↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クロネコヤマネコ  作者: 葛飾タキ
Episode3.蒼い王
26/286

7.失念は時折悪魔を呼び寄せる。

 日が少しずつ傾き始め、西の空を朱色に染め上げていく時間になって、和葉は事務所へと戻ってきた。


 事務所に入るなり、出迎えたのは耳を劈くほどの高い声。

それも、和葉を事務所の外へと追い出してしまうのではないか、と思えるほどの重さを持った罵声だった。


 和葉は片目を瞑り、耳栓として人差し指を耳へと突っ込み、顔をしかめて罵声の主であるヘカテを見やる。


 ヘカテは和葉を親の仇だと言わんばかりに、一向に罵声を止めるつもりがないようだ。

むしろ、和葉が嫌な顔をしているからだろうか、より一層勢いが増していくのだ。

それも少女姿で喚きたてるものだから、〝喧々としたガキンチョ〟が騒いでいるとしか見えない。

駄々を捏ねる子どもと言ってもいい。


 その喧しさに鬱蒼としてきた和葉は――


「何なんですか?

 喚かれても、何が何だか僕にはわかりませんよ。

 そう至った理由を話してくれませんか」


 理由を話させて落ち着かせようとした。

しかし――


「あの女が来たあの女が来たあの女が来たあの女が来たあの女が来たあの女が来たあの女が来たあの女が来たあの女が来たあの女が来た――」


 両手を振り回し、矢継ぎ早に繰り返して言うのだ――叫んでいるといってもいい。

逆効果だったようだ。

だからといって、ヘカテをこのままにしておいても煩いだけ。

どうにかして落ち着かせなければならないが、このキンキンと頭に響く声を前に考えを巡らせている余裕はない。


「ああっ、喧しいです。

 あなたの喚き散らす声は二日酔いじゃないのに、二日酔いの頭痛のようなつらさがあるんですから」


 耐えに耐え切れず、愚痴がこぼれてしまう。

けれどもヘカテには何ら意味のない行為だ。

火に油を注いでしまったと口走った後に気づいた。


「和葉が留守番していろって言うから、大人しく聞いてあげたのに、どんな虐めなんだよ。

 あの女が来るなんて、聞いてないんだからね!

 それとも、アタシを虐めるために留守番させておいて、あの女を呼んだんだな!」


 キーッと牙を剥き出しにしている猛獣としか思えない勢い。

これでは手のつけようがない。


 和葉は困ったと眉尻を下げた。


「確かに、僕は留守番をするように言いました。

 それは、いつここに来客があるかわからないから、その対策のためにあなたに頼んだのです。

 契約はできずとも、接客ぐらいはできると思ったから頼んだのです。

 別にあなたを虐めるつもりなど、はなから考えていませんし、そんなことをして僕に何の得もありません。

 第一、あなたを虐めたとして、商人たる僕にどんな利益が生じるのですか?

 そもそも、あなたの言う〝あの女〟とは誰のことですか?

 そこからまずわからないのです」


 ため息を交えながら言った。

わからないからこそ尋ねたわけなのだが、どういうわけか火に油どころかガソリンを振り撒く真似をしてしまったらしい。


 ヘカテの目がつり上がる。

〈魔女〉ならぬ〝悪魔〟か〝魔王〟が目の前に君臨したかのようで、今にも口から火を吹きそうなまでに憤怒をあらわとしている。

ともなれば、〝悪鬼羅刹〟か〝竜(ドラゴン)〟か。


 こうなると和葉はヘカテの反応に訝しくことしかできなかった。

事情がわからないのだから、他にしようがない。


「しらばっくれるなよ、バカカズハ!

 あの女って言ったら、あの〝女狐〟しかいないじゃないか!」


 これぞ火の玉を吐き出したとばかりの怒号。

何もそこまで吠えなくてもいいじゃないか、と和葉にとっては逆に冷静になっていく。


「めぎつね?

 女狐というと、やっぱりあの〝女狐〟ですか?

 というか、何でまたあの〝女狐〟が?」


 〝女狐〟と称されて思いつくのは一人しかいない。

和葉がいつも情報を頼りにしている情報屋のところの珠稀のことだ。

昔から和葉のことを目の敵としているので、この事務所へは滅多なことがない限り来ることはない。

その〝滅多なことがない限り〟というものが、たまたまヘカテが留守番をしている時だったということか。

先月に訪れたばかりだというのに、そんな短い間に来るものかと疑問に思ってしまう。


「何で、じゃないよ!

 カズハが頼んだんでしょ!

 情報を持ってきたとかどうとか言ってたもん!」


 ヘカテがスチールデスクの上を指差した。


 そこには狐のマスコットが装飾された白いUSBメモリがある。

ネコジシ商会の所有物ではない。

情報屋の所有物で、決まって〝女狐〟が情報を持ってくる時のもの。


 和葉はなるほどと頷いた。

ヘカテの言うとおり、〝女狐〟がここへと訪れた何よりの証拠。

そして、情報を頼んでいたことを思い出した。


「――そうでした。

 確かに僕は〝彼〟に情報を頼んでいました。

 いつ情報を持ってくるのかの話ではなく、情報を得次第、こちらへと渡すように頼んでいたのです。

 今回ばかりは僕の失態ですね。

 次からはあの〝女狐〟と鉢合わせしないようにスケジュールを組みますので、そうツンケンしないでください。

 それに、僕だってあの〝女狐〟がここに来るとは思ってもいませんでしたよ。

 ただでさえ、僕たちを目の敵にしているような女ですよ、あれは。

 それが何度もここに訪れるようなことがあるなんて、誰が思いますか?

 〝彼〟が来るとばかり思っていたんですけどね。

 予想外でした――」


 和葉が状況を理解したからなのか、ヘカテが少しずつ落ち着きを始めてくれた。

とはいえ、喚き散らしていたために息は荒いままで、少しずつ息を整えようと深呼吸している。

それとも言うだけ言って、すっきりしたから落ち着きを取り戻しただけのことなのかもしれない。


 和葉はUSBメモリを手にした。

毎度のことながら、よからぬウイルスでも仕込まれているのではないかと勘繰ってしまう。

和葉の言う〝彼〟は信用に値するのだが、〝彼〟にいつもべったりなあの〝女狐〟は信用ならない。

過去にどんなことがあったのか知らないが、それを和葉にまで禍根としてぶつけてくるキライがあるのだ。


 ヘカテへと見やれば、これ以上言うこともないのか、部屋へと入っていってしまった。


 しかし、USBメモリがあっても、中身を閲覧するものがなければ何の意味もなさない。

ヘカテを呼び止めてPCを用意してもらおうとしたのだが、スチールデスクの上を再度見やれば、ラップトップPCがすでに置かれていた。


 椅子へと座り、ラップトップを開けば、すぐにも使える状態。

ヘカテが言われることをわかった上であらかじめ用意してくれていたようだ。

それとも、憤然としているところをあれやこれや頼まれることが嫌だからこそ、あらかじめ用意してくれていたのだろう。


 ラップトップへとUSBメモリを挿し込み、タッチパネルを操作してデータを展開させた。

ウインドウが開かれ、文書に画像、地図が自動で展開された。


「――情報を扱う仕事をしているとは聞いていますが……。

 数日のうちに、これだけの情報を集められるものなのでしょうか。

 我が友人ながら、この手際のよさは時折恐怖を覚えます。

 〝彼〟のバックボーンには、何がついているのでしょうかね。

 ――これすらも考えるのが怖いですね。

 考えないほうが身のためなのでしょうね……」


 和葉の歪んだ笑みにラップトップの液晶の光が当たり、陰影のせいと何とも気味が悪い。

いや、空笑いがより強調されてしまって、虚しささえ漂っていた。


「〝あの人〟が行方を晦ませてから、今日病院で会うまでの間――

 なるほど、咲耶霞の話と類似している。

 いえ、話を裏付ける内容ばかりでしょうかね。

 〈蒼い王〉は間違いなくこの街にあるようですね。

 それに、〝あの人〟の言っていた〝しゅめ何とか〟は、〈シュメッターリング〉のことでしたか。

 あの人たちは何を思ってか、〈蒼い王〉を偶像崇拝している人たちですからね。

 手に入れていたとしても、おかしくありませんか。

 チンピラ程度がどのようにして手に入れたのか、手に入れられるものなのか、疑う部分も残っていますが」


 多くの人が入り混じっている画像と、それに関連した書類に目を通し、立ち上がった。


 画面に映っている人たちは、皆一様に腕章をつけている。

〈シュメッターリング〉を表す蝶の模様。


 棚の前に立ち、自分のマグカップ――黒猫のイラストが描かれたマグカップを手にした。

視界の隅に別のマグカップを捉える。

三毛猫の描かれたもの。

ここ数日使われていないので、どこか寂しげに見えなくもない。


 じっと見据え――


「からかう相手がいないというのも、どこか物足りないというか――」


 ここで言葉を止めた。

「寂しい気がする」と続けようとしたことに気づき、何を言おうとしているんだ、と首を横に振った。

これでは美加にいつもそばにいてほしいと恋慕しているようだ、と否定したかった。


 決してない。決してない。決してない。

心の中で何度も呟いた。

全否定した。


 代わりに別の言葉を思いつき――


「詰まらないものです」


 飽くまで美加はからかって遊ぶ相手なのだ、と自らに強調して言い聞かせた。


 一度でも美加に〝そばにいてほしい〟なんて思ったことに対しての腹いせと言わんばかりに、マグカップへと乱暴にコーヒーを注いだ


 席へと戻ると、コーヒーをすすりながら画面へと目をやる。

続きに目を通していくと、〈シュメッターリング〉の構成員と思しき名簿を流し見ていく。

名前を知ったところで何の役にも立たないだろうということで、大まかな構成員の数を見ようというのだ。

ざっと百人を超えるかどうか。


 次のデータへと目を通すと、白矢を始めとした〈異端狩り〉に関する名前が連ねていた。

現在、街を出入りしている〈異端狩り〉のリストのようで、〈蒼い王〉を追っているだろうと思われる名前は結構な数がある。


 欄外に霞と千代の名前があるが、この街に滞在しているから一応という形なのだろう。

彼女らもまた〈蒼い王〉を追っているが、それを欲するために追っているのではなく、街の治安維持のためには〈蒼い王〉があると色々と事件を起こされることが考えられるから動いているのだろう。


 霞と話をしている時に、欲している様子がなかった。

霞が道化染みているのでどこまで本心なのかはわからない。

霞のことだからどこまでも疑わしいと考えるのが普通。


 だが、千代を見ても欲しているように見えなかった。

千代は霞と違って直情的過ぎるので、何を考えているのかわかりやすい。


 欲するよりも〈蒼い王〉なんてものがこの街にあるようだから仕方なく動いているように見えた。


 和葉は再び頭から〈異端狩り〉に関する名前に目を通していった。

白矢のような厄介な相手がそう何人いても困るので、〈シュメッターリング〉のように流し読みというわけにはいかない。

どのような危険な相手がいるのかを見定めなければならない。


「随分とピンキリな面々ですね。

 要注意は――依然、白矢のみと見ていいでしょうか。

 後は、咲耶霞がいる限り手出しのできない小物ばかりと見ていいでしょうかね。

 咲耶霞が現れれば、尻尾を巻いて逃げていくことでしょうから、特に気をつけるべきでもないようです。

 ――おや、この三人は……?」


 画面のスクロールを止めた。

気になった名前にカーソルを合わせた。

そのまま横へと見ていくと――「死亡」と書かれている。

全部で三人。


 画面を再度スクロールさせ、他の〈異端狩り〉の生死を確認するものの、この三人のみが死亡となっている。


 いずれも美加をさらった上に、白矢によって殺された男たち。

和葉は三人のことを知らないが、〝三人に襲われた〟と美加から、〝白矢に殺されたのは三人〟と霞から聞いているので、合致するのだろうと推測。


 他に当てはまりそうな三人はいないので、なおさら気づいたということもある。


 和葉の手が震えだした。

今にもラップトップを殴ってしまいそうな衝動に駆られる。

しかし、そんなことをしても何の解決にもならないので、ぐっと堪える。


「この人たちが……。

 いえ、私情はどうでもいいですね。

 今さら何を言ったところでこの人たちはすでに死んでいますし、無駄でしかありません」


 ラップトップから手を離し、ギュッと拳を握り締めた。


 一息ついて、手を開く。

力いっぱい握り締めたために白くなった手は、少しずつ血が通い始めて赤くなっていく。


 一応震えは止まった。

でも、鼓動が早まったのを抑えることはできなかった。

胸の中でわだかまっている感情が、鼓動を早めているようだ。


「――さて、僕の〝遊び道具〟をあんな目に遭わせたことに対しての憂さ晴らしは、どうしたらいいのでしょうかね。

 本来なら、この三人を散々いびり倒せばいいのでしょうが、すでに死んでしまっていますからね」


 マグカップを手にして椅子を回した。

ラップトップを背にしたままコーヒーをすする。

苦味がわだかまる感情を払拭してくれるわけなく、さらに苦汁を嘗めさせられているような、嫌な思いしか出てこない。


 目の前の窓の向こうは日がすでに沈んでしまったようで、暗闇が広がっている。

事務所の明かりが邪魔で星空を見ることが叶わなかった。

くすんだ夜空としか映らなかった。


 あの暗々とした空は、まるで和葉の今の心境を表しているかのよう。


「――ああ、そうです。

 元はといえば、〈蒼い王〉がこの街にあるからいけないのです。

 となれば、〈蒼い王〉をどうにかしてしまえば、二度と起こることはないようですよね」


 フムフムと自分で言って、自分で納得して、コーヒーをすする。

目を細め、窓ガラスに映る自分の姿が如何にも悪者染みた顔をしているものだと自ら嗤った。


 そして、霞に向かって啖呵を切ったことを思い出して、なおさら〈蒼い王〉をどうにかしようという気にもなる。


「――素直に、ミカが酷い目に遭ったのが腹立つって、言えばいいのに」


 ヘカテの声、笑い――和葉は硬直。

ヘカテは部屋へと戻ったのではないのか、事務所には自分だけではないのか、確認すべく見やった。


 ヘカテの部屋へと通ずるドアは半開きになっていて、ヘカテが半身を覗かせてこちらをニタニタと笑いながら見ている。


 和葉の口元が歪み、ヒクヒクと引きつった。

何というところをヘカテに見られてしまったのだろうか、と嫌悪するほど。


 今すぐにでも穴を掘ってヘカテを埋めてやりたい。


「い、いつから見ていたんですか?」


 喉が強張ってしまって、声も詰まりそうだ。

平常心を装っているのだが、声が僅かに震えてしまっている。


 だから、ヘカテの笑いも顕著になっていく。


「ミカのことでイライラしているところから」


「ハハハ、僕のどこが〝イライラしている〟んですか?」


 あまりにも乾いた空笑いにあからさまなぎこちなさは、それだけ動揺してしまっている。

むしろ、恥ずかしさが押し寄せてくる。


 それがまたおかしいのだろう、ヘカテのニタニタが止まることはなかった。


「アタシは止めないけどね。

 ミカがいないと詰まんないし」


 ヘカテは笑いを残したまま部屋の向こうへと消えていった。

和葉よりも優位に立ったことが何よりも心地よかったのだろう。

満足したということか。


 和葉はがっくしと肩を落とし、ため息をつき――


「やれやれ、要らぬところを見られてしまいましたね。

 ともあれ、〈蒼い王〉は〈鎮魂(たましずめ)〉すべきでしょうし、理由はあとでいくらでも作れます。

 〝蝶のチンピラ〟どもには悪いですが、僕の憂さ晴らしの相手になってもらいましょうか」


 和葉の顔がより悪者として歪んだ。

今にもクックックと喉を鳴らして笑いそうだ。


「さて、この情報の一部を咲耶霞へと渡して、〝借り〟を返してしまいましょう。

 その上で僕たちが〈蒼い王〉を〈鎮魂(たましずめ)〉してしまえば、万事解決です」


 椅子を回してラップトップへと向き直ると、いくつかの情報を選別して「印刷」をクリックした。


 部屋の隅の人の目すらあまり届かないだろう薄暗い空間から、機械の駆動音が鳴り響いた。

据え置きのプリンタなのだが、如何せん古いのか、随分と面妖な音を奏でる。

印刷した紙を吐き出すのは当たり前なのだが、それ以外のものも吐き出すのではないかと思うほどに、嘔吐する音に聞こえてしまう。

実に汚らしい音ともいえようか。


 印刷が終わるまでの間、和葉はコーヒーを飲み干した。

嫌な音を聞きながら――でも、聞き慣れてしまったのか気にもならない。

素っ気ない顔をしながらのコーヒーは、さらに苦味が増したようにも思えた。


 プリンタが静かになった。

印刷が終わったようだ。


「さ、ヘカテ、〈蒼い王〉を〈鎮魂(たましずめ)〉しに行きますので、準備を――」


 マグカップを置いて、部屋へと歩みを進めたところで、ヘカテが都合よく出てきた。


 少女の姿から大人へと変貌しており、迷彩服をまとっている。

その西洋の映画女優よろしくと言わんばかりのスタイルのために、豊満なまでの胸が上着のファスナを最後まで閉ざさせてくれないのか、胸元が開けられていて谷間が僅かに覗ける。


 手にはブルパップ式のショットガン――H&K CAWSが携えられており、これから戦場へと向かおうと言わんばかり。

よく見ればブーツに拳銃が仕込まれている。

覗けるそれはスチェッキンのグリップ。

腰にはアタッチメントがあり、スチェッキンの予備マガジンが備えられており、あとはショットシェルの覗けるマガジンの入ったポーチ。

上着の袖には僅かに膨らみがあり、恐らくバックアップ用の小型拳銃でも仕込んでいるのだろうと予測できる。


 和葉はヘカテの姿に呆れ顔で、一息ついてから額へと手をやって、かぶりを振った。

何かが〝ずれている〟、と。


「ものすごくやる気を感じるのですが。

 まあ、やる気がないよりかはマシだとは思いますけどね」


「あの〝女狐〟なんかに会わせるのがいけないの。

 憂さ晴らしにガンガンぶっ放すからね!」


 ヘカテはニッと口をつり上げた。

こうもなると和葉よりも悪者染みて見えてしまう。


「あの、いえ、そのぉ……あなたはこれから戦争をしに行く気なんですか?

 はぁ……。

 止めてくれる相手がいないと困るという意味でも、早く〝あの人〟には戻ってきてもらわないとなりませんね。

 ネコジシ商会は飽くまでも商人であって、民間軍事会社(PMC)などではないのですから……」


 これ以上突っ込みを入れたところでどうしようもない、とプリンタから印刷された用紙を手にして、三つに折って封筒へと入れた。


「さて、その前にこの用紙を咲耶霞に渡してしまいましょうか。

 これで〝借り〟は返したことになるでしょうから――」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。