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3.生まれた理由
カームと暮らし始めて数年。僕は、自分がどうしてこの世界に生まれたのかを尋ねた。
「ねえ、カーム。僕、どうしてあの時あそこにいたの?」
カームはいつものようにおっとりと、けれど少しだけ誇らしげに微笑んだ。
「精霊族っていうのはねぇ、自分の命が尽きる十年前、一生に一度だけ、次の世代を生み出すことができるんだよ」
精霊族は、自らの魔力と想いを結晶化させて次代を創る。
カームは十年ほど前、自分の寿命があとわずかだと悟ったとき、すべてを賭けて「次代」を望んだのだという。
「私はね、ただ自由で、誰にも縛られない子が生まれてほしいと願ったんだ。そうしたら、君が来てくれた。……ルミナス、君は私の命そのものなんだよぉ」
前世、誰にも望まれず、独りで死んでいった僕。
けれどこの世界では、一人の男がその命を削ってまで、僕の誕生を心待ちにしてくれていた。
「そっか。……カームが呼んでくれたから、僕はここにいるんだね」
その事実は、どんな強力な魔法よりも僕の心を強く、自由にしてくれた。




