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28.新たな仲間

エピソード番号ずれていたので直しました

奴隷国家ガルド・ガルド。数千人の獣人が鎖に繋がれ、絶望に沈んでいたその広場に、ルミナスはふらりと降り立った。


「……んー、やっぱり。この鎖、重そうだし、みんなボロボロじゃない。見てるだけで肩が凝るよ」


ルミナスが欠伸混じりに指をパチンと鳴らす。



パキィィィィン!!


空気が震えるような音が一度だけ響いた。次の瞬間、数千人の獣人を縛っていた魔導鉄の鎖が、まるでおもちゃの糸が切れるように一斉に弾け飛んだ。


「え……? 鎖が……」

「傷が……痛くない……?」


ざわつく獣人たち。ルミナスの放った銀色の光が彼らを包み込み、鞭の跡も、骨折も、長年の栄養失調さえも、数秒で「なかったこと」に書き換えていく。


「はい、おしまい。……あ、兵士の人たちがこっち見てる。怖いからもう行こうか。みんな、ちょっと耳を塞いでてね」


ルミナスが地面を軽く踏み抜くと、広場にいた数千人が、銀の光と共にその場からかき消えた。



ガルド・ガルドから連れてこられた数千人の獣人たちは、鎖のない自分の手足と、痛み一つない体に戸惑いながら、城の広大な中庭で立ち尽くしていた。


「……あの、ルミナス様。みんな、どこに住めばいいんでしょうか」

カインがおずおずと尋ねる。城の客室だけでは、到底この人数は収まりきらない。


「あ、そっか。住む場所ないと困るかぁ」


ルミナスは面倒くさそうに頭をかくと、城壁の中の空き地に向かって、ひょいと両手を振った。



「えい」


その気の抜けた声とともに、空き地から次々と「家」が生えてきた。

銀色の光が土を盛り上げ、一瞬で石造りの丈夫な家々が何百軒と並び、綺麗な街路が出来上がっていく。


「な……な……っ!?」

アルフレッドの目玉が飛び出しそうになった。

「一瞬で町を作ったのか……!? 建築資材も、設計図も、職人もなしに……!」


「ん、これでよし。あとは……みんなお腹空いてるよね」

ルミナスはさらに、広場の中心に並べられた何百もの長テーブルを指差した。



「おいしくなーれ」


ルミナスが指をパチンと鳴らす。

すると、空っぽだったテーブルの上に、湯気を立てる焼きたてのパン、丸焼きの肉、色とりどりの果物、なみなみと注がれたスープが、魔法で「どっさり」と出現した。


「わああああ……!」

獣人たちが歓声を上げ、香ばしい匂いに誘われてテーブルへ駆け寄る。



「……ん。終わった。あー……眠い。僕、寝るね」


「待ってくださいルミナス様! これだけの魔法を連発して、魔力は大丈夫なのですか!? 限界なのでは……」

レイガルが血相を変えて駆け寄るが、ルミナスは大きな欠伸をして、レイガルの胸板にこてんと頭を預けた。


「限界? ……別に。ただ眠いだけ。あとはよろしくね、みんな」


魔力が切れたわけでも、疲弊したわけでもない。ただ「一仕事終えて眠くなったから寝る」という、あまりにもマイペースな理由で、ルミナスはそのままスヤスヤと寝息を立て始めた。


「……主様が休息を望まれている。アルフレッド、貴様の騒音は主様の安眠を妨げる毒だ。静かにしろ」

レイガルは、眠りについたルミナスを「お姫様抱っこ」で軽々と抱え上げ、慈しむような、けれど独占欲に満ちた視線を落とした。


「……ゼノス、後片付けは任せたぞ」


「ふん。どいつもこいつも勝手なものだ」

ゼノスは悪態をつきながらも、影を操って獣人たちの食器を片付け、町全体の温度調節を始めた。


結局、数千人の世話と町の運営という地獄のような仕事は、一睡もしていない三人の部下に丸投げされた。


「……なんで私が……なんで聖騎士の私が、獣人の町の町長みたいなことを……」

アルフレッドの悲痛な独り言が、賑やかな夕食の喧騒にかき消されていった。

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