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久実が男二人に話かられているのが見える。
目だけでも美人はナンパされるのかな?
そう思いながら近寄る。
「え、やっぱり、たくみちゃんですよね!?」
「あ、えっと……」
「俺、なっつん推しで」
久実推しちゃうんかい。
待っているか迷ったが、話をやめる様子がないので、たくみに話しかける。
「買ってきたよ」
「──晴世、」
たくみが真っ青な顔で振り返る。
私を見た男たちが、驚いた顔をした。
「……え、彼氏?」
男の一人が小さな声で言う。
ヤベっ!今私、男みたいな見た目してるんだった!これはマズい!!!
最大限声を高くして久実に話しかける。
「炭酸水でよかったんだよねぇ〜?」
「ああ、うん」
女だと分かったのか、男たちは安心したように一息ついた。
たくみは、ファンの人たちの方を向き直り、私と話すより少しだけ高い声で喋った。
「えっと、その、ごめんなさい。プライベートで握手も写真も禁止されてて」
「え、そうなんですか」
「えー、残念」
「ごめんなさい。握手会なら握手できるから、ぜひ来て!」
「おお、営業されちゃった!!!」
「行きます!!!じゃあ、今後も活動頑張ってください!!」
そういうと男たちは去っていった。なんだいい人じゃないか。アイドル対応のたくみを見るのも初めてでちょっと新鮮な気持ちだ。
良かったね、と思いたくみの方を見ると、まだ真っ青な顔をしていた。
「たくみ、どうしたの?」
「……なんでもない」
「なんでもないって、顔──」
「なんでもないって!」
そう言いつつも少し震えていた。
「……レッスン場、行くね」
「……え、うん、分かった」
「今日は、ありがとう」
そう言って、久実は私の前からいなくなった。
なんだか、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。ひとまず、……たくみが何故青ざめたのか、何を思っているのか、それを知ることが攻略の第一歩だ、と自分に言い聞かせた。




