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第18話 癖強方言は解読不可!?

実話を元にしたオリジナル介護日常小説です!言葉だけじゃない表現を感じ取って頂けたら幸いです。

 ここは、個性豊かな大先輩(ご利用者様)たちが暮らす特別養護老人ホーム『なないろ荘』(入所型介護施設)。 私(中堅介護士)30歳、と新人君(介護未経験者)19歳のバディは、急遽通院付き添いをすることに……!

 おや、今日もあそこに(会話の聞き取りに)迷える介護士(新人君)がまた1人……



ー正面玄関の外に出ると、ピューッと冷たい風が吹きつけるー



新人君 「うわー!寒いっすね!大丈夫っすか?スズさん?」


スズ 「へ……へんもねぇ……(大したことない)」


新人君 「……?えっと、行きましょうか?」



ー私、7人乗りの普通福祉車両(ステップワゴン)を運転し、正面玄関にバックで近づき停車ー



私 「どうぞー!乗って下さい!」


新人君 「え!?パイセン、こんなミニバン運転できるんすか!?通勤はいつもピンクの軽なのに!」


私 「たまに公用車運転してるもの!ハイエースも運転できるわよ!」


新人君 「すげぇぇぇ!!」


私 「あ、待って。車椅子の乗せ方分からないか……今降りるね!」



ー私、運転席から降りて、新人君に車椅子の乗車方法を指導するー



私 「まず、車高調整ボタンの下を押して、車高を下げてー、下げきったらスロープを出す。あ、そこロックかかってるからロック解除して。そして車椅子前方のこの辺にセーフティベルトのフックを引っ掛けてー……(細かい説明が続く)」 



ースズさん、新人君、私の3人が車に乗り込み、提携の病院へ出発するー



私 「(運転席から)スズさーん、付き添いが急に私たちになっちゃって、ごめんなさいねー?」


スズ 「なぁ〜んの……だ、だんねぇだんねぇ〜……(なんの、いいよいいよ)」


新人君 「???」


私 「最近ゆっくりお話する機会もなかったら、今日は沢山お話しましょー!」


スズ 「ほ、ほんとけぇ……?う、うれっしゃ〜のぉ〜〜……(本当?嬉しいわー!)」


新人君 「(私に小声で)あの、スズさん、何て?」


私 「『私たちが付き添いでも気にしてない。久しぶりに話せるの嬉しい』って言ってるのよー」


新人君 「あの短い言葉にそんな意味が!?なんで分かるんすか!?」


私 「私、去年までスズさんの担当だったもの」


新人君 「たった数年、担当受け持つだけで解読できるんすか!?」


私 「あー、まぁ、スズさんは脳梗塞の後遺症で呂律が回りにくいからね。その上、福井弁もあるから、ちょっと聞き取りづらいかもね」


新人君 「福井弁なんすか……(そうやなくても解読不可能な気が……)」


私 「まぁ、慣れよ慣れ!」


新人君 「……はぁ。(慣れてくればホンマに聞き取れるんか??)」



ーそうこうしているうちに、病院に到着。受付を済ませ、待合室で診察に呼ばれるのを待つ3人ー



スズ 「……ほ、ほんでぇ〜、ほしたら、ほ、ほんときぃ〜……(スズさんの息子さんの話)」


私 「あらぁ〜、素敵やねぇ〜」


新人君 (お?なんかパイセンまで訛(なま)ってきてない?)


スズ 「ほ、ほぉやろぉ〜……」


私 「ほやほや。ほん話また聞けてうれっしゃ〜」


新人君 (え?え?何これ?パイセン方言喋ると急に幼くなる(素が出る)の可愛すぎるんやが……!?///……てか、さっきからスズさん、ずっと『ほがほが』言ってるようにしか聞こえへん!)


看護師 「番号札532番の方ー!1番診察室にどうぞー!」


私 「あ、はーい!行くよ新人くん」



ー新人君、スズさんの車椅子を押して、私の後について診察室に入るー



医師 「はい、どうも。えー、スズさん、お薬ちゃんと飲めてる? 手足の痺れとか、新しく気になるところはないかい?」


スズ 「……と、とくにぃ〜……ねぇのぉ〜、け、血圧も落ち着いとぉ〜しぃ〜」


医師 「……特に、なさそうかな?」


私 「……先生、私から少し補足説明を。毎食後のお薬はゼリーを使って全量服用できています。血圧も上120台で安定していまして、最近はリハビリで患側の手足の曲げ伸ばしの練習も頑張っていらっしゃいますよ」

(患側 : 骨折やケガ、痛み、あるいは脳血管障害、脳梗塞などによる障害や麻痺がある側のこと。ちなみにスズさんは右半身麻痺)



スズ 「ほ、ほぉや!……ほぉや!」


医師 「なるほど。順調そうですね。では、また前回と同じお薬出しておきますね。」


私 「よろしくお願いします。」


新人君 (パ、パイセン全部把握できてるのすげぇー……)



ー診察が終わり、薬局で薬ももらって、帰りの車の中ー



新人君 「スズさん、今日は待ち時間も長くて大変でしたね。疲れてないっすか?」


スズ 「……へ、へんもねぇ……き、きのどくなぁ〜……」


新人君 「(へ、変もない?気の、毒??……いや、とても優しい目をしとる、きっとこれは……)……気にしないで下さいっす!これが俺達の仕事っすから!」


私 (お?新人くん、スズさんの言いたいこと汲み取った?……やるじゃん)


(※きのどくな : 福井弁で『申し訳ないね』『ありがとう』という意味)


 最後まで読んで頂き、ありがとうございました!

次回、「第19話 エンドレス子供自慢」は、10/24(土)の18:00に更新予定です!お楽しみに!

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