2.見方
「…ん?ちょっと待てよ」
私は腕を組んだまま、天井を見上げる。
アヤカと出会った時の事は、両方の世界で似たような感じだった。さっきのアヤカの口ぶりからすると、過去の世界は私とアヤカが出会った時から始まったことになる。
そうなると、実は出会ってから今までの間に、本当はアヤカにツバサを与えることが出来る選択肢が有ったことになる。
だから私は、アヤカにツバサを与えられるような選択を、過去の世界でやることが出来た。…そういうことになるのだけれど、それが何なのかわからない。
「…出会ってからの時間に、自分にやれたことがあったってことかな」
とかそんなことを考えてみる。
突然部屋にやってきたドラゴン。彼はツバサを求めていた。…けど、私にはわからなかったわけで。でも、何かをしなければいけないと考えたのも本当の事。
「…私が何かやってなかったってこと?アヤカがこの部屋に来てから」
「そんなことないよ」
「でも、もし、私が何かを…この場合は選択か、それをしてないから過去に行くってことになったわけでしょ?」
「まあ、そうだね。筋道としてはそうなんだけど」
アヤカはツバサを羽ばたかせると、そのまま本棚に向かって行き、正面に着地した。
「ミカは1つ、見て来たモノがあるはず。僕の世界の見方を」
「それって、成分を見るとかそういうの?」
「そう、成分。過去の世界の僕がそれを使うのを見たでしょ」
「うん、目の前で」
確かに見た。手をかざすと、青白い輝きが出てくるのを。それはこっちの世界で紫色の本の種を作る時もそうだった。
「何か気が付かない?」
「…なんだろう」
しばらくじっとして考えてみる。…のだけれども、何も思いつかない。
「じゃあ、少しきっかけ」
「きっかけ?」
「うん」
アヤカはいつも自分が居る場所を指さした。
「ミカに僕は最初の頃、食べるために生きているのか、それとも生きるために食べているのか?って聞いたことがあると思うんだけど」
確かにそれは覚えている。彼が何を食べているのか気になって聞いた時の事。
「で、それに対して、鶏が先か、卵が先かみたいなもんだって言ったでしょ?」
「うん、言った」
その後、アヤカが取り込んでいるのを見るために夜にベランダから彼の姿を眺めることになったのだけれど、この話がきっかけになるのだろうか。
「大事なのはどっちが先か、って話じゃない。そんなのは僕にもわからない。でも分かっていることは続いているってことでしょ?」
「まあ、続いているってことは確か…」
そう言いかけた時、私はあることを思いついた。
「そうか、植物じゃん」
私の言葉にアヤカは笑顔になった。




