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10.幼女と一緒=ロリコンは認めない

部屋に帰るまでの短時間でタマキを抱えていた俺の胸元はよだれでシミができていた。


「口開けて寝るからよだれでるんだよなぁ」


必要最低限の荷物しか持ち出してこなかったから着替えも少ないのに。

寝顔は無邪気でかわいいものだがちょっと困る。

さっさとベッドに寝かせてしまおう。


「…こんな漫画みたいな展開ほんと勘弁してくれ」


タマキにガッチリ服を掴まれていて離れない。

起こすのがかわいそうでここまで連れてきたのにここで起こしてはなんというか本末転倒というか、俺の部屋まで連れてくる必要はなかったということになる。

それに俺も腹が膨れてまた眠気が襲ってきている。さっさと寝てしまいたいのが本音だ。


「めんどうだ、添い寝しやるわ。漫画みたいな展開なら漫画通りにやってやる」


眠くて変な思考になってきている気もするがどうでもいい。

タマキと一緒にベッドに横になる。

中途半端に寝たのと満腹感も手伝ってベッドに寝るとさらに眠気が強くなる。


特に抵抗することもなく、眠りに落ちた。


****


「アズマサマ、起きてマスか?」


ノックと共にウェルズの声がかかった。

朝の目覚めがウェルズの声ってのもぞっとしない。半覚醒状態で窓の外を見るとだいぶ日が高くなっていた。

どうやら起きようと思った時間からだいぶ遅い時間まで寝ていたようだ。


「今起きた。すまん、寝過ごした」


「イエ、それはいいんですが、ちょっと問題がありましてネ。今お時間よろしいですか?」


「あぁ、ちょっと待ってくれ」


軽く頭を振って意識を叩き起こしてウェルズを招き入れた。


「どうしたんだ?」


「実は昨日うちにきた奴隷の1人が契約リストから消えてましてね。館の部屋にもいないのでどこかで死んでしまっているかもしれないのデス」


「は?逃げ出したとかじゃなくてか?」


「リストから消えるということはその奴隷との契約が切れたか奴隷が死んだかのどちらかしかありえないのデス。なので…」


「おいどうした?」


ウェルズが中途半端に言葉を切った。

視線が一箇所に固定されて若干目が開いている。気になって視線を辿ると俺がさっきまで寝ていたベッドが目に入った。


「なるほど。アズマサマにはそうゆう趣味が」


「ねぇよ」


俺はロリコンじゃない。


「人の趣味にアレコレ言うほどワタシは野暮じゃありませんヨ?」


「だから違うっての。経緯は話すからその認識は改めろ」


昨日の夜にタマキと出会った経緯を説明する。ついでに食堂の食材を使ってしまったことも話しておいた。


「なるほど、そんなことが。簡単に抜け出せる部屋ではないのでなぜ部屋の外にいたのかは疑問デスが」


「部屋のことに関しては知らん。俺も廊下で出くわしただけだしな。んなことよりいなくなった奴隷のことはいいのか」


「いいもなにもそこにいるので死んでないことは確認できましたヨ」


そういって寝ているタマキを指さした。


「あぁ、あいつのことだったのか。けどそれならリストから消えてるのはおかしくないか?ほんとにこいつなのか?」


「いなくなったのはその奴隷で間違いないデス。しかしリストから消えた原因がわかりません。実際に奴隷を所持しているとステータスに表示されるので把握していれば間違えるコトはありません」


「把握できてなかったってのは?」


「ワタシはこの商売でここまで商会を大きくしてきたんデスよ?そんな凡ミスする方が難しいですし、当日仕入れた奴隷は全てワタシが確認して契約までするので間違うことはないデス。デスが一応確認しましょうか」


そう言ってベッドに寝るタマキの左手をつかんで無造作に引き起こした。


「あうっ」


寝ていたところを無理やり手を引かれて起こされ驚きと痛みに目をシロクロさせていた。


「おい!起こしてからでもよかっただろ!そんな乱暴に…」


「やはりアズマサマはそちらの趣味が‥」


「違うっての!一般的な良心の話をしてんだよ!とりあえずその手を離せ」


「フム、別に奴隷なんぞにそこまで気を使う必要を感じませんがここでアズマサマの機嫌を損ねる必要性も感じませんネ」


タマキは解放されて少し震えていた。


「おい、大丈夫か?」


「は、はい。ありがとうキョウスケ様」


肩が外れてるようなこともないようで安心した。


「そんなに親身に心配するとはやはり」


「しつこいぞ。いいから確認するならさっさとしてしまえ」


「それもそうデスね」


そう言ってタマキの左肩を確認する。ウェルズが近づいたことで怯えていたが逃げるようなことはしなかった。

逃げたりしたらウェルズがどういった対応をするか心配だったがそれは杞憂に終わったようだ。


「おや?奴隷紋はありますがこれは…」


顎に手を当て見たこともない真面目な顔で思案するウェルズ。こいつニヤけ面以外もできたのか。

その顔なら少しは信用できそうなのに。


「奴隷紋があるならタマキで間違いないんだな」


「そうなんデスがこの奴隷紋はなにか違うんデスよ。ワタシが契約したときのものではないんデス」


そうなのか。本でしか見たことのない俺にはどれが正しい紋様なのかわかるはずもない。

不意にウェルズがこちらを向いた。なにか嫌な感じのする視線だった。


「…アズマサマ。これと奴隷契約されてませんか?」


鑑定スキルを使われていそうだな。

だが、俺がタマキと契約した覚えなんてない。


「してるわけないだろう。した覚えもないし」


と言いつつ俺もステータスを確認してみる。ウェルズの鑑定スキルで見られていたのなら間違いはないのだろうが念のためだ。

すると普段見ている情報の他に一つ項目が増えていることに気づいた。


「従属…?」


嫌な予感がしたが確認しないわけにもいかない。

意を決して従属という項目に触れる。そこに表示されていたのはタマキの名前だった。

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