夢(1) 過去の呼び声
本編まだ書き切れてない…というか、手を付けれてないので一旦閑話を挟ませて下さい…ホントすんません……
普段、酷使なんてしない神威を一時の感情に身を任せたとはいえ、最大出力で活用してしまった。
そんなことをすればどうなるかなんて火を見るよりも明らかなものだろう。
馬鹿げた事だがガス欠を起こしたのだ。今は一歩踏み出すどころか、起き上がって立ち上がることすら…いや、意識を保つことすら困難なものである。
雨が滴る音を、遠い何処かで聞きながらうっすらと途切れ行く意識の中で瞼の裏に浮かんだのは過去の情景…忘れ去りたい、埋もれさせたままにしたかった記憶であった__。
__時は西暦 19××年、暖かな春の日差しを感じられる日…。
アハハ、アハハハハ…
何処か遠く、しかし近く…そして少し煩くも感じられる元気な男の子の笑う声で目が覚める。
今は何時だろう…?いつから眠っていた?…あぁ、そうだ。春の暖かな木漏れ日を縁側で楽しんでいれば、あまりの気持ち良さに寝てしまったのだ。
遅くも頭でそう理解できれば、まだ眠っていたいと声をあげる体と意思を宥め、上半身を起こす。
ふあぁ…なんて、大きな欠伸をすればゆっくりとした動作で起き上がり、さっきまで笑っていた声の主である子供達を探そうか…。
「にいちゃーん!!」
「弥宵お兄ちゃーん!!!」
探す手間なんてどうやら必要なかった。
探していた相手はドタドタと忙しない足音を立てて、ドカッ!とその勢いを殺さずに抱きついてくる。
ジンジンとした鈍い痛みが抱きつかれた辺りから体全体へと染み渡る。
二つもあれば眠気覚ましにはもってこいだと言わんばかりの痛みだ。
「やれやれ、転んだら危ないから走ったらダメだと言っているだろう?」
何とも優しく、だがちょっぴり怒ってる様を出しながら2人の弟の頭を撫でるとしよう。
自分の宝とも言える大切な弟たち…。
「ぶー、だって暇なんだもん~…」
「暇だよぉ…」
だが兄のそんな態度が少し気に食わなかったのか、二人の弟からはブーイングを出されてしまう。
ふと、抱きつきから解放されたと思えばガシッと男の子らしく何処か強さを感じる力で各々に両腕を捕まれてしまった。
遊んでー!構ってー!と年相応な声と要求する声、そして左右に揺さぶる動き。
困ったものだ、と言わんばかりに困り顔を浮かべながらも「良いよ」と了承すれば弟たちの望む遊びに興じよう。
* * *
どれだけの時間が経っただろうか?
赤い夕暮れの光が屋内に差し込み、何と眩しいことか。
遊び疲れ、ヘトヘトになって居間で座り込んでしまうも、体力の有り余った弟たちは「まだ遊ぶのー!」なんて元気な声を張り上げていた。
元気だなぁ…なんて思っていれば、ふと気になったことを弟たちに何気無しに聞いてみた。
「母さんと父さんはどうしたんだ?」
今日は確か仕事も無く休日だったはず、家に居ないのは少しおかしく感じれてしまった。
何気無いそんな質問を弟たちが聞けばピタリと声を潜めてしまった。
?を浮かべ、「どうした?」と問いかければ次男坊が口を開いた。
「にいちゃん、寝むそうにしてたから聞いてなかったんだと思う。お父ちゃんもお母ちゃんも親戚のおじさんに呼ばれて仕事に行っちゃった…」
「うん…だから兄ちゃんが起きるまで二人で遊んでたの…」
二人の寂しげな顔を見れば嘘なく言っているのが分かる。
嘘をつく必要がないこと知っているからこそ、弥宵は申し訳なさそうな顔をした。
「そっか、すまないな。あんまりにも気持ち良かったから、兄ちゃん話も聞かずに寝ちゃったんだ。何やってんだろうなー」
ほら、おいで
その気持ちを示すかのように膝元をポンポンと叩く。
弟たちは嬉しそうにダッと駆け寄ってその上に座り、兄の体を抱き締める。
そんな様子に愛しささえ覚えながら頭を撫でてやりつつ、言い訳じみた事をちょっとおふざけ調子に語れば、がしがしと強く撫でてやろうか。
止めてよー!なんて言葉をあげながらも嬉しそうにする弟たちの顔を見れば何だかこちらも嬉しくなり、年相応の屈託のない純粋な笑顔を溢して見せた。




