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seasons  作者: 南雲 千尋
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3/5

四月


「──ぁあっ!何でこんな日に限って!」

自分がぶつからないように速度を上げながら、人と人の間を走り抜ける。何か忘れた気がするがもう時間がない。戻れば終わる。



少し逆上る事3日前、バイトの面接の申し込みの電話をかけていた。

「はい、では10日の16時にお願い致します!──はい!失礼します!」

部屋で1人、携帯電話を耳に当てたまま勢い良く目の前に居もしない相手に頭を下げる。バイトの面接の日程が決まり浮かれているのが、端から見ても分かる。

(4月10日…16時から…っと。)

すぐさまスケジュール帳に書き込む。必要な物もついでに書いておく。写真付きの履歴書、筆記具、印鑑、当日はスーツ。

「フォーマルでいいかな?リクルート新調しようかな?」

思わず口にしてることに気付かぬまま、真新しいソフトボックスの煙草の包装を剥き1本くわえる。マッチで火を着け、ようやくリラックスする。電話だけなのにやけに緊張したもんだ。

さてこれからどうしようかね、と考えながら煙草を指で灰皿へと軽くぶつけて灰を落とす。その時。


ぐううぅぅ〜


ぼっ、と顔が一気に熱くなる。そう言えばまだ起きてから何も口にしていない事に今更気付いた。思わず周囲を見渡したが、幸い誰にもこの鳴き声を聞かれなかったようだ。

「ふぅ…」 安心から溜め息が出る。その直後に「俺一人暮らしだったわ」とむなしくなる。取り敢えず…履歴書も書きたいので、ファミレスへと歩き出した。


もうすぐ四月…新生活、新社会人、新しい出会いだとか何かを始める季節。いままでは前のバイトの貯金で生きてきたが、ずっとそういう訳にもいかない。

そこで募集していたデリバリーのバイトに応募してみたのだ。バイクはもう乗れるので募集条件は満たしている。

一人、喫煙席に座りメニューを捲る。ああ、スイーツ…なんて素敵なんだ…チョコレートパフェ、チーズケーキ、ストロベリーサンデー、パンケーキ、抹茶アイス…どれも目移りしてしまう。

なんとか絞り込み、南蛮定食とチョコバナナパフェを頼む。店員のお姉さんがクスッとしたのは気のせいだろう。まやかしだ。

持って来られたお冷やを一口飲んでから履歴書を取り出す。


巳船(みふね) 夏樹(なつき)

四月で製菓専門学校の二年生になる。高校ではバイト三昧。

英検と調理師免許、バイクと車の免許を持つ。


(おっと、「志望理由」か…何も考えてなかったぞ…)

思わずペンが止まる。

貴社だのなんだの難しい言葉はからっきしである。

(貴社の…いや、店舗に応募するんだから貴店?あれ?御社との違いなんだっけ?そういや弊社もあったな…はあ?やっべ、サボってきたツケが──)

「お待たせ致しました!南蛮定食でございます!」

「はひっ」


考え込んでいたようで、情けない声を聞かれてしまった。ああ…何だろうこの沈黙。女性店員さんの可愛い目が見開かれてる、だが頼むから沈黙はやめてくれ。ああ南蛮定食早うしてたも…


「…あっ、こちらご飯でございます!以上でお揃いでしょうか、失礼します!」


ペコリと頭を下げて彼女が行ってしまった。

ああ、お箸が…仕方がないのでもう一度ピンポーン。ちょっとそわそわしながら店員がやって来るのを待つ。

「お待たせ致しました、ご注文をどうぞ!」

「あ…あの、箸を…食器を…」

「はい?」

キョトン顔の店員。なんだこの気まずさ、俺が感じるのはおかしいのに!なんか恥ずかしいぞ!

「えっと…さっき置いてってくれなくて…」

ふと恥ずかしくて俯いてた顔を上げると、先程の彼女だった。

「ぁ…」

小さく言葉を漏らしたかと思うと勢い良く頭を下げる。

「申し訳ございません、只今お持ちいたしますっ…」

…何だろうこの罪悪感は。



このあと無事(?)食事を平らげて、履歴書用の写真撮影の為に店を出た。

何とも言えない浮遊感が頭をふわふわとさせたがヤニクラだと思っておこう、きっとそうだ。


写真を撮り、家に着いてから気付いた。

「あ。煙草忘れて来ちゃった…」



まあいいかと思い、アイが先程からお腹空いたよーと言いたげに見つめてくるのでご飯をあげる事にする。

アイは実家の猫の生んだ子猫である。

黒色の体に額から背骨にかけて伸びる白い筋が、「I」に見えるからアイ。彼女が産まれた頃から世話をしてるので、名前を呼べば反応してくれる。


「なぁ、アイ。俺あのバイト受かるかなあ?」

ドライフードをカリカリと食べるアイに語りかける。顔を上げて「にゃぅ」と短く鳴くと、また食べ出す。

まだ日にちがあるが、そわそわと落ち着かないので洗濯物を手早く干したら今日はもう寝る事にしよう。


呆けながらシャツのシワを伸ばし、ぽつりと呟いた。


夜風が心地よかった。



こんにちは、初めての小説しかも連載ものなので少し緊張してます。

拙い表現や改行など…改善すべきポイントはたくさんあると思います。

それでも読んでくれる方々がいると信じて、作品をいつの日か完結させたいです!

なのでアドバイスくれたら飛んで跳ねて喜びます!(笑)


男女が同じぐらいの数登場させる予定ですので、登場人物の評価も受け付けてます(´ω`)


不定期な更新ですが…宜しくお願い致します♪


南雲千尋でした。



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