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魔の森でモフモフたちと暮らすことになりました  作者: 一色青
第4章

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第57話 ダンジョンへ行ってみよー!

『あしたは、はれるかなー?』

『はれるよ!おほしさまが、いっぱいだもん!』

『大丈夫だ!明日はいい天気だってばあちゃんが言ってた!』


 明日はみんなでダンジョンに向かう日だ。ダンジョンに入ってしまえば天気なんて関係ないのに、ノルとネロとえっちゃんは、遠足前の子供のように窓から夜空を見上げていた。



 ダンジョンを見つけた日、オーレリアはノルとネロとえっちゃんに、すぐにはそのことを教えなかった。言ったら人語のお勉強そっちのけで行こうとするだろうから、お休みの前の日まで内緒にしていたのだ。

 そしてお休みの前日、朝食の席で「実はね……」と発表したら案の定すぐに行きたいと言い出した。


「明日はお勉強お休みの日でしょ?今日ちゃんと行って、おじいちゃんに明日からのお休みの許可をもらおうよ」

『むぅ、そうか。じいちゃんにはちゃんと言っておかないと怒られるな』

「そうでしょ?お勉強はこっちからお願いしたんだし、ちゃんと言っておかないとね。今日はわたしも一緒に行くからさ」

『わかった!』

『はやくいきたいなー!』

『みんなに、おみやげ、もってかえろうね!』


 そんな感じでおりこうさんな三匹と一緒に、フェンリルの里に向かった。


 転移魔法陣で降り立った先では、えっちゃんの姉弟のシャノンとヴァイゼルが待ち構えていて、オーレリアも一緒だったことに大喜びしてくれた。


『わーい!リアだー!』

『リアー!どーん!』

「ああ~!」


 相変わらずの元気のよい突進と、千切れんばかりの尻尾の勢いに押され、新雪に埋まりかけたとき、えっちゃんのお姉ちゃんであるライリエルに救い出された。


『リア!今日は一緒なのね!シャノン!ヴァイゼル!どーん!ってしちゃダメでしょ!』

『こめんね!リア!今日は遊べるの?』

『ごめんね!リア!何して遊ぶ?』

「ライ、ありがとう!シャノン、ヴァイゼル、今日はちょっとおじいちゃんにお話があるから、遊ぶのはその後ね」


 気を取り直しておじいちゃんたちのところへ向かう。おじいちゃんなんて呼んでいるが、このフェンリルの里の長だ。転移陣のある広場のちょっと上の方に長の巣穴があって、その前にみんなを集めて人語の授業をしているのだ。


「おじいちゃん、おばあちゃん、おはよう!」

『おぉ!オーレリアではないか!よく来たな』

『あらあら、いらっしゃい。今日はどうしたの?』

 オーレリアは事の経緯を説明した。


『ふ~む、なるほど、ダンジョンか……それ、わしも行きたい!』

「えぇ!?」

『じいちゃん?』

『なになに?ダンジョンだって?それはパパも行ってみたいな!』

『父さんも?』

『私も行きたい!ダンジョンだなんて楽しそう!』

『ライリエル、お前もか!』

『何よ!エルディオールだけ楽しんでズルいじゃない!』

『エルディオール!ズルい!』

『俺も行きたいんだから!』


 なんだかおじいちゃんだけじゃなく、パパにライリエル、シャノンとヴァイゼルも行きたいとか言っている。声には出さないが見た感じ、おばあちゃんとママも行く気だ。


「なんで?みんなそんなにダンジョン好きなの?」


 すごく疑問に思ったので聞いてみる。


『見つかっているダンジョンのほとんどは、人間が管理しているからな。わしらは入れないんじゃ』

『そうそう。ダンジョンって珍しい魔物とかいるっていうし、美味しいものがとれるところもあるんだろう?』

『そんな楽しそうなところ、絶対に行ってみたいじゃない!』

『行きたい!行きたい!』

『人間ばっかズルい!』


 ということらしい。なるほど……え?ダンジョンって遊園地かなにかなのだろうか。


「理由はわかった。でもこのダンジョンはどんな敵が出るか、どれほどの深さか分からないから、まずはわたしたちに先に行かせて!」

『みんなで一緒に行けばいいじゃない!』

「そんなことしたら難易度が下がっちゃうでしょ?つまらないじゃん」

『たしかにそうね。敵の争奪戦になっちゃうわね』


 そうだよ、団体のフェンリルなんて、どのダンジョンのボス部屋にもいないでしょう?どうせ行くなら、オーレリアだって少しは楽しみたいのだ。


「だからさ、戻ったらどんな感じか報告に来るよ!」

『うむ、わかった!では、報告を楽しみに待っているぞい!』


 その日はいつも通りの授業をして(オーレリアはシャノンとヴァイゼル、そしてノルとネロと遊んで)家に帰り、冒頭に戻るのである。



 翌朝は快晴だった。オーレリアが目を覚ますと、ノルとネロとえっちゃんはすでにリュックを背負っていて、出かける準備は万端だった。

 三匹に急かされながら服を着替え、朝食を作り、食べている間も早く早くと言われ、実に落ち着かない。


「もう、ごはんぐらいゆっくり食べさせてよ!」

『りあ、たべるのおそい!』

『はやくたべて!』

『まだか?俺が手伝ってやろうか?』


 まったくせっかちな子たちだ。なんかもう、ゆっくりコーヒーを飲む時間なんてなさそうだし、さっさと食べて出かけよう。

 朝食の片づけをして、忘れ物がないか確認する。


『りあ!きょうのおべんとうは?』

『ぼくのぶんも!』

『俺のも!今日のおかずは何かなー!』

「ふふふ。実はね、今日のお弁当はまだ作ってないよ!」

『えっ!なんで?』

『おべんとう、なしなの?』

『なんでだよ!作ってくれるって言ったじゃないか!』


 ひどいよ、ひどいよと騒ぎ出す三匹。たしかにお弁当は作っていないんだけど、心配しないで欲しい。


「ダンジョンには、ニックとレミーも連れていくから大丈夫なの」

『え!そうなの?』

『にっくとれみー、いっしょにおでかけ?』

『ダンジョンの中で料理を作ってもらうのか!すごいな!』

「すごいでしょー!」


 空間収納には生き物は入れられないのだけど、ニックとレミーはゴーレムだから問題ないのだ。お弁当だと何日分になるか分からないし、ニックとレミーがいればオーレリアが疲れていても作ってもらえる。これで食事問題は解決だ。


 いつもの外套を羽織って外に出る。ノーグの魔石を満タンにして、ピピちゃんとポポちゃんに卵をもらい、餌をあげてから出発した。


 えっちゃんに乗って森を走る。なんかいつもよりスピードが出ている気がする。ダンジョンがある場所は魔の森の中央付近で、そこまではあっという間にたどり着いてしまった。


『ここかぁ!こんなところがあったんだな』

『おおきないしが、おちてるね』

『あのいし、じがかいてあるよ?』

「あぁ、あれはしょーもない内容だったから無視でいいよ。あ、でも確か、ダンジョンの奥に至宝が眠るって書いてあったような……」

『しほうって?』

「すっごいお宝ってことだよ」

『へー!このダンジョンの一番奥にすっごいお宝があるのか!楽しみだ!』

「まぁ、そうなんだけどさ……。その碑文を彫ったの師匠だから、なんか怪しいんだよね」

『ししょーがほったの?あのいしに?』

『なんで?』

「さぁ、さっぱり分からない。ずいぶん昔にこっちに来たときに彫ったんだろうけど……」

『リアの師匠って不思議な人なんだな』

「そうなんだよ」


 遠く離れた師匠に思いを馳せながら、ふざけた碑文を通り過ぎ奥へと進む。

 そして、石造りの門の前までやって来た。


「ここがダンジョンの入り口だよ!」

『いりぐち?もんだけ?」

『だんじょんは?』

『ただの古い門にみえるけど……』


 オーレリアが手を差し入れると、入れた手が消えたように見える。


『りあのてがなくなった!』

『りあ、だいじょうぶ?』

『この先は別の空間なんだな?』

「そう、ここをくぐればダンジョンだよ!」

『すごーい!』

『おもしろいねー!』

『ワクワクしてきた!』

「それじゃあ、行ってみよー!」

『『『おーー!!』』』


 オーレリアたちは張り切って石門をくぐった。

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