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魔の森でモフモフたちと暮らすことになりました  作者: 一色青
第4章

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第53話 お手伝いゴーレム③

 フェンリルの里側の魔法陣を完成させ、一旦家に帰ったオーレリアたち。


 こちら側の転移の魔法陣はオーレリアの家から、小川を挟んだ反対側にいい感じの岩場を見つけたので、そこに彫り込んだ。

 試しにえっちゃんとノルとネロと一緒に転移してみたら、ちゃんとフェンリルの里に到着した。これで行き来が楽になる。

 

 楽になったはずなのに、えっちゃんは帰りは転移の魔法陣ではなく走って帰ってくる。お勉強の後は無性に走りたくなるらしい。


 そのかわり、他のフェンリルたちが転移の魔法陣を使ってオーレリアのいる聖域に遊びに来るようになった。

 最初はえっちゃん家族が様子を見に来て、それからは、ご婦人フェンリルたちが湖でくつろいだり、若いフェンリルたちが魔の森で狩りをしたりしている。

 フェンリルの里とは環境が違うから新鮮で楽しいのだそうだ。魔の森の魔物も気に入ったようで、よくお持ち帰りをしている。

 ただし、北西の山にいるローラたちグラスブルには手を出さないように、厳しく言い聞かせた。

 

 ある日、おじいちゃんとおばあちゃんも遊びに来たので、一緒に湖の魚を釣りに出かけたのだが、何故か突然『誰が一番湖の魚を捕まえられるか大会』が始まってしまった。


 そのとき遊びに来ていたフェンリルたちが湖に集まり、それぞれの方法で魚を捕まえている。


 オーレリアは、いつものように釣り糸を垂らし、のんびりと魚がかかるのを待っていたのだが、フェンリルたちの魚釣りは凄かった。

 

 ある者は湖に飛び込み直接捕まえたり、ある者は風の魔法で水面に小さな渦をつくり、渦に巻き込まれ目を回した魚を捕獲したり、雷の魔法でビリビリさせたりしていた。

 

 えっちゃんはというと、水中深くに届く圧縮された空気弾を放ち、魚を気絶させるという荒業を繰り出していた。おかげでオーレリアは一匹も釣ることが出来なかった。


 釣りっていうのは、もっとこう、のんびりやるものじゃないの?


 結局、雷の魔法を駆使して魚を気絶させていたおじいちゃんが、一番多く魚を獲ったらしい。他のフェンリルたちは悔しがっていたが、こんなにたくさん魚を獲って、湖の魚が絶滅しなければいいけれど……。


 獲った魚はあまりにも多かったので、オーレリア一人ではとても捌ききれない。困ったオーレリアは湖の水を利用して、巨大な球体を空中に作り出し生け簀にした。お魚パーティーは明日開催すると言って、申し訳ないがその日は帰ってもらう。おじいちゃんたちは、楽しみにしているよと言って帰って行った。


「ふー。こんなにたくさん魚を獲るなんて。捌くのに何時間かかるだろう」

『ちぇ、じーちゃんに負けちゃったなぁ』

『えっちゃんもすごかったよ!』

『えっちゃん、かっこよかったよ!』

『えへへ、そうかな?それでリア、この魚どうするんだ?』

「フフッ、実はずっと前から思ってたんだ。お料理ゴーレムを増やそうって!」


 そうなのだ、お肉焼きゴーレムのニックは肉焼き専門なので、スープやパンなどは、結局オーレリアが作らなくてはならない。作るのは別に嫌いではないのだが、量が問題だった。単純に疲れるのだ。そこで、ずっと考えていた万能型お料理ゴーレムを作ろうと思う。


 オーレリアは湖の畔で魔法の杖を取り出し、土の地面に向けて魔力を込めながら、作りたいゴーレムのイメージをしっかりと思い浮かべる。


 今回は野菜を切ったり、材料をこねたり、味付けをしたりできるゴーレムを作りたい。手先が器用に動くようにしよう。お腹部分を作業台に出来るようにしたら面白いかも。レシピスキャン機能も持たせて料理を覚えられるようにしよう。


 あんまり欲張ると魔力の消費が大きいので、とりあえずこれで作ってみる。足りない機能はあとからちょっとずつ追加していけばいいだろう。


 そんな感じで、眩い光を放つ魔法陣からポコポコと組みあがっていったゴーレムは、人型でオーレリアよりも背が高い大人サイズ。

 下半身は重心がしっかりするように太めになっていて、上半身は割とスリム。腰にはエプロンのようなものが付いていて、これが作業台に変形する。関節部分と指はスムーズに動かすことが出来た。目の部分には横長の溝があり、レシピスキャンの際は水色に光る。鼻や口は今のところはない。


「ふー。こんな感じでどうだろう?」

『おお!かっこいい!』

『えぷろんしてる!』

『凄いな!目の部分はどうなってるんだ?』


 最後に魔石を埋め込んで起動させてみる。するとゴーレムは頭の部分を一回転させてから動き出した。目の部分をピカピカと点滅させ、指をワキワキと動かしている。


 準備運動が終わったのか、大人しくなったので、料理本の魚の捌き方のページをスキャンしてみた。

 目の部分から水色の光線がでて、ページを読み取っている。上から下にスーッと動くと、読み取りが終わったようだ。


 オーレリアは空中に浮かんだ生け簀から手近な魚を取り出し、包丁とともにゴーレムに差し出した。


「この魚を捌いて!」


 ゴーレムが魚を受け取ると、エプロン部分が腰の高さでぐるりと半円形に広がり固定された。その作業台に魚を乗せると包丁を掴み、魚のサイズを読み取ってものすごい速さで魚を捌きはじめた。


「おお!」

『わー!すごーい!』

『すごくはやいねー!』

『これは凄いな!』


 お料理ゴーレムは、いとも簡単に魚を捌いてくれた。仕上がりも綺麗だ。


「やったー!これで料理が楽になるッ!」


 オーレリアは嬉々として、生け簀の魚を次々とゴーレムに渡していく。三枚におろしてみたり、ぶつ切りにしてもらったり、いろいろな切り方を試してみた。内臓を取り出すだけならあっという間に出来てしまった。


 フェンリルたちは、チマチマしたものより豪快に食べるのが好きだから、ほとんどは内臓を取り出すだけにした。あとは明日ここで火を熾して焼けばいい。

 明日のための調理法や味付けを学習させれば、とりあえずはなんとかなる。


 それから、巨大魚を焼くときに必要になる太く長めの串に、それを乗せる支柱も作ろう。あとはフェンリルの里で使ったような平べったい大きな石もえっちゃんに探してもらおうかな。これで明日はお魚パーティーが出来るぞと、オーレリアはニマニマしていたのだが。


『ねぇ、りあ!このごーれむの、なまえは?』


 ……そうだった。名前考えなきゃ……。


「え、えーっと。名前、名前……ネロが付けてあげたら?」

『このこは、りあのごーれむだから、りあがつけてあげて!』

「で、でも!これからもゴーレムは増えていくかもしれないし……」

『りあ、なまえつけるの、いやなの?』

「えっ?別に嫌なわけじゃないよ!でもちょっと思いつかなくて……」

『じゃあさ、えっちゃんにつけてもらったら?おれたちは、ピピちゃんとポポちゃんのなまえつけたし』


 ノルが助けてくれた!めずらしくありがたい!


『えっ!?俺?う〜ん、急に言われてもなぁ。お料理ゴーレムの名前かぁ』


 よしっ!頑張れえっちゃん!君に任せた!


『ダメだ、思いつかない。やっぱりリアが付けるべきだ!』

「そんなぁ!あきらめるのが早いぞっ!」

『りあ、がんばって、なまえかんがえて!』

『りあ、がんばれー!』

「やっぱりわたしかぁ〜。う~ん」


 それからしばらく、う〜ん、う〜んと頭を悩ませたオーレリア。最初からゴーレムの名前は、ネロに何と言われようとも、お料理ゴーレム1号にしておけばよかった。そしたら今回のゴーレムはお料理ゴーレム2号ですんだのに。


 しかし、悔やんでももう遅い。『ノーグ』と『ニック』に次ぐゴーレムの名前は……。


「……レ、レミ……」

『え?」

「レミー!このゴーレムの名前はレミー!ヨロシク!」


 もうやけくそだ。これ以外なにも浮かんでこない。


『れみーかぁ!かわいいね!よろしく!』

『れみー!いっぱいりょうりつくってね!』

『レミーか!簡単で覚えやすくていいじゃないか!』


 簡単で覚えやすいのが一番でしょ……名前考えるのほんと苦手なのよね!


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