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魔の森でモフモフたちと暮らすことになりました  作者: 一色青
第1章

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第18話 森を出た

 オーレリアたちは、夜ご飯を食べて機嫌がよくなったえっちゃんに乗り、調査隊の野営地へと向かった。


 野営地につくと騎士団副団長のフリードリヒがやってきた。


「あぁ、よかった。来てくれたか。エルディオール様が走ってどこかへ行ってしまったから心配していたのだ」

「ごめんね。えっちゃんに迎えに来てもらったんだ」

「もう準備は終わったのか?」

「うん、なんとかね。ちょっと結界を張るね」


 オーレリアは野営地に結界の魔法を張った。これで森の中でも安心して眠れる。


「助かる!テントは持っているか?なければ、予備のものを貸すが」

「大丈夫。持ってるよ。この辺でいいかな」

「あぁ、もっとこっちの方がいいな。こっち側は女性の冒険者のテントだ。近いほうがいいだろう」

「わかった」


 そういって、オーレリアはテントを張った。張ったといってもほとんど自動で広がる魔道具のテントだ。

 見た目は一人用のテントだが、中はえっちゃんが入れるほど広い。床一面に厚めのラグが敷いてあり、ふかふかのクッションがたくさん置いてある。天井付近には、魔法のランタンがフワフワと浮いていて、やわらかい光でテント内を照らしていた。


 テントに入ろうとしたところで、Sランク冒険者パーティー黄昏の獅子の女性メンバーで、槍使いのジーナと魔法使いのソフィアが話しかけてきた。


「オーレリアちゃん!戻ってきたのね!」

「ちょっとお話でもしない?夜ごはんは食べたかい?」

「いいよ。夜ごはんは食べてきたよ」


 そして、テントの外の焚火でお湯を沸かす。他の冒険者や騎士団の人たちも、野営地の結界内で焚火を囲んでいた。


「オーレリアちゃんのおかげで、魔の森の中でもゆっくり焚火ができるわ」

「ほんと、助かるよ。こんなに楽に野営ができることなんかないからね!」

「結界の魔法は使わないの?」

「そんな高度な魔法を使えるのは、国のトップの上級魔法使いぐらいよ。私たちは魔道具の結界を使うけど、この森での効きはイマイチだわ」

「そうそう、それに昼間はエルディオール様が一緒に歩いてくれていたから、魔物の気配も感じなかったよ。あたしたちから離れるときは、おっかない威圧を辺りに放ってくれていたし」

「あれは、私も怖かったわ」


 それは知らなかった。えっちゃんなりに気を使ってくれたのだろうけど、フェンリルの威圧だから慣れない人たちは怖かったかもしれない。


「えっ、そうだったの?ごめんね?」

「いいのよ、気にしないで!」

「あたしたちが、まだまだだってことさ。Sランクパーティーといってもこの森では何の力もないと思い知ったよ」

「ホントね。はい、お茶」

「ありがとう」


 ソフィアがお茶を入れてくれた。これはカモミールティーかな?いい香りがする。


「まぁそんな話よりさ、オーレリアのこと聞いてもいい?」

「わたしのこと?何?」

「えっと、オーレリアって何歳なの?」

「112歳だよ。二人よりも年上だよ?」

「年上ねぇ。……エルフって成人の年齢設定ってどうなってるんだっけ?」

「たしか、100歳で成人よね?」

「……そう」


 成人したばかりだってばれた。年上感をだそうと思ったのに。


「なんだ!まだ成人したばっかりか!それにしても、まだ10歳ぐらいに見えるな。町にいる成人したエルフはもっと大きい気がするんだけど」

「わたしは今は成長期のはずだから、すぐに大きくなの!」

「エルフのすぐって、どれぐらいかしら?」

「200歳ぐらいまでにはちゃんと成長するって聞いた!」

「あと100年ね……なるほど」


 生温かい目でみられてる気がする。


「オーレリアちゃんって、いつからこの森で暮らしているの?」

「う~ん、まだ1か月ぐらいだと思う」

「あら、来たばかりなのね?どうしてこの森で暮らそうと思ったのかしら?」

「それはね、お仕事なの。この森の奥に女神様の聖域があって、そこで精霊を増やしてるんだよ」

「お仕事で精霊を増やす?どういうこと?」

「この大陸って精霊がほとんどいないでしょ?だから増やしたいんだって。わたしは聖域にいるだけでいいって言うから、特に何もしてないんだけどね」


 手紙のときのような説明不足が発揮されたおかげで、ほとんど伝わっていないのだが、オーレリアは気付かない。


「へー……さっぱりわからん。これはあんまり突っ込んで聞かない方がいいのか?」

「う~ん、どうなのかしら?分からないわね……」

「あー……じゃあさ、無理にとは言わないけど、猫ちゃんたちにさわらせてもらってもいいかな?」

「私もずっとさわってみたかったの!もし出来たら、エルディオール様にも!」

「ちょっと聞いてみるね」


 オーレリアのすぐ横で、丸まって寝ている三匹に声をかける。


「ねぇ、みんな、起きてるんでしょ?さわってもいいかって!」

『ちょっとだけならいいよ』

『ぼくもいいよ!』

『俺は……うーん。ムムム……』

「えっちゃん、無理しなくていいよ……。あのね、ノルとネロはさわってもいいって!えっちゃんはちょっと嫌みたい」

「わかったわ。ありがとう!」


 ジーナとソフィアはそれぞれノルとネロを撫で回した。とても幸せそうで、笑顔がとろけている。やっぱりもふもふは正義なんだね。


 ノルとネロは、撫でられて気持ちよかったのか、すっかりお休みモードになったので、オーレリアはテントに戻ることにした。


 ジーナとソフィアにおやすみを言って、テントにはいる。

 えっちゃんはクンクンと匂いを嗅ぎ、大きめのクッションを枕に丸くなる。オーレリアとノルとネロは、そのえっちゃんのお腹のもふもふに埋まり毛布をかける。

 ふわふわとして温かく、すぐに眠りに落ちた。


 次の日の早朝、軽く朝食をとって出発する。えっちゃんとノルは朝から元気に狩りに出かけていた。


 その日も休憩をしながら、陽が落ちるまで森を歩く。ほぼ一日中歩き続けて、オーレリアはクタクタだった。明日はえっちゃんに乗せてもらうことにしよう。


 夜は野営地で、えっちゃんが狩ってきたグリムバイソンを豪快に焼いて豪華な夜ご飯となった。冒険者たちは大盛り上がりだった。


 そしてようやく森を出た。オーレリアとノルとネロは森から出るのが初めてだったので、キョロキョロと辺りを見回す。

 特に道もなく、面白い景色ではない。


「ここから1時間ぐらい行くと街道に出る。そこに騎士団の駐屯地があるから、そこからは馬車に乗れる。今日中には街につくだろう」


 副団長のフリードリヒが説明してくれた。


「けっこう遠いね」

「さすがに、魔の森のすぐ近くに町は作らんよ」

 

 そうなんだ。ハイエルフの里は森の中にあるけど……。


「それにしても、森の外は魔素がさらに少ないね」

『りあ、だいじょうぶ?』

『りあ、はなぢでない?』

「大丈夫だよ。けっこう慣れてきたんだから!無理に魔法をつかわなければ、鼻血なんて出ないよ!」

『リア、無理はするなよ。魔物が出ても俺がやるからな。何もしなくていいぞ!』

「ありがとう。だけど魔物たち、えっちゃんを怖がって全然出てこないじゃん」

『たいくつだよね』

『ねむくなっちゃう』

『お前たちが眠いのはいつものことだろ!』


 まだちゃんとした道はないが、森の外は大分歩きやすい。調査隊の人たちも、森を出て表情に余裕が出てきたようだ。

 足取りも軽く割と早く騎士団の駐屯地にたどり着いた。


 駐屯地の騎士たちは調査隊の帰りを喜んでいたが、えっちゃんの姿を見て警戒態勢をとった。


「剣を収めろ。敵ではない」


 フリードリヒがこれまでの経緯を説明して通してもらえたが、騎士たちはえっちゃんから目が離せないでいた。


 こんなにモフモフで可愛いのに。


 そして、調査隊は馬車に乗り、オーレリアとノルとネロはそのままえっちゃんに乗り、とうとうグレンハルトの町に着いたのだった。


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