここが居間なら奥は私室、寝室の類だろう。
女が襖へと手をかけて開ければ、僅かに見える隙間から男の声が返ってくる。何を言っているのかまでは聞き取れないが、女に返事をしているらしい。また、ベッドや机が僅かに見えた。
ここは〝探偵事務所〟というのは名ばかりで、浄一が住んでいるだけの部屋なのかもしれない。住居と事務所を兼用しているのだろう。
「浄一さん、また朝までやっていたんですか? もう、お客さんが来たのに、そんなんじゃ――ええ、お茶ぐらい私が淹れますけど――え? そ、そうなんですか……」
女の顔が次第に曇っていき、言葉途中にこちらを見据えてくる。それも、先程までとは違い、とても嫌なものを見ているような冷たい視線に感じられる。
美加は思わず息を呑んだ。何なのだろうか。そこまで嫌われるようなことをしただろうか。
女は俯き加減に、美加から距離を取るような形でキッチンのある廊下へと行ってしまう。
その態度は、間違いなく嫌悪だろう。あの人当たりのよさがどこにいったのだろうか。
「悪いね。わざわざ来てもらったのに、出迎えられなくて」
奥の部屋から眠たそうな顔の浄一が出てくる。今まで寝ていたのだろうか、寝癖のついたままの髪、服も適当に見繕った感じだ。
「さ、座って」
浄一は頭をかきながら、ソファへと座った。美加は浄一の向かい側へと座る。
「百合垣ならまだしも、君から仕事の依頼をされるなんて思いもしなかったよ。しかも、百合垣経由でなく、咲耶経由なんだから、驚きも二倍だ。ま、俺としては、どちらでも同じなんだけどさ。依頼されれば情報を渡す、ってね」
「は、はぁ……」
霞があらかじめ浄一へと連絡を入れてくれていたのだろう。となれば、シュヴァルツ・カッツェからこちらへとすぐに向かったので、連絡が入ってからもう一度寝ていたと考えられる。普通なら来ると分かっているので寝ないで待っていたりするのではないのだろうか。何と反応していいのやら、と困った顔で見るしかない。
わきより、静かに湯飲みが差し出された。
美加は会釈して「お構いなく」と返す――のだが、女が嫌悪感を真っ直ぐに向けてくるので、息を呑んでしまう。
どうして、ここまで先程と態度が違うのか。
「珠稀、ごめん。ちょっとお遣い、頼めるかな?」
「え? は、はい――」
浄一は女――珠稀を手招きで呼び寄せると、耳打ちをする。珠稀は相槌を打ち、最後に頷いたところで美加へと頭を下げると部屋から出て行った。
美加は黙って見送るだけだ。嫌悪感を剥き出しにする相手に、何を言っていいのか分からなかったからともいえる。
「悪いね。嫌な思いをさせたかな?」
珠稀がいなくなったところで、浄一は口を開く。
嫌な思いとまではいかなかったが、美加にとっては怪訝でしかない。
「珠稀――ああ、彼女は鳥羽珠稀といって、俺の手伝いをしてくれているんだ。人付き合いが苦手だけど、決して悪い娘じゃないよ。だからというか、態度が悪くなったのは許してもらえたらと思う。
あの娘は、珠稀は、ちょっと〝わけあり〟でね。咲耶に会わせられないんだ。珠稀は咲耶を敵視しているといってもいいね。向こうはどう思っているのか知らないけどさ。
ま、分かりやすく言えば、〈異端〉の分類に入るのさ。百合垣のところに出向いているのだから、〈異端〉というのはあえて言わなくても分かっているだろ? あ、だからといって、人に悪いことをするわけじゃないって、あらかじめ言わせてもらうよ。咲耶とつるんでいるのだから、珠稀が咲耶を敵視している意味も分かるだろ。だから、咲耶の伝でここへと来た君を警戒してしまっているんだ。あとでちゃんと話しておくよ。君は無害だってことをね。あ、でも百合垣とつるんでいるから、どの道、態度が直らないと考えられるかもしれないが。そうなってしまったらすまない、と今のうちに謝っておくよ。
――さて、本題に入ろう。君が今追っているのは、変死体の事件についてだったかな。捜査についての情報は君のボスにでも聞けばいいことだから、ここではあえて何も言わない。というか、直接聞いた方が確実な情報を得られるだろうからね。
ここで言うことは、実はまだ確定した情報じゃないんだが――」




