↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ベランダにドラゴンがはえて来た。改訂  作者: 松下一成
第2章 あなたの世界で
PR
15/49

3.届け屋さん

 気が付くと朝になっていた。結局あのあと、仕事を始めたのはいいけれど、昨日、アヤカが家に来て、それでそのことについて考えていたら、いつのまにか寝てしまったらしい。


 顔をあげると紙が頬に張り付いて来た。


 椅子から体を起こすと、薄手のタオルケットがかけられていることに気が付く。どうやらアヤカが寝ている私にかけてくれたのだろう。…というよりそれしかないのだけれど。


 タオルケットを手に取り、仕事部屋から隣の部屋に。てっきりアヤカは起きているのかとおもったのだけれど、ソファーの上で昨日と同じ体勢で眠っているようだった。


 寝室へ向かい、タオルケットを元に戻すとそのままの足で冷蔵庫に向かった。


「パンと…それから」


 朝ごはんを作る食材を取り出す。昨日作ったスープ。それから近所の人に貰った野菜。準備をしているとアヤカが起きたらしい。起き上がった状態のままこちらへ向かってきた。


「おはようございます。ミカさん」


「おはよ、よく眠れた?」


「はい」


「出来たら持っていくから、そこのテーブルへ座っていて」


 作ったものをお皿にのせてテーブルへ運んでいく。その様子をアヤカはじっと見つめていた。全部運び終え、私も椅子に座ると食べ始めることに。


「…どうしてそんなに良くしてくれるんですか?」


「うん?」


 スープを飲んでいる時にアヤカは話しかけてきた。だけど、質問の内容がよくわからない。困っている人が居るのであれば、ある程度助けるのは…その人としては割とある行動だと思っていたのだけれど…。でも、それも多分きっと昔の話なのかもしれない。


 質問に答えようとお皿をテーブルに置いた時、外から羽根の音が聞こえた。


「あっ、ごめん。今日…そうだ」


 私は急いで立ち上がると、仕事部屋へ向かい、窓を開けて外に出た。


 来たのは〝届け屋さん〟と呼ばれる大きな鳥。見た目はタカとかワシに見えるけど、身長と言えばいいのか、体長なのか。とりあえず私の背よりも大きい。彼らはここら一帯を飛び回り、決まった日の決まった時間にやってきて、物を渡したり、集めたりしている。


「どうもね…。私のある?」


 そう聞くと彼はうなずいて、胸のカバンを羽でつついた。私はカバンを開けると、綺麗に間仕切りされた中に自分の名前を見つけ、封筒をいくつか取り出していく。…それをやっている最中、いつものように彼は私の頭を軽くつついてくる。


「分かったから…ちょっと待ってて」


 取り出した封筒を仕事部屋に持っていき、机の一番下から手のひらくらいの大きさの有るクッキーの入った袋を取り出すと、彼の元へ戻った。袋を開けて、大きなクッキーを2つにしてあげ、彼の口元へ差し出すと、彼は器用にくちばしを使って食べ始める。


「水も飲むでしょ?」


 庭にある水道に向かうと、置いてあったバケツを取り出し、水をだしてある程度入れて、彼の目の前に差し出した。


 彼が水を飲んでいる時、今度は送る封筒を彼のカバンの中に入れる。来たときと同じようにしっかりとカバンを閉じてあげる。


「…よし、これで私の所は大丈夫だよ。…まだ仕事あるんでしょ?」


 そう言って彼の頭を撫でてあげると、嬉しそうにして大きな羽を広げる。そして、その羽を羽ばたかせ、また来たときと同じように空へ飛んでいった。彼を見送ったあと、テーブルへ戻ると、アヤカも部屋の中から彼を見送っていた。


「あの大きな鳥は?」


「ああ、あれは届け屋さん。私の…私達みたいな仕事をしている人たちは、彼を通じて出来たモノとか、作ったモノのやり取りとかをしているの」


「…でも、普通の郵便みたいなのもありますよね。僕、受け取ったことありますよ」


「もちろんあるんだけど…うーん、そうだなぁ、理由はよくわからないんだけど、伝統なのかもしれないけど、昔から彼にお願いするのが普通というか…」


「そうなんですね…よかったです」


 何がよかったのかはよくわからないけれど、アヤカは少し嬉しそうな顔をしていたのは見えた。朝食を食べ終えると、私はアヤカに冷たいお茶を出し、さっきついでに取り込んで置いた白い布を渡した。


「…アヤカ。私の仕事。何をしているか気になる?


「え?…あ、はい。少し」


 昨日の夜、私は彼が起きたら話を聞こうと思っていたのだけれど、彼の様子を見てあることが気になったというか、考え付いた。彼の話を聞く前に、とりあえず私のやっていることを話そうと思ったのである。


 私はアヤカを仕事部屋に案内した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。