0014 逃亡
お色直しをされている最中です。
後ろにはベルットとミスリル。たくさんのメイクさん?が私を着飾り、メイクを施していきます。
「マッサージまで行うんですか?」
「まあね、色々と入り用なんだ。」
「そういえば、3番の女だけど、ベルティアが持ってったよね。その後帰れなかったけど。」
「はあ、ベルティアも大変だな、シルク様からお叱りを受けて。3番はシルク様が気に入ってたのに。」
「5番の女だけど、最近は。」
最悪だ。じゃあ、書斎もないということに。その前に、ダメだ。あれを築くお方だ。絶対いつもああなのだ。それで女性の行方不明者とか増やしてるから、普通のシルク様のお姿なのだ。
「できました。」
「では、こっちに。」
道は地下に続いていた。
「あの。」
二人にとりつこうとしたら、ミスリルが言った。
「無駄だよ。シルク様の方がお金いっぱいくれるし、君はこの王城を清楚で素晴らしい所だと思ってたことで、もうアウト。」
「はあ、今度は社長に転生したい。」
「・・・え?」
はい?
「君、帰り方知ってる?」
転生した人?
ベルットはミスリルに殴りかかった。
「遅い。」
「炎よ、燦々たる炎よ。この悪しき魔女を焼き殺す炎よ。御名に答え、悪しき魂をほとぼらせよ。」
詠唱?!しかも高度詠唱?!
ベルットは炎に囲まれて消滅した。
「ちょっときて!話は後で!」
腕を掴まれて、激痛の中、走り回った。
「ここ、潜れる?」
「小さいですね・・・。」
地下の四角の排水溝のような物から這っていけば出られるらしい。
「あの・・・。」
「はあ、使命手配物だ、これは。」
そうらしい。
「でも、あの施設の中で暮らすよりはいいです。」
「君とペアになったら嫌だ。指名手配書が。」
「あの、聞いていいですか?」
「何?」
「どうして助けてくれるんですか?」
「・・・いないから。」
「?」
「転生した人が君くらいしかないんだよ。オレは人生で最高だった時に死んだ。嫁さんも残した。早く帰りたいことしか頭にない。」
「じゃあ。魔法で表面から堂々と出ません?」
「何で?確実な方がいいだろ。」
「でも、あなたが上手く逃げられないと、困るのは私だもの。」
「そう、なの?」
またため息。ため息多いなこの人は。
「何ができる?」
「空中での調合しか、うーん、薬があれば何となくは・・・。」
「ここから出てください。」
「うーん、わかりました。また、会いましょう。」
「まあ、そうなるね。帰り方、教えてね。絶対だよ。」
そうか、何としても帰りたい人もいるのかと思いながら、汚れた排水溝に這いつくばって入って行った。中は真っ暗だ。手探りで排水溝を渡って30分、私は日の目を見ることができた。
シルクの生地が泥でびちょびちょだ。
そして。
「ミスリル!」
「ああ、よかった、途中で断念してたらずっと待ってないと。」
泥でびちょびちょの私を馬に乗せてくれた。馬は嫌がっていたけど。
「オレは奴隷商人だから、元々悪いから、指名手配はなかったんだけど。」
「私がなっちゃいましたか。」
ここはミスリルが作った秘密基地。もといちょっとした洞窟。
いつも朝1番に食糧を持ってきてくれる。
「まあ、今のを維持するしかないね。」
「そうですか・・・。帰りたいんですか。」
「帰りたい、嫁さんどうなってるか気になるし、もうすぐ生まれるんだ。」
ミスリルがいないなると、暇な時間が訪れる。
ミスリルは地球に嫁さんがいるらしい。
道を違えたのは私だけだろう。
「あの。」
「う?」
「薬を作ってもいいですか?」
「何で?」
「そうですよね、はあ。」
「・・・そんなに憂鬱なら、心当たりあるけど。」




