第30話 すでに2人は最高バディ(前編)
実話を元にしたオリジナル介護日常小説です!ご利用者様の温かい雰囲気を味わって頂けたら幸いです。
ここは、個性豊かな大先輩(ご利用者様)たちが暮らす特別養護老人ホーム『なないろ荘』(入所型介護施設)。 私(中堅介護士)30歳、と新人君(介護未経験者)19歳のバディは、いつも通り出勤し、朝礼中……
おや、今日もあそこに(ヘルプの人員配置に)迷える介護士(課長)がまた1人……
2年目介護士 「えー、今週は工作週間なので、火曜日と木曜日の10時から、食堂にて工作クラブを実施します。工作参加希望のご利用者様の担当スタッフはこの表に印を……」
ープルルルルッ(事務所の内線が鳴る)ー
課長 「(受話器を取る)はい、こちら瑠璃色館……(話を続けるよう2年目介護士に目配せする)……え!?はい……はい……そうか。うーん、誰がいいかなぁ……」
2年目介護士 「……あ、えっと、こちらのご利用者様名簿を掲示板に貼っておきますので、工作参加を希望するご利用者様の名前の横に印をお願いします。以上です。」
課長 「すまない。今、金剛館からヘルプの要請が入ってな……スタッフの急な体調不良で、人手が足りないらしいんだ。誰か体操指導のヘルプに入ってもらえないか?」
ー課長の急な提案に「え……体操?私やったことない……」「金剛館行ったことないしな……」と皆が尻込みしている中ー
私 「はい!私行けます!」
課長 「おぉ!仙波さん!行ってくれるか!助かるよ〜!金剛館には私から伝えておく。……そうだ!後学のために新人くんも同行するといい!」
新人君 「分かりました!」
課長 「あと、特になければ(スタッフ全員の様子を窺う)……これで朝礼を終わります。今日も1日よろしくお願いします!」
職員一同 「「「よろしくお願いします!」」」
ー皆、ガタガタと立ち上がり、それぞれの業務に向かうー
私 「それじゃあ、行こうか。新人くん?」
新人君 「はい!よろしくお願いします!」
ー金剛館は瑠璃色館がある建物の正面玄関を出て、同じ敷地内にある向かいの建物だ。主に、麻痺や欠損、変形の身体障害のあるご利用者様がリハビリ目的で入所されている。金剛館の門をくぐると……ー
理学療法士?? 「あれ?仙波?どうしたん?」
私 「体操のヘルプに来たのよ!こちらは後輩の新人くん」
新人君 「うす!」
理学療法士?? 「マジか!ヘルプが来るとは聞いてたけど、まさか仙波が来てくれるとは!心強いぜ!今日はよろしくな!新人くんも!」
新人君 「は、はい!こちらこそ!」
ー理学療法士??、慌ただしくどこかへ駆けていくー
新人君 「えっと……今のは?」
私 「あぁ、彼はね、私の同期の矢野よ!同期だからタメ口なんだけど、仕事はすごく熱心で頼りになるPTさんなの。ほら、以前の多目的ホールでの体操レクリエーションの時も来てくれてたじゃない。覚えてない?」
(※理学療法士(PT) : 座る、立つ、歩くなどの回復や維持、悪化の予防を行う国家資格を持つ医療専門職)
新人君 「体操レク……あぁ!あのかずおさんの時の!パイセンの同期だったんすね……(パイセンとあんなフランクに話せるの、なんかええな……いや、今は仕事に集中!集中!)」
私 「そうなの!他の館にも何人か同期が残ってるんだけど……ってそんな話、今はいいわね(汗)行きましょ!」
ー金剛館の事務所にて、課長に挨拶し、体操する手順や流れの説明を聞いた後、いつも体操が行われているという食堂に向かうー
私 「……ここか。んー、とりあえずテーブルを端に寄せて、椅子を交互に並べていこうか。私はあの辺(食堂の右端中央部分)で体操指導するから、椅子はそっち向きに」
新人君 「了解っす!」
ー2人でテーブルや椅子を動かし、体操が出来る状態に整えていくー
私 「……よし!こんなもんかな!(時計を見て)もうすぐ10時か。そろそろご利用者様が集まってくるだろうから、新人くんは適当な椅子にご利用者様を誘導して、私の体操を一緒にやりながらフォローしてくれる?」
新人君 「やってみるっす!」
ー早速、1人目のご利用者様が食堂にやってくるー
私 「あ!こんにちは!どうぞどうぞ!空いているお席へ!」
ハツ 「あれ!?仙波さんじゃない!?どうしたの?こんな所で!」
私 「あ、ハツさん、こんにちは!今日は体操指導で伺いました!私の体操、拙いかもしれませんが、よろしくお願いしますね?」
ハツ 「またまた〜!知ってるわよ!仙波さんの体操は結構スパルタなんだから!」
私 「そ、そんなことないですよ〜!(汗)皆さん(ご利用者様)が熱心に参加して下さるから、つい熱くなっちゃうだけで……!(汗)」
ハツ 「ほんとにぃ〜?まぁ、そういうことにしておいてあげるわ(笑)」
私 「ハ、ハツさん……!(汗)」
ハツ 「あ、それと……(小声で)まだ未定なんだけど、私もうすぐリハビリ終わるから、多分来年度あたりそっち(瑠璃色館)に行くことになると思うわ〜、よろしくね!」
新人君 「???」
私 「えっ、そうなんですね!楽しみにしています」
新人君 「(小声で)パイセン、なんでこのご利用者様とそんな仲良いんすか?それにこっち(瑠璃色館)に来るって……」
私 「あぁ、ハツさんはね、ほら、総務の前の喫茶スペースで良くお茶してるじゃない?それで自然と仲良くなって。それと……(小声で)リハビリ期間が終わって状態も落ち着くと、瑠璃色館に転棟(部屋替え)になることがあるのよ。あ、ちなみにスズさんも4年前、私が瑠璃色館に異動になった時に転棟してきてね。最初の3年間担当受け取ったんだ」
新人君 「へ〜、そうだったんすか」
ーそうこうしているうちにご利用者様がぞろぞろやってくるー
新人君 「あ、こんにちは!瑠璃色館から助っ人で来ました『新人』です!今日はよろしくお願いします!」
私 「同じく『仙波』です。本日は私が体操を担当させて頂きます。皆さん、無理のない範囲で参加して頂ければと思います。普段の体操と違う部分もあるかもしれませんが、精一杯努めさせて頂きますので、よろしくお願いします!」
ー金剛館のご利用者様は少し戸惑いを見せるものの、「あのダンスの上手な職員さんじゃない?」「あぁ、良く総務の佐藤さんと話してる……」「あの人の体操楽しみね」と気持ち良く2人を迎えてくれるー
私 「はい!それでは、だいたい皆さん、お揃いのようなので、本日の体操を始めていきますね!よろしくお願いします!」
ご利用者様一同 「「「よろしくお願いします」」」
私 (新人くん、盛り上げ役、頼んだわよ!)
新人君 (うっす!任せてください!)
最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
次回、「第31話 すでに2人は最高バディ(後編)」は、11/5(木)の18:00に更新予定です!お楽しみに!
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