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第19話 エンドレス子供自慢

実話を元にしたオリジナル介護日常小説です!いつまでも子を思う親心を知って頂けたら幸いです。

 ここは、個性豊かな大先輩(ご利用者様)たちが暮らす特別養護老人ホーム『なないろ荘』(入所型介護施設)。 私(中堅介護士)30歳は現在仮眠休憩中。新人君(介護未経験者)19歳は、その間1人で夜間のコール対応をしているが、ナースコールが途切れることを知らない……!

 おや、今日もあそこに(会話終了のタイミングに)迷える介護士(新人君)がまた1人……



ウメ 「……それでね、2番目の息子は警察官をやっててね、とても立派なの。3番目の娘はー(延々と子供自慢が続く)」


新人君 「へぇー、すごいっすねぇー、でもあの、俺そろそろ……」



ープルルルルとナースコールー



新人君 「(ピッチ(※施設内用の小型携帯)の通話ボタンを押し)はい、かずおさん、どうされました?……ポータブルに座りたいから手伝ってほしい?わっ、かりました〜、えっと、今ちょっと手が離せなくて……10分くらい待っててもらえます?……はい、はい、すんません。あざーす!(通話を切る)」

(※ポータブルトイレ : 歩行が不安定な人やトイレまでの移動が難しい人が、寝室やベッドのそばで排泄できるようにするための持ち運び可能な簡易トイレ)


ウメ 「(新人君が電話中もマシンガントークは止まらず)それからー、末の娘が看護師でねー、もう凄いのよー!……あれ?どこまで話したっけ?……あ、そうそう、1番上の長男がー(振り出しに戻る)」


新人君 「あのー……、気持ちは嬉しいんすけど、俺そろそろ行かないと……(焦)」



ープルルルルとナースコールー



新人君 「(ピッチの通話ボタンを押し)はい、サヨさん、どうされました?……え?財布が見つからない?あー、じゃあ、一緒に探しましょうか!……ただ、今ちょっと手が離せなくて、15分後くらいに伺いますね!……はい、はーい……!(通話を切る)」



ウメ 「……あとねー、4番目の娘はー」


新人君 「あの、ウメさん!もうホンマに……!」 


私 「(ウメさんの居室のドアを開けて)新人くん……ふぁ〜(あくび)……大丈夫〜……?」


新人君 「(ふぁっ…!? 髪下ろしたパイセン可愛すぎ……てか、寝起き!?……じゃなくて)コール対応が追いついてなくて……(汗)でも、パイセンまだ休憩時間じゃ……?」


私 「それが……私うっかりピッチ持ったまま仮眠休憩入っちゃって……ナースコールで起きちゃった……(眠)ウメさんの対応代わるよ〜……」


新人君 「え、いいんすか?……すんません!おなしゃす!」


私 「は〜い……(眠)」


新人君 「あ、でも、パイセンがどうやって対応するのか……ちょっとだけ見ててもいいすか?(寝ぼけ眼(まなこ)のパイセン、もうちょい見ていたい……)」


私 「いいよ〜……ウメさん、『仙波(せんば)』が代わりますね〜」


ウメ 「あら、仙波さん!聞いて聞いて!6番目の4男がー……」


私 「4男さんはたしか……美容師さんでしたよね?よく髪を切ってくれてたっていう……」


ウメ 「そうそう!……え?なんで知ってるの?」


私 「他のお子さんの事も知ってますよ〜、長男さんが地方公務員で〜、……次男さんが警察官でしたよね〜」


ウメ 「そうなのそうなの!すごいでしょー?」


私 「えぇ、本当に凄いです〜、……あ、ウメさん、もう0時回りますよ?末の看護師の娘さんに『お母さん、夜はちゃんと寝てよね!』って言われちゃいますよ〜」


ウメ 「あらやだ!もうそんな時間!?早く寝なくちゃ……!話聞いてくれてありがとねー!」


私 「いいえ〜……おやすみなさ〜い」



ー静かに退室し、ウメさんの居室のドアをゆっくり閉めるー



私 「……とまぁ、私はこんな感じかなぁ〜……」


新人君 「(まだちょっと寝ぼけてる……可愛い……)パイセン、もしかしてウメさんのお子さんの職業、全部覚えてるんすか?」


私 「……まぁ、会う度、何百何千回と聞かされればねぇ〜、自然と覚えるわよ〜……ほら、かずおさんあたりが待ってるんでしょ〜、早く行きな〜……」


新人君 「はい!あざっした!パイセンはもう少し休んでて下さいっす!」


私 「うん〜……ありがと……目ぇ、覚(さ)ましてくるね〜……」


新人君 (思いがけず良いもん見れた〜!!夜勤後半も頑張るぞー!!)


最後まで読んで頂き、ありがとうございました!

次回、「第20話 熟練のお茶ソムリエ」は、10/25(日)の18:00に更新予定です!お楽しみに!

 「寝起きのパイセン可愛い(笑)」と思ったら★評価やブックマークで応援してもらえると励みになります!

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