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第3話 ツンデレトメのツン強め

実話を元にしたオリジナル介護日常小説です!手に汗握る防戦一方の耐久試合、楽しんで頂けたら幸いです。

 ここは、個性豊かな大先輩(ご利用者様)たちが暮らす特別養護老人ホーム『なないろ荘』(入所型介護施設)。 私(中堅介護士)30歳、と新人君(介護未経験者)19歳のバディは、ご利用者様たちへ夕食を配膳中……

 おや、今日もあそこに(脳機能障害的に)迷えるご利用者様(トメさん)がまた1人……



トメ 「こんなもんいらん!」

(ご飯をバッシャーン!!からの高速つねり)


新人君 「ぎゃあああああ!!痛い痛い痛い痛い!!手の甲の皮もっていかれる!!トメさん指の筋力どないなってんねん!?これが火事場の馬鹿力!?!?」


私 (慣れた手つきで攻撃を回避しながら)「新人くん!トメさんは今、ゾーン入ってるから!そういうときは引いちゃだめ!心を無にして押すんよ!!」


新人君 「そんなワニに噛まれた時の対処法みたいな!?」

(※今回の『ワニの対処法』は現場のリスク管理から生まれた実際の誘導テクです)



ー新人君、痛みに耐えつつ、トメさんの方に腕ごと押すと、トメさん自身の肘の可動域の限界を迎え、手を離すー



新人君 「ほんまや。離れた。」


私 「ほらね、引くとトメさんもムキになって一緒についてくるから車椅子ごと倒れる危険性もあって危ないのよ!一歩間違えれば正当防衛なのにヒヤリハットよ!」

(※ヒヤリハット : 現場で「ヒヤッ」としたり「ハッ」とした事故一歩手前の出来事を改善策も含め実際の状況を文書に起こした報告書という名の反省文)


新人君 「危なかった……パイセンあざす!」


私 「いいのよ。痛かったでしょ。あとは私に任せて冷やしてきなさい!」


新人君 「パイセンはどうするんすか……!」


私 「私は厨房に電話して、新しい御膳用意して再び挑むわ!なに、大丈夫、なんとかなるわよ。」


新人君 「無茶な……!!」


私 「(ピッチで厨房に電話)あ、もしもし。厨房さん?すみませんが、御膳1つ駄目になっちゃって、御膳丸々一名分お願いできます?10分くらいかかる?わかりました!ありがとうございます!その頃取りに伺います!」

(※ピッチ : 介護現場や医療現場で使われる簡易型の携帯電話。主にナースコール対応、緊急の厨房や他部署への連絡時に用いられる)


新人君 「仕事が早い!」


私 「じゃあ、それまでにご飯食べる気にさせます……か!(戦士の顔付き)」


新人君 「一体どうやって!?」


私 「(トメさんの攻撃を太極拳のように受け流しつつ、献立の紙を見ながら)わぁ!トメさん!今日のお夕飯、かぼちゃの煮物ですよ!かぼちゃお好きでしたよね!?実はこのかぼちゃ、私が家庭菜園で作ったんです!(ウソ)何度も失敗したけど、今年やっと成功して!トメさんに教えてもらった肥料のおかげですよ!一口味見してもらえませんか!?畑のプロのトメさんの評価が聞きたいんです……!」


トメ 「……一口だけよ。」


私 「トメさん……!!ありがとうございます!新人くん、食介終わってるスタッフの誰かに御膳持ってくるよう頼んで!」

(※食介 : 「食事介助」の略。自力でお食事を召し上がるのが難しい方のサポートをすること。単に口に運ぶだけでなく、喉詰まりの観察や「食べる意欲」を引き出す会話術が試されるプロの技!)


新人君 「なに言ってるっすか!俺が取ってきます!(やっぱりパイセン、カッケー!)」

 最後まで読んで頂き、ありがとうございました!

次回、「第4話 年収5000 万!?」は、10/9(金)の18:00に更新予定です!お楽しみに!

 「ワニの対処法(笑)」と思ったら★評価やブックマークで応援してもらえると励みになります!

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