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24.訓練開始

「お帰りなサイ。意外と遅かったデスネ」


俺たちは商館についてすぐにウェルズのところへ向かった。ウェルズは表情こそ変わらないが忙しそうに書類生理していた。

手元と目線は書類の上を忙しなく動いている。


「ただいま。いろいろあって遅くなったけど無事に登録してきたぞ」


「それはよかった。勇者と遭遇したと聞きましたが問題はなかったようデスネ」


なんで知ってんだよ。昨日からこええよこの人。


「知ってるついでに言うと俺が奴隷と契約してるってのもギルドにいた連中にバレた」


「なにか問題でも?」


「いや、そっちに問題がないならいい。俺も割り切る」


奴隷の入手ルートは知られていないがそれでもウェルズの商会になにかしらの不都合があるかもしれないと思っていたが問題ないらしい。


「それとさっそくだけど依頼を受けてきた。簡単な討伐依頼だけどな」


「おや、仕事が早いデスネ。関心デス。デスがマオはともかくタマキはまだ難しいのでは?」


「そうなんだよね。だから修練場貸してくれ。魔法教えてみる」


「いいデスヨ。場所はわかるでしょうからお好きにお使いくだサイ。食事の時間になったらお呼びしマスので」


「ついでにお前のとこかツテに槍使えるやつとかいない?」


「槍デスか?あなたの他の教育係に1人いマスが」


「そいつも空いてたらよこしてくれないか?マオに槍を使わせようと思ってんだけど俺槍術スキル持ってないからさ」


「確認しまショウ。空いてたら修練場に行くよう指示を出しておきマス」


「助かる」


ウェルズの了承も得たので先に部屋に荷物を置きに向かった。

そしたら俺の所有物扱いになるためマオとタマキも俺の部屋で生活するようウェルズに言われていた。

俺の部屋そんな布団ないんだけど……と思って部屋の扉を開けるとベッドが1つ増えていた。


「1つじゃ足らんだろうが……」


考えないようにしよう。まだ運び終わってないんだきっと。


「よし、マオは装備はそのまま、タマキは杖だけ持って修練場に行くぞ」


****


修練場に着くと先客がいた。


「お前がキョウスケだな?」


「そうだよ。そういうあんたは?」


「お前と同じ教育係のナタリアだ。槍の使い方を教わりたいんだろう?」


ウェルズにお願いしていた人材が俺たちより早く来ているとは。仕事が早すぎる。

ナタリアは見た目は中世的な感じの女性だった。俺よりは年上っぽい。


「おお、もう来てくれてたのか。ありがとう。けど槍は俺じゃなくコイツに頼む」


そう言ってマオを紹介する。


「ふむ、昨日来た奴隷だな。キョウスケが面倒見ることになったんだな」


「俺もマオも流されてそうなった感じだけどな。俺は昨日来たばかりだし教育の仕方もわからんし槍も使えないからビシビシ頼む」


「ああ、まかせろ。槍は得意中の得意なんでな」


そう言ってニッコリと笑うナタリア。素敵な笑顔だ。恐怖的な意味で。

その笑みを見たマオは少し引いている。


「じゃあマオ、お前はナタリアさんに槍の基本的な扱い方を教えてもらえ」


「…おう」


ここに来るまではやる気満々に見えたがさっきの笑顔のせいだろうか、勢いがなくなっている。

まぁナタリアに任せておけば大丈夫だろう。ウェルズの人選だしこの商館にいる人みんな優秀に見えるし。


「じゃあタマキは俺と魔法の訓練だな。明日までには難しいだろうけどいつかは必要になるしな」


「がんばります!!」


俺も攻撃魔法はそんなに得意じゃないけど魔法が使えないわけじゃない。魔導書も読めるくらいに言語理解スキルも上げている。


「タマキは魔法を見たことあるか?」


「ないです…」


まぁそうだよな。奴隷だったし。

魔法は本人の素質によって使える属性が決まってくる。俺の適性は火と風だった。支援魔法は無属性にあたり勉強すれば誰でも使えるようになる。


「じゃあまず魔力の操作からやってみようか。それで使える属性もわかってくるから」


「わかりました!」


やる気満々だな。向こうではマオの悲鳴がしているが。いきなり模擬戦してんのか向こうは。


「んじゃまず俺の手を握ってもらえるか?」


そう言って手を差し出す。タマキはすぐに握ってきた。

自分の中の魔力を手に集中させるように意識する。魔法は発動しないよう、魔力だけを感じ取れるように。

タマキの素質は高いのでこれだけでなんとなく魔力がどんなものかわかりそうだけどどうだろう。


「今俺の手に魔力を集めてるけどわかるか?」


「うん。ほんのりあったかいような変な感じ」


「それが魔力だ」


やはりすぐにわかったようだ。俺の時と大違いだな…俺は魔力を感じとることすら苦労した。


「魔力の感じ方は人によって違うけど魔力は魔力だ。タマキの中にも魔力があるから集中して手に集めてみて」


「はい」


目を閉じて自分の魔力を手に集めようとしている。

俺は魔法は使えるけど素質はそんなにないので魔力の流れが見えるとかそういったチート技みたいなのは使えない。

なので感覚を伝えることしかできないので教えるのに圧倒的に向いていない。

が、槍の指導者だけでなく魔法の指導者までウェルズに頼んだら俺は仕事のできないダメなやつになってしまう。

なので俺にも使える魔法は俺が頑張って教えようと決めた。


なんて考えているとタマキの手がほんのり光ってきた。

掌に光の球みたいなものが浮かんでいる。


「できた!?」


「驚いたな」


タマキはおそらく光属性の適性がある。光は他の属性に比べて使える人が少ない珍しい属性だ。

回復系の魔法やアンデット系に効果の高い魔法を扱うことができる。


「タマキは光属性みたいだな。んじゃ属性もわかったところで本格的に魔法を使えるように練習してみようか」


俺自身は光魔法を使うことはできないが勇者パーティにいた頃に読んだ魔導書で光魔法がいくつか載っていたのを覚えている。

その記憶を引っ張り出しタマキに光魔法の使い方を教えていった。

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