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25.奴隷の2人は天才肌

タマキの上達は凄まじかった。

コツを掴んだのか俺の知る魔法を教えると数回試すだけで発動することができた。まぁ戦闘になると今のようにゆっくり集中して魔法を行使できる場面はほぼないので明日からの依頼で今のように使えるかと言われれば無理だろうが。


「すごいなタマキ。俺が教えられることのほとんど習得できたじゃないか」


「そうなの?でも私もっといろいろ使えるようになりたい!」


「じゃあ今後は俺と一緒に魔道書を読めるように勉強しようか。といっても城の書庫に行くことは多分できないだろうからお金が貯まってからだけどな」


テンプレ異世界のお約束で紙が高いので本も高い。魔導書ともなればさらに高くなる。


「わかった!けどそれまではなにもできないの?」


「そんなことないぞ。魔導書を読むのは難しいからな。まずは読み書きができるように勉強だ」


「はい!」


魔法が使えたことが嬉しかったのかモチベーションは訓練前より上がっているようだ。とはいえまだ幼い女の子なので疲労が顔に出ている。


「今日はここまでにしようか。お疲れ様」


「お、そちらも終わりか」


いつの間にかナタリアがマオを引きずってこちらに来ていた。


「こっちもこいつが伸びたから終わりにしてきたところだ」


「お疲れ様。ずいぶんとハードにやったなぁ」


「いや、こいつ歳の割に力も身のこなしも悪くなくてな。ついつい気合が入ってしまった」


「そうなのか?たしかにステータスは高い方だけど対人戦は素人もいいところだと思うが」


俺と戦った時も素人丸出しの動きが多かったからな。俺より手練れであろうナタリアにとっては赤ん坊同然だろう。


「いや、こいつは悪くないぞ。負けず嫌いなんだろうが私の動きを観察して真似てどんどん動きがよくなっていったからな」


マオって天才型か?見て覚えるとか俺には無理だ。


「多分途中で槍術スキルも取ったんじゃないか?目に見えて槍捌きが変わったしな」


なんと?今日だけで?数日は必要だと思っていたのに。

そんなことないだろうと思ってマオに対して鑑定スキルを使うと保有スキルにたしかに槍術Lv1の表記があった。


「マジかよ。槍術スキル獲得してるわ」


「だろう。こいつは鍛えがいがありそうだ。もしよければ私もお前のパーティに同行させてもらえないか?ウェルズには許可取るから」


「いいのか?お前も教育係だろ。ウェルズがいいって言うかどうか」


「いいデスよ」


「おおおおおお!?」


いきなり後ろからウェルズの声がして思わず悲鳴を上げてしまった。

なんでこんなに気配消せるのこいつ?ただの商人じゃないだろ。



「ありがとう、というわけでこれからよろしくなキョウスケ」


「いいならいいけどさ…ウェルズ、心臓に悪いことはやめてくれ」


「アズマサマは結構ビビリデスネ。今は戦闘要員の教育はこの2人以外にしてませんし、仕事をしない人間に給金を払うよりは仕事をしてもらってる方がいいデス」


ごもっとも。

するとタマキが上目使いで


「ナタリアさんも一緒に冒険するの?」


と聞いてきた。幼女の上目使いくっそかわいいなおい。


「そうみたいだな。仲良くするんだぞ」


「むぅ…わかりました」


ちょっと納得いかないという顔で返事をする。まぁ人見知りしてるのかもしれん。嫌でもこれから一緒に行動するのだからそのうち仲良くなるだろう。


「いってぇ…」


話がまとまったのかどうかわからんがいいタイミングでマオが目覚めた。


「おはようさん。お前今日だけでだいぶ強くなったらしいな」


「んなわけないだろ。このおばさんに1回も勝てへぶぃ!!」


「お姉さんだろうが」


ナタリアにぶん殴られていた。ナタリアは中性っぽい見た目だが普通に綺麗な顔立ちをしている。おばさんはない。


「おいマオ。いくらきれいな姉さんに耐性がないからって照れ隠しにおばさんはないだろう。失礼だぞ」


「照れてねぇ!!」


これだから思春期は。手下の不始末は主人の責任だろう。ナタリアに謝ろうと向き直るとめっちゃ顔が赤かった。

……めんどくさいことになりそうなのでスルーしよう。タマキもなんか膨れっ面だし。


「ともかくそろそろ夕飯のお時間デスのでお呼びにきましたヨ。いろいろお話もあるでしょうがとりあえずは食堂に移動しまショウ」


わざわざウェルズがくるとは思わなかったが雇い主として仕事ぶりでも見に来たんだろうと勝手に納得しておいた。

こいつの考えてることはわからんし。


それぞれが百面相しながらウェルズの後ろについて夕食へ向かった。

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