0009 初めての調合
ウクラン魔法街へ行く方法はとても簡単だった。
コノハシドリの羽ペンで、門を開ける専用の魔法があった。
空中にバツと十字を中に書く。れっきとした風の魔法だ。
門ができると、後は潜るだけ。
フリル嬢はお隣のシルク王子を見た。
二人でお出かけできる機会なぞこれからありはしない。何としてても距離をせばねなければ。
ウクラン魔法街は思ったほど人気はまばらだった。しかし、シルク王子と歩くなら、そんなに混雑しているとあまりと私は思っていたので、かえって嬉しかった。
「魔法の薬の材料はどこで売ってるんですかね?」
「こっちだ。」
ウクラン魔法街を少し抜けると、王子は人気のない店に入った。
草と根、ビンに入ってるのは鱗粉か。ここまで見たなかで1番不思議な店だった。
いくらでもある魔法の材料。魔法の秘めた魔力の塊。
「シルク王子、いくつか買ってもいいですか?」
「ごめん、お金持ってないんだ。今度、イズルー大使に立て替えてもらって。」
「アリス。」
「はい、こんなこともあろうかと持っております。」
フリル嬢は四つの薬に対応する材料を買った。
「フリル。」
「どうしました?王子。」
「失敗するかもしれないから、余剰分買ったかい?」
「はい、アリスには、そうだ、すいません。アリスには話してしまいました。」
「それでアリスの弟を呼んだと。」
「・・・はい。」
「いい?フリル。たみ草は結構すごいことをやらかすことも多いんだ。信じちゃいけないよ。」
ウクラン魔法街を渡りながら、二人はたくさんのことを話した。
「幸せだった・・・。」
「二人の世界でとても素晴らしかったです。」
「そういうことは言わないの。」
私は『基礎魔法調合大全』を取って、魔法陣を解いた。
「まずは、風邪薬から。」
「お嬢様、これでいいのですか?」
「はい。」
アリスが取り入れたのは、研究セットであった。試験管にスポイト、鍋もある。
まずはかりで材料を魔導書に書いてある通り、測る。鍋に一種類ずつ投入。液を漏れなく分割し、スポイトでまた魔導書にあった通りに量を測って試験管に入れる。
試験管を揺らす行動に魔力を混ぜる。後は、王子からもらった、香水の空き瓶に入れるだけ。
色は緑色、はたして風邪に本当に効くだろうか?
元来、今現在にも風邪薬で特効薬は開発されてない。
これが効いたら魔法はすごいと思う。
次は、・・・これは最後にして、『ちょっとした擦り傷を治す薬』である、
ちなみに、風邪薬は『モオル』となずけた。
この調子で、水の魔法陣を描いたシーツの上で試験管に薬ができた。
その名も『ホイミ』。直接すぎたかな?
後、二つの薬も作り、『筋肉痛に効く薬』は『レル』、『耳が少し機敏になる薬』は『シーラ』と名乗った。
今度は実践である。薬をバケットに入れた(封印の魔法を施して普通の人にはフルーツに見えるようにした 『基礎魔法大前』より)。
「とりあえず、貧民街に行きましょう。」
「治安が悪いのですが、アリスはそんなに戦えないです。」
「それがね、ほら、これ。」
手の上に火が迸る。
フリルは『はじめての魔法ガイダンス』という三つ目の魔導書から、護身術を魔法で覚えてきた。
「まずは、坑夫のいるところに連れて行って。」
「はい、フリルお嬢様。」
その間、市民の服に着替えた。質素な物も似合いますよと、皮肉たっぷりにアリスに言われた。
アリスは馬車を扱いながら、採掘所で馬を止めた。
「薬を持ってきました、キゼスと申します。筋肉痛を持っていたら、薬をあげましょう。」




