夏祭り 22
他の人たちを通してイズマを見てたのかな。
となると今までの人たちごめんなさいだわ。まあ付き合ってないし、みーんな片想いだったんだけど。
あたしは、イズマをずっと前から好き。
そう認めちゃうとすっきりした。
「さて、サヨと約束を果たせたし、もう悔いは残らない。」
なんだろう、その言葉がひっかかる。
聞き返そうとしたその時、今までにない強い力で引かれて、イズマに先導される形で社へと歩かされる。
「ちょっとイズマ、痛いって!」
「ごめん、ボクの話を聞かせたから時間をとらせちゃった。そろそろ和太鼓が終わる。そうなると、花火がなってしまう。」
花火がなる前に、社の扉をくぐる。それが唯一の方法。そう、教わった。
「ねえ、もしかして終わらせるんじゃないよね?」
「やだなサヨ、この世界は1度終わってまた戻るって教えただろう。」
「違う、そうじゃなくて!」
前に自分を終わらせようとしていたけど、あたしと会って約束をして持ちこたえた。でもそれが今回達成してしまった。それに悔いは残らないと言っていたし、嫌な予感がする。
「前に自分を終わらせようとして方法を探してたって言ってたでしょ。今、そういう気持ちになってるんじゃないよね?」
「心配かけてごめんね。でもサヨは気にしなくても大丈夫だよ。」
質問に答えないし、決定的なことは言わない。そうやってあたしを躱している。何も大丈夫なわけないのに。
「ああ、そうだ、さすがに今回はキーホルダーを渡せないな。」
そして左手で空に何か文字を書くと、バッグが光り、キーホルダーだけが現れ飛んだかと思うと、イズマの手の中に収まった。そしてそれを素早く帯の中に入れられてしまった。
「こちらに3度目の訪問者はいないのだけど、まあ念のためにね。」
つまりあたしはここにもう来ることができないし、キーホルダーというイズマとの繋がりも絶たれてしまう。
「ここに来てくれてありがとう。今のサヨがサヨでいられたのは、あちらの世界で生きてきたからだ。こちらのことは忘れて、あちらで幸せに生きて。」
もともとあたしを戻すために、イズマは手を尽くしてくれていたし、今もそう。
あたしだって戻ろうと頑張った。
頑張っていたはずなのに。
どんどん社に近づいていく。
「お願い教えて。自分を終わらせるって何。もうその方法は見つけたの?」
「……ボクを消滅させるんだ。方法はもう見つけた。」
「あたしを見送ったら終わらせるつもり?」
「そんなに怒らないで。最後は笑ってさよならにしたいんだよ。そうすれば幸せな気持ちのまま終われるから。」
やっぱりイズマはあたしを戻した後で消滅するつもりなのだ。
「笑ってさよなら?」
あちらとは違い賽銭箱が置かれていない社だった。まっすぐに進み、その扉の前に辿り着き、イズマが手を伸ばす。
「そんなの、できるわけないじゃん!」




