四月 2
愛してるよ この言葉の響きが
日を増すごとに 輝いていくんだ
何もない部屋でただ二人で
それだけで全てが素敵だよなあ
愛してるよ その一言で君は
僕の悪い癖も
受け入れられるなんて言うから
その度に 僕は君の心に
恥ずかしいくらいに
何度も君に故意をするんだ
UVERworldの美影意志―――これが俺のお気に入り。なのでアラームもこれで設定!カラオケの十八番もこれである。
さっきからずっと流れてっけど…コンポつけっぱなしにしたっけ?
瞼をごしごしと擦って霞んだ視界をどうにかしようとする。記憶が曖昧なので、昨夜を思い出そうと必死に寝ぼけた頭をフル回転させる。
(確か…秋人たちとカラオケオールして、バイトの面接まで寝ようって思って…アラームかけて…あれ?)
ハッとしてシーツを投げ捨てるように飛び起きたが、すでに遅かった。
「あああああー!!!15時半だとおおお!?」
そう、寝ぼけて16時を夕方の6時だと思ってアラームをセットしたのだった。近所にお構いなしで奇声をあげながらスーツに着替える。一服なんてしてられない、文字通り一刻を争うのだ。
「にゃあーぉ」
のん気な鳴き声が聞こえる。
「あああああああアイちゃんごめんうるさかったねーご飯だよねえーでも僕面接が…収入源があぁ…!」
「ぅにゃあ」
「誠に申し訳御座いません只今御用意させて頂きます」
シャツのボタン全開でアイちゃんに土下座する俺。面接に遅刻しそうな俺。とりあえず言えるのは、母さん何かごめん…
―――そして、現在に至る。
「疾き事風の如しいいぃ!ああああと4分!!」
周りの方々の視線が熱い、突き刺さるようだ。だが形振り構ってなどいられない、何故ならば文字通り一刻を争うのだ。そして憧れのデリバリーのバイト面接に―――
「遅刻するなら連絡を先に入れるのが筋ってもんです、それすら出来ない人に商品ね配達など任せられません。」
「ですよね…」
撃沈した。
「はぁ…」
行きつけの喫茶店のお気に入りの席に座って、ため息に煙を乗せて吐き出す。目の前のコーヒーはまだ熱くてのめない、猫舌なのだ。格好がつかない。
「あの…宜しいでしょうか?」
不意に横から躊躇いがちに声をかけられた。知らない女の子だった。
「あっ、いきなりごめんなさい…ここは私の実家で、父がオーナーなんです。お客様よくいらっしゃってますよね?私たまに手伝ってるのでお顔覚えています。」
「はぁ…」
「私の事なんて覚えてませんかね?あの…こないだお食事を配膳させてもらったのですが…私ったらミスしちゃって…」
「はぁ…」
どうでもいいけど俺、さっきから「はぁ」しか言ってない。…女の子。食事。配膳。ミス…ん?
「あ」
「?」とクエスチョンマークを浮かべ、小首を傾げた彼女を思い出した。
「お箸の女の子だ!」
「うう…そうです、忘れた従業員です。」
わずかに頬を赤くする彼女は自分に比べるとまだ若い気がする。オーナーもお爺さんって訳じゃないから納得だが。
「私…お客様が良くうちのお店を利用してくれてるの覚えてて。先日煙草を忘れて行かれましたよね?お節介でしたらあれですが、その…」
おずおずと差し出されたその手には、あの日忘れた煙草がライターと一緒に乗っていた。
「ありがとう」
素直に彼女の気遣いが嬉しかった。眉根を下げる彼女の後ろから不意に声がした。
「お兄さん、うちの子が世話んなってます」
オーナーだった。オールバックで髭をこさえてて一見厳つく見えてしまうが、話してみるととても気さくな男性である。
「いえいえ、こちらこそ。お世話になってますよむしろ。」
「そういやお兄さん、今日はかしこまった格好してんねえ。何か大事な用事でもあったのかい?」
ぺティナイフでグレープフルーツを綺麗に剥きながらオーナーが聞いてきた。
「実は…」
娘さんがいるので少し恥ずかしかったけれど話してみた。話に区切りがつくと、オーナーは俺の目の前にコトンとグレープフルーツが綺麗に盛られた皿を置いた。
「そいつは災難だったなあ。良かったら食べてくれ」
「本当ですよ…バイクの維持費だってあるのに。また探しなおさなきゃ…」
はぁ、と今日で何度目かの溜め息をついて、煙草に火をつける。すると娘さんが小さく手を上げた。
「父さん。お兄さんをここで雇うのはだめかな?」
「はひっ」
「ん、いいよ?」
「即答っすか!」思わず突っ込んでしまった。だが、言い終わる前に突拍子の無い出来事に驚いてむせてしまった。すると一拍置いて二人が吹き出した。
「お兄さん良く製菓の本を持ち歩いてますよね?だからここで働くとしても予備知識的なのはあるから…すぐに馴染めそうだなって…」
「どうだい?」
笑った顔は親子そっくりだ、あったかい笑顔にじんわりとしたものが心に広がる。
「宜しくお願い致します!」
俺は勢い良く頭を下げた。そして今日受け取ってもらえなかった履歴書を鞄から出して、オーナーに見てもらう。
「じゃあー明日からおいで、夏樹くん。俺は知ってるだろうが園田稔。こっちは娘の小春だ」
「夏樹くんは二十歳ですか、私より2つ年上ですね!よろしくお願いします!」
名前の分からない壁が一枚消えた、そんな事を思わせるような屈託のない笑顔で小春は握手を求めてきた。
つられて俺も笑った。
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「巳船夏樹です、明日から宜しくお願いします!」
こんばんわ、南雲です。
今回はパソコンからやらせてもらいました!
キーボードでの慣れない長文打ちに目がチカチカ(+_+)
でもとても新鮮で、文字を打つのが楽しかった回でした!
不定期な更新で本当に申し訳ないです(;o;)
それでも順調にアクセスが伸びてるのが嬉しいですね(*^ω^*)
感謝感激であります(゜∀゜)!!
読みづらいなどの意見ありましたら遠慮なくおしえて下さい。
まだまだ精進が必要ですので!
次回も読んで下さる事を願い、構想を練ります(-ω-)
今回もありがとうございました!!
南雲千尋でした!




