第10話 互いの呼び名に隠された真実
実話を元にしたオリジナル介護日常小説です!思わぬ伏線に驚いて頂けたら幸いです。
ここは、個性豊かな大先輩(ご利用者様)たちが暮らす特別養護老人ホーム『なないろ荘』(入所型介護施設)。 私(中堅介護士)30歳、と新人君(介護未経験者)19歳のバディは、夜勤明けでお疲れ気味……
おや、今日もあそこに(名前の呼び方に)迷わぬ介護士(私と新人君)がまた2人……
ー夜勤明け、日勤スタッフが活動し始め、誰もいなくなった事務所にてー
新人君 「そういや、パイセン。俺の考えたあだ名気に入ってくれてるっすか?」
私 「あだ名?何のこと?」
新人君 「パイセンの本名、『仙波 円』じゃないっすか。円は円周率ともとれるし、円周率と言ったらπ(パイ)、それに仙波の「セン」を逆さにくっつけて、『パイセン』っす!!」
私 「……あ。え!?これあだ名だったの!?てっきり『先輩』って意味かと……」
新人君 「そんなわけないじゃないっすか!パイセンは最初から俺の事、『新人くん』って呼んでくれてるのに」
私 「人を名前で呼ぶのなんて普通じゃない」
新人君 「高卒の俺なんて『おい、そこの新人!』って呼ばれてもおかしくないと思ってたんで……」
私 「いや、どこのブラック企業よ!」
新人君 「でも、実際俺、小学校から『新人』ってあだ名で呼ばれてたし。まぁ、それが嫌だったわけじゃないんすけど、パイセンに『新人くん』って呼ばれるの新鮮で……」
私 「あなたにだって『新人 息吹』っていう良い名前があるじゃない。介護業界に新たな風を吹き込む……みたいでカッコいいじゃん。」
新人君 「パイセン……」
私 「それに高卒の何が悪いの?こんなに一生懸命働いているんだもの。新人くんは立派よ」
新人君 「(ちょっと涙ぐみながら)あざす……!」
私 「さ、ほら、記録終わらせて帰るわよ!私この後、友達とカラオケの約束してるから!」
新人君 「今からカラオケっすか!?先輩若いっすね!」
私 「(夜勤)明けで遊びに行ける未来なんて、もう長くないわ……(遠い目)」
新人君 「でも、パイセン、童顔だし、全然30に見えないっすよ!(本音)」
私 「……うそでもありがと」
新人君 「ほんまですって……!(……パイセンの名前も仙人級の介護技術で、みんなを円で優しく包み込む……みたいでめちゃくちゃカッケーっす!)」
最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
次回、「第11話 波乱の創立記念祭(準備編)」は、10/16(金)の18:00に更新予定です!お楽しみに!
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