↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ベランダにドラゴンがはえて来た。改訂  作者: 松下一成
第4章 わたしの世界で
PR
45/49

9.やること

「さてと…」


 私はリンリンが置いて行った紫色の本を手に取ると中を見た。タイトルから始まって、あの時書いた物語がしっかりとした文字で書かれていた。


「なにから話せばいいのかな」


 とアヤカの方を見ると、彼も私の事を見ていた。


「…ツバサはこれってこと?」


「もちろん。僕にツバサをくれたからね。美花にもツバサをってこと」


 それは何となくわかる。でも、私が聞きたいのはそう言うことじゃなくて、もっとなんていうか本質的な部分の話…。


「…アヤカはどうして私に教えてくれるの?」


 聞こうと思っていたこと。どうして私に教えに来たのか。確かにアヤカにツバサを渡すことになった。でも、なんていうんだろう、どうして出会うことが出来たのか。ってのは気が付いたからだけど、それでもアヤカが教えるってことには関係ない気がする。


「教える、というか…」


 アヤカは少し考える。


「1つだけ言えるとしたら、美花に〝その姿勢〟が無ければ僕は何もしなかった。…というより、出来ないからね」


 私はアヤカの返事を聞いてまた少し考える。


「でもほら、美花には自分のやることが見えたわけでしょ?じゃあこれからはそれをやればいいんじゃない?」


「…アヤカはこれからどうするの?」


 私の言葉にアヤカは少し笑った。


「どうもしないよ?美花は公園とか森とか。僕たちが居る場所に行ったことあるでしょ?」


「うん」


「そこに生えている草木に〝あなた達はこれからどうするの?〟って聞かれてもねぇ。それってどうにかなることじゃないから」


 まあ、確かに。それはそうか。


 持っている紫色の本を見つめた。


「これはアヤカのモノ?返した方がいい?」


「それはもちろん、美花のモノだ。僕のじゃないよ。次に繋がっていくモノ。言うなれば序章とか前書きの部分だから」


「序章…前書き?」


「そうだよ。物語は形式上、幕を下げることになるのだけれど、でもそしたら次の幕開けがある。そうやって次に行くから」


「次に…」


「うん。だからこそ僕が来たんだから。そうじゃないと」


 本を手に持ったまま、椅子に座ると自分で書いた物語を眺めることにした。するとアヤカは机の上にやって来て、私の前に座った。


「そう言えば美花」


「なに?」


「明日、リンリンの家に行くんでしょ?」


「…うん、そうだね」


「僕もついて行く」


「…てっきり勝手についてくると思ってたけど」


「まあ、それはそうなんだけどね。少し気になることがあって」


 そう言って彼はプランターへ戻っていった。


 次の日、私は車を走らせて近所のスーパーに買い出しに出かけ、ある程度の物を買っていくことに。


「きっとリンリンの家にはなにもないだろうから」


 学生時代から彼女の事を知っていると、家がどんな感じになっているのか想像できる。


 一応、住所をスマホに打ち込むと、ホルダーに固定。


 アヤカは私の肩ではなく、後部座席に置かれたカゴの中へ。どうやら居心地がいいらしい。


 しばらく走らせていると、リンリンの家が見えて来た。


「あれ…やっぱりそうだよね」


 目の前に現れたのはアパートではなく一軒家。大分古い感じがするけど、しっかりと作られているのは外観からわかる。


「やっぱりそうだ」


 ずいぶんと昔のことだったから覚えて無かったけど、彼女の家は私が過去の世界で住んでいた家と同じ。どこかで見たことが有るとはずっと思ってた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。