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11.契約はどこの世界でもするよりも解約する方が難しい

「…従属欄にタマキの名前がある」


「やはりデスか。アズマサマ、さすがに商品と勝手に契約されるのは些か困ってしまいマス。それに初めて契約する奴隷がこれというのも」


「ロリコンじゃねえ。いい加減にしろ。それに俺はタマキと契約した覚えはないぞ。そういうのって魔道具とか必要だろ?」


「まぁそうデスネ。奴隷契約にはそれなりの魔道具が必要になりマス。アズマサマはお持ちではないデスよね?」


「持ってるわけないな」


そんな魔道具は持ってるどころか見たことすらない。

今まで奴隷と関わることもなかったのだ。存在を知っているだけで扱い方を知っているわけではない。


そうなるとこうなった原因は1つだろうな。


「俺の隷属化スキルのせいか?」


「でしょうネ。魔道具がないだけでなく、すでに契約されている奴隷を自分のものにできる方法なんてものはワタシは聞いたことがありません」


「スキルが原因だとしてだ。俺はこのスキルを使った覚えもないぞ」


この世界のスキルは基本的に発動型である。ゲームでいうアクティブスキルとでも言えばいいのか。

どのスキルを使うのか自分で意識しなければ発動しない。スキルは使い込んで熟練度を上げてスキルレベルを上げていくことで発動が容易になる。

これはユニークスキルも同じことだ。

召喚されてから一度もこのスキルを使用していないのだ。俺が意識もせずにスキルを使えるわけがない。


「もしかするとアズマサマのスキルは常に発動しているのかもしれませんネ」


「それならこれまでステータスに従属の項目が出なかったことも魔物をテイムしてなかったってありえなくないか?」


「そうデスねぇ…アズマサマもわからないならもう1人の当事者にも話を聞いてみましょうか」


そう言ってタマキを見るウェルズ。つられて俺もタマキに視線を向けた。

今までの話についてこられず困ったような顔をしながら大人しくしていたようだ。急に自分に話の矛先が向いたことに驚いた顔をしている。


「アナタいくつかお聞きします。アナタはアズマサマと奴隷契約をしているようですがその自覚はありますか?」


「えっ…と…よくわからないです。けどキョウスケ様との繋がり…みたいなものを感じます」


「ふむ、本来奴隷契約とは一方的なものでそんな効果があるわけないのデスが…」


よくわからんが奴隷にとって主人と繋がりを感じることって嫌なんじゃないか。

一方的に使われるような関係だ。納得して使われる人間なんていないだろう。デメリットでしかないんじゃないか。


「やはりスキルによる契約の可能性が高いデスネ。契約条件など詳しいことは不明デスが契約しているものは仕方ないでしょう」


そう言って考え込んでいる俺の方に向き直ったウェルズは驚くことを言った。


「この奴隷はアズマサマに差し上げます。不可抗力とはいえ契約してしまったものは契約者本人の意思で解約するしか方法はないデスし。アズマサマとの契約金として処理しマス」


「ちょっと待て、それは困る。俺は奴隷を使う気はないんだぞ。あくまでここで奴隷に対して教育するだけだ」


「そう言われましてもネ。アズマサマ奴隷の契約解除できマスか?」


「知るわけないだろう。奴隷と契約なんてしたことないんだから」


「違いマスよ。普通の奴隷契約の話ではなく隷属化スキルの解除方法デス。使ったことがないということは解除の方法も知らないんでショウ?」


「………知らないな」


「ですので契約金として処理するのデス。断られる場合これの代金を普通に請求することになりマスよ?仕入れたばかりで出す気はなかったとはいえ商品デスので」


奴隷が1人いくらするのか知らないが俺の手持ちで払えるわけがない。

契約解除して突っ返すのが一番なのだろうがそのやり方もわからない。


「わかったよ…ただこれとか商品だとか物みたいな言い方はやめろ。この子は人間だぞ」


そう言ってタマキの頭に手を乗せる。

急なことをしたからびっくりしていたが嫌がるようなそぶりは見せない。むしろ少し嬉しそうだった。やはり頭を撫でられるのが好きなのだろうな。


「フム、ワタシどもからしたら普通のことなのですがアズマサマの気分を害すようデスネ。なるべく気を付けますが急には慣れないと思いマスのでご容赦くだサイ」


「俺が少数派なことは理解しているさ。受け入れてくれただけで今はいい」


ウェルズは俺の言ったことに柔軟に対応してくれた。大きな商会の会長になるほどだ。臨機応変な立ち回りが必要だったのだろうか。


「では今後アナタはアズマサマの奴隷として働くことになりマス。よろしいデスね?」


ウェルズは俺からタマキの方へと視線を移してそういった。

それを聞いたタマキは状況をまだ理解できていないような顔をしている。


「それは…キョウスケ様のモノになるということですか?」


「そうデス」


「そうだけどそうじゃねぇだろ」


少なくとも俺はタマキをモノとして扱う気は微塵もない。


「まぁそんなことになったみたいだ。これからよろしくなタマキちゃん」


「……!!はい!よろしくお願いします!」


理解したのか嬉しそうな笑顔になった。奴隷であることは変わりないのになぜそんなに嬉しそうにできるのか。

昨日ので懐かれているのはなんとなくわかるがそんな嬉しそうになる理由にはならないと思うのに。

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