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魔の森でモフモフたちと暮らすことになりました  作者: 一色青
第2章

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第25話 お家がいちばん!

 翌日、オーレリアが朝食を終えて部屋でのんびりくつろいでいた頃、騎士団副団長のフリードリヒが訪ねてきた。報酬を持ってきたのだと言う。


 宿の女将のミレーネが、「もう朝食の時間は終わったからね」と空いた食堂に案内してくれた。ついでに、黄昏の獅子に立ち合いも頼む。


「エルディオール様ご依頼のマジックバッグを持ってきたぞ。まずは、報酬の確認をしてくれ」


グリムサーペント6匹の討伐 金貨600枚

上級ポーション10本 金貨100枚

魔の森から町までの護衛依頼 金貨256枚


 紙にはそれぞれの報酬金額が書かれていたが、それが多いのか少ないのかオーレリアには分からない。


「よければ、ここにサインをしてほしい」


 黄昏の獅子の人たちが頷いているので、きっと妥当な金額なのだろう。オーレリアはサインした。


「ではこれが、報酬のマジックバッグだ。これは特大サイズのマジックバッグで、巨大な倉庫サイズだな。今回の報酬だとこれ一つ分と、この部屋一部屋分ぐらいの容量の中型マジックバッグ二つになる。これでいいかな?」


 マジックバッグは肩掛けできるデザインになっていて、えっちゃんなら首から下げても問題なさそう。でも、ノルとネロは無理だろうな……。まぁいいか。


「これでいいよ、ありがとう!」


「いや、礼を言うのはこちらだ。本当に助かった。町に来て困ったことがあったら何でも言ってくれ。力になる」

「そうだな、リアは命の恩人だ。俺たちにできることがあったら何でも言ってくれよ!」


 グレインがそんなことを言うが、大げさだなぁ。


「それにしても、特大サイズのマジックバッグなんてさ、あたしたちはこれを買うのに大分頑張ったんだけど、こんなにあっさり手に入れるとはねぇ」

「しかもオーレリアちゃんには必要なくて、従魔用だものね」

「なんか、やっぱり次元が違うよな」

「さすがハイエルフだな!」


 ジーナたちがいろいろ言っているが、オーレリアはえっちゃんとマジックバッグの使い方を確認していてよく聞いていない。


「うん、えっちゃんでもなんとか使えそうだね!報酬ももらったことだし、そろそろ帰ろうか」


 オーレリアは立ち上がり、椅子の上で寝ていたノルとネロを抱き上げる。ミレーネさんにお礼を言って宿を出た。結局宿の主人は一度も見なかった。料理美味しかったなぁ。


 

 フリードリヒと黄昏の獅子たちが、わざわざ町の外まで見送りに来てくれた。


「そうだ!ギルマスがニワトリの件はひと月ほど待ってほしいってさ」


 ジーナがギルマスからの伝言を伝えてくれる。昨日オリビエと一緒にギルマスにお願いに行っていたのだ。


「うん。わかった」

「それと、Eランクの冒険者証の期限は3か月だからね。3か月以内に何か依頼をこなさないと期限切れで再発行になっちゃうわよ!」

「う~ん、わかった~」


 ソフィアからの助言に曖昧な返事をしてしまう。従魔登録のせいで、冒険者証を持ってないといけないんだよね。面倒だな。


 元の大きさに戻ったえっちゃんに乗り、みんなに手を振る。


「じゃあ、またね!」


 オーレリアが掴まったことを確認してえっちゃんが走り出す。


「オーレリア殿、お気を付けて」

「またねー!リアー!」

「オーレリアちゃん!またね!」

「またなー!」

「ちゃんと依頼受けろよー!」

「俺たちの名前忘れるなよー!」


 二日間町でおとなしくしていたえっちゃんは、やっと走れるとものすごいスピードで駆けていく。みんなの挨拶はぜんぜん聞こえなかった。


 人のいない場所を選んで、道なき道を魔の森に向かってひた走る。歩いてきたときは結構かかった道のりも、えっちゃんにかかればあっという間だった。

 目の前に見えてきた魔の森は、たった二日しかたっていないのになんだか懐かしい気がした。やはり森の中は、町よりも魔素が濃い。オーレリアはほっと一息つく。


 森に入ってから一度だけお昼ごはんの休憩をとったが、町を出てからわずか3時間ほどで家に着いた。


「は~帰ってきた~!さすがえっちゃん、速いね!ありがとう!」

『思いっきり走れて気持ちよかった!』

『わーい!おうちだー!』

『おうちが、いちばん!』


 庭は出かける前と変わらず、お手伝いゴーレムによってしっかりと手入れされていた。


 ただいまー!とドアを開けると、オーレリアの魔力に反応して自動で明かりがつく。

 リビングのソファに座り、ふーっと一息つく。夜ごはんにはまだ早いし、ちょっとお昼寝でもしようと横になった……ちょっとのはずだったのに目が覚めたら、


『『『りあ!よるごはんのじかん!!!』』』


「!?」


『おなかすいたも~ん!』

『ぼくもすいたも~ん!』

『俺は町から走ってきたから、すっごくお腹空いたも~ん!』


 思ったより疲れていたのか、気が付いたら外が薄暗くなっていた。

 夜ごはんか、面倒くさいな。やっぱり無理をしてでも、お料理用のお手伝いゴーレムを作ればよかったと後悔したオーレリアだった。


 こんな時のために、すぐに食べられるものを町でたくさん買い込んできたのだが、正直、連日の屋台飯は嫌だったので、今日はハイエルフの里から持ってきた、アルシア特製ビーフシチューにしよう。残りが少なくて出し惜しみしていたが仕方ない。塊肉がゴロゴロと入っていて、それがとってもやわらかくてすごく美味しいのだ。


 ダイニングテーブルに着き、熱々のビーフシチューをお皿によそい、大好きなサラダと、町で買ってきたパンを出して夜ごはんにする。


「いただきまーす!」

『『『いただきまーす!!!』』』

「う~ん、美味しい!」

『あつ……うまうま……あつ……うまうま……』

『あっつい!でも、ぼくこれすきー!』

『ガツガツ……ガツガツ……』

「特大の鍋に作ってもらったけど、もうなくなっちゃった。あ、銀鹿亭でも作ってもらえないかな?今度行ったときに頼んでみようかな」

『うん、それはいいね!あそこの料理はなかなか美味しかったし』


 えっちゃんはあの宿の料理が気に入ったらしい。美味しかったもんね。


「あとはやっぱりお手伝いゴーレムだね」

『おてつだいごーれむって、おにわにいるあれ?』


 ネロはお庭のゴーレムが気になっていたらしい。明日は庭で、じっくり観察するそうだ。


「あれだよ!もうちょっと大きくして、キッチンで料理できるようにするの。みんなのお肉をいつでも焼いてもらえるようにね」

『それ!ぜったいにつくって!あした!ぜったいに!』

「ノル?お腹がすくたびにお肉焼いてもらっちゃダメだよ?ブクブクに太っちゃうよ?」

『そんなことしないもん!(なんでわかったんだろう)』

『じゃあ、大きな肉も焼けるようにしてよ!俺もお腹いっぱい焼いた肉を食べたい!』

「そっか、えっちゃんはいつも物足りなかったんだね。ごめんね!」

『そんなことないぞ!俺はいつでも狩りに行けるから大丈夫。でも、料理したお肉だけでお腹いっぱいにしてみたかったんだ!』


 そうだね。えっちゃんが満足する量のごはんなんてなかなか作れないもんね。でも、うちの子にひもじい思いなんてさせられない!何とかしてえっちゃんが満足できるように、たくさんのお肉を焼けるようにしよう!そんな決意をするオーレリアだった。


 食事の後は、もちろんお風呂だ。宿にお風呂があったからオーレリアは森での野営のとき以外はちゃんとお風呂に入っていたが、やっぱり家に帰って来たからには入らなくては!


「みんな、お風呂入ろう!」

『いいよー』

『きょうは、はいる』

『……仕方ないな』

「そんなに嫌なら無理しなくていいよ?」

『いや、そこまで嫌なわけじゃないんだけど、なんとなく……』

『はいれば、きもちいいんだけど』

『はいるまでがね』

「めんどくさがり屋さんか。じゃあ、さっさと入っちゃおう!」


 そうしてオーレリアに綺麗に洗われて、フワフワでいい匂いになったみんなと、フルーツミルクを飲んでベッドに入った。


 やっぱりお家がいちばん!モフモフふわふわになったえっちゃんと、ノルとネロを抱きしめてみんなの匂いを堪能する。


「はーーー!いい匂い!さいこー!」


 クスクス笑う三匹のモフモフに包まれて、オーレリアは眠りについた。


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