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18禁恋愛ゲームの攻略回避の仕方〜全員私がおとします〜  作者: ねこみんご


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3

恋愛ゲームは、往々にして好感度0状態からスタートし、それを100だか1000だかにあげるゲームだ。

しかし、ここは私にとっては現実。今好感度がどこにあるかは可視化されていない。

となれば、行動するほかあるまい。


(攻略対象は誰かいるかな〜?お、いた。)


席に座っている『小坂ひより』に話しかける。


「おはよう。小坂さん」

「えっ!?あ、お、おはよう」


明らかに挙動不審。

たしかに、今まで会話を交わしたことはあまりない。


「あ、あのさぁ……今の範囲、分かる?よかったら教えてほしいところあるんだけど」

「ちょっと、難しくて……ごめんなさい」


会話終了のゴングがなった。

記憶を思い返す。

小坂とは挨拶をたまーーーーーーにする程度。

ちくしょう、今までもう少し会話しておけばよかった。


仕方ない。切り替えてけ。

次は他の生徒と話している『加藤灯』に狙いを定める。

……今か?次、笑いが止んだタイミングで行くか?あ、今止んでた。次、次で行くぞ──


いけなかった。

くそ、どうしたらいい。


よし、次行こ次、えっと、ゲームのメインヒロイン『影山美麗』はどこだ?影山さんに話しかけ──って、影山さんいない。そうだ、今ドラマの撮影期間だ彼女。


何も収穫が得られず、撃沈の気持ちのままに机に上半身を伏せる。


「おはよう、晴世」


顔を上げると、富田久実が教室に入ってきた。


「おはよう、たくみ……」

「何?なんか元気ないね。テストヤバそうなの?」

「え?……いや、まあ……」


あなたを含めて同級生の攻略がうまくいかないからです、とは言えない。


「幸子小林小林幸子だよ」

「な、何が?」

「サイン、コサイン、コサイン、サイン」

「突然の加法定理?」


「ちゃんと覚えてんじゃん」そう笑いながら、たくみは隣の席に座った。え、てか、この世界に小林幸子いるの?


いつもならこの後スマホを触りながらおしゃべりになるが、今日からは違う。よく観察しなければならない。

じーっとたくみの方を見る。


「……な、何?」

「いや、ちょっと、よく観察しようかなって」

「ああ、まあ私目の保養に──」

「そういうことじゃないです」

「最後まで言わせろよ!」


明るく抗議するたくみ目の下にうっすらとクマが見える。


「寝不足?」

「え?ああ、まあちょっとね。そんな目立つ?」

「いや、私じゃなきゃ見過ごしてた」

「気持ち悪っ」

「よく見てるでしょ〜?」

「……まあ寝不足かな。寝らんなくてね」

「何で?」

「……まあ……色々」

「色々?」


HRのチャイムが鳴る。

細かいことは聞けず、HRを受けることになった。


お昼休み、それぞれの授業の教室から戻ってきた私たちは、各々の席に座り、お昼ご飯を食べ始める。


「いや、ダメだったわ。起きれんかった」

「結局寝たんだ」

「一度寝たらすーーーって感じだった」

「ちょっとよく分からないけど」


たくみが机に出したお昼ご飯は実に質素なものだった。

鶏胸肉、ブロッコリー、卵、少量の玄米。

……試合前のボディビルダーみたいだな


「……たくみ、体絞ってる?」

「え、あー、そうね。ちょっと」

「何?写真集でも決まった?」

「決まってないですぅ〜」


そう笑うが、返答が一瞬遅れたのを私は見逃さない。


「てか、晴世さ、今日の放課後時間ある?」

「あるけど、どうした?」

「アンケート書いてほしくて。番組用の」

「ああ、友人代表みたいなこと?」

「うん。中身は収録まで見ちゃダメなんだけど、アンケートのリンク送るから」

「分かった」


たくみの所属しているアイドルグループは、週に一回、バラエティ番組に出ている。ゲームの記憶を得る前の私も、何度か見たことがある。


放課後、約束通り、教室に残りアンケートに回答していく。


「うーん、改めて色々聞かれるとむずいなぁ」

「ネタ帳作るのおすすめ」

「いや、そんな頻度でこういうアンケート答えないから……ほら、富田さんの苦手なこと、だって」

「あーあー、ほらそれ私には内緒なんだって!」

「苦手なこと、でも割とあなた何でもできるじゃない?」

「お褒めの言葉だ」

「勉強も私よりできるし、運動も普通にできるし、何だろ……」

「特になしでもいいよ、マジで思いつかなかったら」


ふと、一つの考えがよぎる。


「恋愛かなー」


一種の牽制、私が攻略する以前に、私が知らないだけで相手がいるのかもしれない。


「……」


そんなことないわ!とか、いやまあそうかも。とか、そんな返事を待っていたが、たくみは黙り込んでしまった。

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