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20.驚くとなんで声って大きくなるんだろうか

適当な店で昼飯でもと思って歩いていたが店に着く前に屋台からのいい匂いに負けたのかタマキとマオは屋台で売っていたケバブみたいなものに夢中になっている。

ケバブみたいなものと言ったが見た目はほぼケバブだからもうケバブでもいいかもしれない。


「うまいか?」


「うん!とってもおいしい」


タマキは口の周りにソースでベタベタにしつつ喜んで食べている。マオはこちらの問いかけに気づかないのか夢中で食べておりすで2つ目に手をつけていた。


「そうかそうか。満足したようでよかったよ」


ここに来るまでにアクセサリーを見たり服を見たり他の屋台を見たりで結構時間が経っていた。

王都の下町って結構いろんな店が出てたんだなと今更ながら俺もこの世界に来てからまともに見て回ってなかったことを自覚した。

召喚されてから訓練にレベル上げ、たまに外に出てもレイアのところで装備の新調や整備、空いた時間は文字の勉強に魔道書の勉強と周りを見ている余裕がなかった。


「もう少し気持ちに余裕があったらなにか違ったのかな」


そんなことを思ってももうおそのいのだけれど。


「キョウスケ様はもう食べないの?」


タマキも2つ目に手をつけるところだった。この子らずいぶん食うな。他の屋台でも結構食ってなかったか。

おかげで俺の財布はだいぶ軽くなっていた。早々に仕事をしないとやばいかなと思うくらいには。


「俺はもういいよ。食べな」


「そう?じゃあいただきます!」


マオはまぁ成長期だからいっぱい食うのはわかるけどタマキも同じペースで食べるのはなぜなのか。

獣人って燃費悪いのかな。2人とも俺よりも食ってる。


「食ったら少し休んでギルドに行くからなー」


そう声をかけて2人が食べ終わる間、下町の景色をぼーっと眺めていた。



****



「さて、ここに来るのは久しぶりだな」


冒険者ギルドは多くの冒険者で賑わっていた。

魔王軍との戦争をしていても住民からは変わらず仕事の依頼が来るので戦争に参加していない冒険者は割と多い。

さすがに高ランクの冒険者は前線に行くことの方が多いが。

久しぶりといっても俺は冒険者の登録をしていたわけではない。勇者に依頼があるという場合だけここに来て依頼を引き受けていただけなので実際の仕組みは教えられた知識でしか知らない。

なので勇者たちは冒険者登録をせず、魔族との戦争へ参加するために力をつけるついでとして依頼をこなしていただけだった。


「なんか強そうな人がいっぱいいるな」


「ちょっと怖いです…」


マオは冒険者たちを興味津々で、タマキは少し怯えたように見ていた。


「いらん騒ぎを起こすなよ?タマキは怖かったら俺の後ろに隠れてろ」


そういうとマオは心外だといわんばかりにこちらを睨みつけ、タマキは言われてすぐ俺の後ろに隠れてしまった。

さっさと登録を済ませてしまった方がいいな。タマキが怯えているし。

そうと決まればギルドのカウンターへ向かう。依頼の受付報告窓口は他の冒険者であふれているが登録窓口はがらんとしていた。


「すまない、冒険者として登録したいんだけど」


「はいはい……え?支援の勇者様!?」


声がでかい!

ギルドの受付の声は騒がしいギルドの中でもよく通ってしまったようだ。騒がしかったギルドの中が一瞬水を打ったようになった。


「……そうだ、今朝発表があっただろう。勇者として活動できないから身分証がわりにギルドに登録しに来た」


そういうと静まり返ったギルド内に先ほどまでとは違ったざわめきが広がる。


「そ、そういうことでしたか。突然大声を出してしまって申し訳ありませんでした。では手続きをしますのでこちらへお願いします」


視線が痛い。さっさと済ませて退散したいところだ。


ギルドへの登録は簡単だった。提示された用紙に氏名と職業を記載して、魔道具でステータスを測定、ギルドカードに血を垂らして登録完了だった。

職業は勇者なんてものはもちろんなく、俺もその気はまったくないのでレンジャーにしておいた。弓を使うし索敵するしな。

職業は選択したからと言ってなにか恩恵があるわけではない。単純にパーティ募集などの指標になるだけなので言ってしまえばなにを選んでも問題ないようだ。

しかし、自分にできない職業を選択すると自身の活動に支障が出るので進んで偽るやつはいないだろう。


続けてマオとタマキの登録も行う。マオは槍術士、タマキは魔法使いとして登録させた。

気になったのはマオとタマキの登録時のステータスを見た時だ。ウェルズの部屋で見た資料よりもステータスが向上していたのだ。

もちろんレベル上げなんてしてないし俺との模擬戦でレベルが上がったわけでもない。タマキに至っては戦闘すらしていない。実際レベルは上がっていなかった。

それなのに他のステータスが明らかに上がっていた。もともとの数値を考えると20%くらい上がっているか?


もしかしたらこれが隷属支援のパッシブ効果だろうか。常時20%バフはちょっと強すぎないか。

マオが隷属化した時に言っていた体が軽いと言っていたのはステータスが向上したからかもしれない。問題は隷属化を解いた場合にこの補正値がどうなるかだが試すにはウェルズに相談がいるだろうし俺も仕事の都合上それはできないのでおいおいと言うことになりそうだ。


補正がかかるステータスはマオとタマキで差があった。マオは主に前衛として求められるステータスに、タマキはMPなどの魔法使いとしてのステータスに補正が入っていた。

これは本人の資質による自動補正なのか俺の意志が反映されているのかはわからない。どちらにせよ都合はいいので問題はないが俺のユニークスキルはなかなかに謎が多いようだ。


「はい、これで登録完了です。ギルドの仕組みや今後の活動についてご説明いたしますか?」


「頼む」


マオはすでに飽きているのかおおきなあくびをしていた。退屈なのはわかるが少しは我慢しなさい、タマキは大人しく俺の隣にいるというのに。

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