8.異世界に調味料はやっぱり少ない
「ここです」
タマキに案内されて俺はついに食堂にたどり着いた。
というかタマキと会った場所から見えてた。
つまり俺は迷っていたわけではないんだ!あれはタマキを安心させるための嘘だったということにしておこう。
「ありがとうな。助かったよ」
タマキに礼を言うと足元まで寄ってきた。
何かを期待するかのように俺を見上げている。
なんだその目は。かわいいじゃないか。親戚の子供の相手をしていた時を思い出して求めてることを予想してみたがわかるわけもなく。
とりあえず頭を撫でてあげることにした。
「〜〜!」
嬉しそうに目を細めていた。
正解はこれだったようだ。なんだこの生き物かわいいかよ。
「さて、空腹を満たす供物はどこだ」
頭を撫でるのもほどほどに食事を探す。腹が減りすぎて変なテンションになっている気もする。
そして頭を撫でるのをやめたことでタマキが少ししゅんとしていた。
だからなんだそれはかわいいがすぎるぞ。
「あの、お夕飯は多分残ってないです。なのでなにか作るしかないと思う…」
しゅんとしつつも食事はないことを教えてくれた。
そしてそれを聞いて俺がしゅんとした。
「そうかぁ。けど作れるくらいの食材はあるってことだよな」
作るしかないなら作るさ。これでも料理はできる方なんだ。
向こうではほぼ一人暮らしだったからな…両親はお互いの浮気相手とキャッキャウフフで金もなかったから限られた食材しか使えないのも問題ない。
…思い出すと胸糞悪いな。
「あの、どうかしたんですか…?」
恐る恐るといった感じでタマキが声をかけてきた。
両親のことがどうも表情に出てしまっていたらしい。
「ごめん、なんでもないよ。じゃあ俺は適当に飯作って食べるからタマキちゃんはもう戻っても大丈夫だよ。ありがとうね」
もう一度礼を言ってタマキを寝室に戻るよう促す。今が何時かわからないが結構暗いし夕食も残ってないならそれなりに遅い時間だろう。
子供に夜更かしはよくない。
「いい。作るの見ていたい」
「え?いや、見てるのはいいけど眠くないのか?」
「はい。キョウスケ様が作るご飯が気になる」
たしかに眠くはなさそう。それにちょっと興奮気味か?この状態だと布団に戻っても眠れないだろうなぁ。
「そうか。じゃあまぁ見ててもいいよ。ただ眠くなったら部屋に戻るんだぞ?」
「わかりました!」
いい返事をして俺の後をついてくるタマキ。
さて、食材はなにがあるのか。
この世界の食材は意外なことに俺がいた世界と大きな違いがない。
たまに色が毒々しかったりするが。
名称は多分違うんだろうが俺が数ヶ月行動を共にしていたのは召喚勇者たちだ。この世界での名称なんて知るわけもなく。
「野菜は結構あるな。使っても問題なさそう。肉はー…少ないか」
食材を見ながらメニューを考える。野菜しか使ない感じっぽい。ならスープが炒め物だな。
サラダは食った気がしないし食材も少し傷んでるから却下。
あとは調理器具と調味料次第だな。
「タマキちゃん、調理器具とか調味料があるとかって知ってる?」
「えと…お鍋とかはそこの棚にあると思います。ちょうみりょうって…?」
あ、調味料知らないのか。
「すまん、えーっとな塩とか砂糖とかそうゆうのがどこにあるかわかるか?」
「ごめんなさい…それはわからないです…」
しゅんとしてしまった。
「そっか。ありがとうな。それは自分で探してみるよ」
軽く頭を撫でてやると嬉しそうに目を細める。
撫でられるのが好きなんだろうな。かわいいかよ。
愛でるのもほどほどに調味料探しを再開する。
タマキから名残惜しそうな空気を感じるがスルーだ。心を修羅にしろ。
調味料を探しつつ調理器具をチェックする。
フライパンっぽいのは見当たらないが鍋がある。これはスープだな。調味料は塩は見つけた。
「素材の味でいいか…」
塩のみのシンプルな味付けの野菜スープになりそうだった。




