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魔の森でモフモフたちと暮らすことになりました  作者: 一色青


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第9話 岩塩探し

 えっちゃんの背に乗り、森の中を捜索して今日で3日目。まだ岩塩は見つかっていない。

 そのかわり、魔の森での狩りはだいぶ捗っている。というか、狩りの方が楽しくなってしまっている三匹だった。


 魔の森の魔物は、グリムウルフやグリムベアなどの『グリム』と付く固有種以外にも、グリフォンやマンティコア、ベヒーモスなんかもいる。

 こちらの大陸では高ランクの魔物と言われているが、そんなこととはつゆ知らず、えっちゃんを筆頭にノルとネロもバシバシと倒していく。


 オーレリアは、三匹が狩った魔物を次々と『解体』の魔法で解体しては、空間収納に放り込むを繰り返していた。


「ねぇ、もうお肉は十分だよ!本来の目的を忘れてない?」

『ほんらいの』

『もくてき?』

『なんだっけ?』

「もう!本当に忘れてるじゃん!ミルク飲めなくなっても知らないからねっ!」

『あー!みるく!』

『そうだ!しおだ!』

『はっ!そうか、岩塩か!』


 本当にただ狩りを楽しんでいただけらしい。まったく困った子たちだ。


「崖とか!岩場みたいなところを探してって!わたし言ったよね?」


 静かなる圧で、オーレリアが言う。


『はい、ごめんなさい!』

『『ごめんなさい!』』


『(オーレリアは、怒ると怖いな)』

『(そうだぞ、おこらせたらだめなんだぞ!)』

『(あんまりおこらないから、たまにおこるとびっくりするんだよ)』


 なんか、三匹が小さな声で何か言ってる・・・・・・。

 まぁいい。気を取り直して、岩塩を探そう。


『あー!りあ!いちごみたいなのみつけたー!』

『あのきのたかいところに、みがなっているよ!』

「あ、ちょっと待って!あそこに薬草が群生してる!」


 と、岩塩以外のものは順調に見つかっていく。


『りあ、おなかすいたよぉ~』

『ぼくもおなかすいた~』

『俺も~』


 朝からずっと森の中を探し続けていたからね。そろそろお昼休憩しないと。


「そうだね。じゃあえっちゃん、どこか開けた場所探してくれる?」

『わかった。あの川を上流に進めば、聖域にある湖の対岸にでるぞ!』

「いいね!湖の畔でお昼ごはんにしよう!」


 そうしてえっちゃんがぐんぐん走って行くと、聖域の湖に出た。対岸の方を見渡すと、オーレリアたちの樹の家が見える。


『あ!あそこに、ぼくたちのおうちがあるー!』

『ほんとだー!』

「へ~、こっちからみると、こんな感じなんだね」


 湖は今日も美しく、森の中より少し魔素が濃い。わずかだが、小さな精霊がキラキラと飛んでいる。


 オーレリアはさっそく、お昼ごはんの準備を始めた。まずは拾ってきた薪を組み、指に灯した小さな火を落とす。パチリと音がして、火が広がった。

 この火に、えっちゃんとノルとネロが狩った解体済みの魔物の肉を、木の枝にさして焼いていく。

 外で食事をするときは、狩ったお肉を焼いて食べる。これが今、ノルとネロの流行りだ。焼けたお肉にハーブソルトを少し振ってあげると、とても喜ばれる。


 三匹がお肉が焼けるのを見張ってくれている間に、ブランケットを敷いて、パンとチーズ、それから、食べやすくカットしたルベリアの実を出す。

 お肉が焼ける香ばしい匂いがしてきたので、みんなのお皿に取り分ける。


「『『『いただきまーす!』』』」


 う~ん!美味しい!

 

 今日のお肉は魔の森の固有種で、グリムベアのお肉だ。

 硬そうに見えたが、思いのほか柔らかい。余分な脂は少なく、肉の旨味が濃厚でいくらでも食べられそうだ。

 仕上げに振ったハーブソルトもちょうどよく風味を引き立てている。


 オーレリアは焼いたお肉を、チーズと一緒にパンに挟んで食べる。レタスも持ってくれば良かったなと思っていると、


『あー!りあずるいー!ぼくもそれがいいよー!』

『おれも、モグモグ・・・・・・それ、モグモグ・・・・・・たべたい!モグモグ』

『俺もそれ食べたい!・・・・・・モグモグ』

「ちゃんとみんなの分あるから、落ち着いて!ノル、飲み込んでから喋るんだよ?喉に詰まっちゃうよ?」


 ノルはなんでも食べるけど、ネロはひと手間加えたものが好きだ。ワイルドな塊肉よりもオーレリアが食べているものの方が好みのようだ。だからといって、別に少食なわけではない。


 三匹のために、お肉とチーズをパンに挟んでお皿に乗せてあげる。

 大好評だったことは言うまでもない。えっちゃんは物足りなそうだったけど。


『りあ、おみずちょうだい!』

「うん。オレンジジュースもあるよ?」

『りあのおみずがいい!』

『おれも、りあのおみずのむ!』

『俺も欲しい!リアの水には、リアの魔力が含まれているから美味いんだぞ!』

「そうなの?味なんて別に、普通の水と同じだと思ってたよ」


 オーレリアはくすりと笑い、コップは使わずみんなの前に水の球体を浮べる。

 ノルとネロが目を輝かせ、ぱくっとかぶりついた。えっちゃんもパクりと飲み込む。


 この後この水の飲み方が気に入った皆んなから、ちょくちょく水をせがまれることになる。


 お昼ごはんの片付けをしながらふと湖をみる。鮮やかな水色と森の緑が美しい。


「ここでキャンプしたら楽しいだろうなぁ」

『キャンプ?』

『きゃんぷってなに?』

「ここにテント張って、釣りをして、焚火して、ご飯食べて、寝るの。きっと星が綺麗にみえるよ」

『たのしそう!』

『きゃんぷやろう!』

『別に今やってることと同じじゃないか?』

「全然違うよ!夜もおうちじゃなくて、ここで過ごすの!星空を見ながらご飯を食べたり、寝たりするんだよ。分かってないなぁ、えっちゃんは」

『『わかってないなぁ!』』

『・・・・・・お前たちだって。ぜったい分かってないだろう!』


 えっちゃんがノルとネロに言い返す。この二匹はノリで言っているだけだから全然わかってないと思うよ。キャッキャッと言い合っている三匹はとても可愛い。仲が良くて良かった。


「さて、じゃあまた岩塩を探しに行こうか!今度はあっちの方に行ってみよう」


 そうしてまたえっちゃんの背に乗り探索を続け、夕方近くになってようやく白く輝く岩肌を見つけた。

 そこは崖になっていて、近づいてみると白い結晶が層をなしているのが見えた。


「あった!えっちゃん、ちょっとここ掘ってみて」


 えっちゃんが崖を前足でガリガリっと削ると、ボロボロと大きな岩塩の塊がいくつも採れた。


『わぁ、すごい!・・・・・・しょっぱい!』

『おっきいの、とれたねぇ!』

『こんなもんでいいのか?』

「うん。これだけあれば大丈夫。ありがとう」


 オーレリアは大きな岩塩の塊を、ポイポイと空間収納にしまっていった。


 なんとか岩塩を見つけることができた。あとは上手く交渉すれば、ミルクをもらえるかもしれない。


『これで、みるくもらえるかなぁ?』

『もらえるといいねぇ!』

『じゃあ明日、グラスブルのいる山に行ってみるか!』

「そうだね!」


 グラスブルに気が合う子がいるといいな。魔物の中でも大人しい部類だからきっと大丈夫なはず。ダメだったら残念だけど、町に買いに行こう。


 みんなでワイワイおしゃべりしながら家に帰る。魔の森の一日は、静かに暮れていった。

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