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魔の森でモフモフたちと暮らすことになりました  作者: 一色青
第4章

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第52話 フェンリルの里⑤

 おじいちゃんとおばあちゃんによる人語レッスンが始まった。


 おじいちゃんは、一段高い岩の上に座り先生役をしていて、おばあちゃんはその横でサポートだ。その向かい側にえっちゃんたち家族とノルとネロが座って聞いている。


 オーレリアは後ろからその様子を眺めてキュンキュンしていた。みんな可愛い!こんどノルとネロの防寒着は白いフェンリル仕様で作ってもらおう。


 一人暇になったオーレリアだが、ノルとネロとえっちゃんだけで毎日ここに通う方法を考えていた。やっぱり一番いいのは、こことオーレリアの家を繋ぐ転移魔法陣だと思う。


 転移魔法は知らない場所には行くことは出来ないが、行ったことがある場所になら転移することが出来る。その際、その場所をしっかりイメージできていないと魔力を食ってしまう。なので、転移したい場所に魔力で印を残しておくとスムーズに転移できる。

 さらにそれが魔法陣となるともっと少ない魔力で確実にその場所に転移することが出来る。それに、魔法陣なら転移魔法が使えないえっちゃんやノルとネロでも、魔力を流せば転移できるのだ。


 あとは、魔法陣を安全に使える場所に刻み込めばいい。フェンリルの里と、オーレリアの家の両方に。


「転移したときに安全な場所は……外だと雪が積もっちゃうかな?」


 オーレリアは一人で里の中を歩き回った。雪を防げる場所はだいたい誰かの巣だし、魔法陣を刻んでも大丈夫な場所といえば、昨日焼肉パーティーをした広場かな?

 その広場を見に行くと、中央にフライパン替わりの平べったい岩が3つ据えられたままになっていた。他は広く平らな岩場になっている。四方を壁に囲まれているので、風も穏やかだった。


「やっぱりここかな。ここの壁少し削れないかな?」


 広場の西側は分厚い壁になっているので、そこを少し削ってもらえばなかなかいい場所になるのではないか。最終的には長の許可がいるので、一旦みんなの元に戻ることにした。


 おじいちゃんとおばあちゃんの元に戻ってみたら、なぜかみんなぐったりとしていた。


「どうしたの!大丈夫?」

「あうあうあ~」

「えっちゃん!?ノルとネロは……なんで寝てるの?」

『あーダメだわ!ちょっと息抜きに行かない?』

「え?もう?」

『難しすぎる!なんだか思いっきり走りたい気分だ!』


 パパとママはそれほどでもないけど、えっちゃんとライはストレスがたまったらしい。シャノンとヴァイゼルはゴロンゴロンと転がっている。飽きちゃったみたいだね。そしてなぜかスヤスヤ寝ているノルとネロ。


『これは、前途多難だわい』


 おじいちゃんとおばあちゃんはフイーっとため息をついた。



「綺麗な場所だね」


 オーレリアは、ママとライに連れられて、流れの緩やかな川のほとりにいた。えっちゃんとノルとネロは、パパ達と一緒に狩りに行ってしまった。


「人語レッスンはそんなに大変だったの?」

『そうねぇ、なんというか、もどかしいというか』

『そうそう、風の魔法とかをバーッて出すのは楽しくてすぐに覚えられたんだけど、じっと座って声に集中するのって難しいわ!』


 要するに、じっとしていられないということかな。


「それでストレスたまっちゃったんだ?これから大丈夫かなぁ」

『こうして息抜きすれば大丈夫よ!』

「ところで、どうしてわたしをここに連れてきたの?」


 わざわざオーレリアを川に誘ってきたのだ。狩りに行きたかったわけじゃないからついてきたんだけど。 


『ママね、ずっと気になっていたのよ。エルディオールの毛並みが!』

『そうなのよ!なんであんなにツヤツヤでフワフワで真っ白なの?』


 さすが女子。ママとライはそこが気になっていたらしい。


「それはもちろん、お風呂に入って、わたしの特製シャンプーでゴシゴシ洗ったからだよ!」

『そうだと思ったわ!水浴びだけじゃあんなに真っ白にはならないもの!』

『ねぇ!私たちも洗ってくれない?』

「いいけど、水浴びは嫌じゃないの?えっちゃんはすごく嫌そうだったよ?」

『私たちは平気よ!綺麗になれるなら水なんてなんてことないわ!』


 お洒落は我慢みたいな感じかな?それならお望み通りやってやろうじゃないの!ということで、オーレリア特製のシャンプーとリンスでママとライをピカピカツヤツヤに洗った。


「ハァハァ……疲れた……」


 フェンリルの巨体を洗うのはものすごく大変なので、えっちゃんのように大型犬サイズに縮んでもらって洗ったのだが、それでも疲れた。それに、川の水は冷たいので、火魔法でちょうどいい温度に変える必要があった。まぁ、必要だったのはオーレリアだけで、ママとライは水でも大丈夫だったんだけど。

 でも頑張っただけのことはあり、二匹はそれはもう真っ白のフワッフワに仕上がった。


『うわーなんだか体が軽くなったみたい!』

『風でフワーっとなびくわ!こんなの初めて!』


 気に入ってくれたようで何よりだ。とりあえず、フワフワモフモフになったママとライに抱きついておく。


 そのあと狩りから帰ってきたパパは、ママとライを褒めまくった。なぜかオーレリアも褒められたが、シャノンにはママたちだけズルいと怒られた。でもその日はもうクタクタだったので、明日必ずと約束させられた。


 狩りの後はまた授業のため、おじいちゃんとおばあちゃんのところに戻る。こうやってちょこちょこ休憩をはさみながら少しずつお勉強するようだ。


 魔法陣については、おじいちゃんの許可がとれたので、えっちゃんに西側の壁に雪をしのげるようにちょっとした横穴を掘ってもらい、そこに作ることにした。みんながお勉強中は、オーレリアは魔法陣の作成に勤しむことになった。


 魔法陣の作成にはそれなりに時間がかかる。きちんと作動するように慎重に、そして消えないようにしっかりと魔法を操作して地面に彫り込まなくてはならない。

 

 オーレリアが魔法陣を作っている間、なぜかフェンリルのご婦人方が集まってきて、オーレリアの作業を眺めながら世間話に花を咲かせていた。

 なんでも、小さい子が一人でいるのが心配で、みんなで様子を見にきてくれたようだ。


『そうなのよ、最近は脂っぽい肉よりさっぱりしたお肉の方がよくってね』

『わかる~!』

『スノーホッパーがサッパリしていていいわ!』

『わかる~!』

『昨日の焼いたスノーホッパーは美味しかったわねぇ』

『美味しかったわ~!』

『ねえ、オーレリアちゃん。またあれ作ってくれない?』

「……うん……いいよ」

『ねぇ、セライナとライリエルの毛並みを真っ白にしたのはオーレリアちゃんでしょう?」

「……うん……そうだよ」

『えー真っ白ってどういうこと?』

『あら、みてないの?真っ白だしフワッフワになってたわよ!』

『えーそうなの?あとで見に行こう!』

『ねぇ、オーレリアちゃん。私たちもあんな風にしてもらえる?』

「……うん……いいよ。でもシャノンとの約束もあるから、順番ね」


 う〜ん作業が進まない。間違えないように慎重に作業してるのに、すっごい話しかけてくる。なんだかローラっぽさを感じる。ローラの場合はほとんど一人で喋ってるんだけどね。ローラ、元気にしてるかな?


 そのあと、真っ白い毛並みをなびかせて現れたママとライのせいで、そこにいたご婦人フェンリルたち全員にシャンプーリンスを約束させられた。そのかわりに、この辺りで採れるキノコや果物を集めてきてくれるらしいので、それで手を打った。


 ご婦人フェンリルたちのおしゃべりに翻弄されたが、なんとか夕方までに魔法陣を作ることが出来た。あとはオーレリアの家の近くに同じものを作ればいい。


 シャンプーリンスの約束もあるし、暫くはオーレリアもフェンリルの里に通うことになりそうだ。


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