【第66話】「七か月間、返答なし」
【第66話】「七か月間、返答なし」
23時00分。
ASTRAEONは、依然として星系間の民間航路に沿って航行していた。
ペラジック・メリディアン航路は、船の遥か前方へと伸び、さまざまな星系を銀河レジャー回廊へとつなぐ旅路のネットワークを形成している。
数時間前まで、その旅は単純なものに思えた。
Tsumugi自身、しばらく仕事はないと言っていた。
契約もない。
護衛もない。
警備作戦もない。
ただ観光地へ向かっているだけだった。
しかし、少し前にSeraphielが告げた言葉によって、ブリッジの空気は変わった。
「Tsumugi。船を一隻検知しました」
眠りから目覚めたばかりのTsumugiは、すぐにブリッジへ向かった。
自動ドアが開く。
彼女はまだ普段着のまま中へ入った。
「どこ?」
Seraphielはメインコンソールの前に立っていた。
そのうちの一つの画面には、民間航路のマップが表示されている。
数十の船舶を示す点が交通回廊に沿って移動する中、一つだけ異なる表示があった。
動いていない。
識別信号を送っていない。
そして、民間船がいるはずの位置にもいない。
Seraphielが表示を拡大する。
「主要航路の外です。位置は外縁民間漂流セクターにあります」
Tsumugiは画面へ近づいた。
「どれくらい離れてる?」
「主要航路から十分に離れているため、交通の妨げにはなりません。しかし、ASTRAEONの長距離センサーの範囲内にはあります」
Tsumugiはその点を見つめた。
「船の種類は?」
「識別中です」
数秒が過ぎる。
データが表示され始めた。
Seraphielが検査結果を読み取る。
「旅客船」
Tsumugiは眉をひそめた。
「旅客船?」
「その通りです。船体形状の検査結果から、民間の高級旅客船クラスの構成と判断できます」
Tsumugiはすぐには答えなかった。
彼女はその船の位置を見つめる。
「旅客船なら、どうしてあんなところにいるの?」
「それを現在調査しています」
Seraphielは次のスキャンを実行した。
ASTRAEONのセンサーは、船の外形だけを読み取っているわけではない。
識別システムは複数の層を通して機能している。
トランスポンダー。
船舶登録情報。
リアクターの放射パターン。
通信。
航法データ。
推進システムの状態。
そして、民間ネットワークを通じて取得可能な交通記録。
一つずつデータが画面に表示される。
Seraphielが黙った。
Tsumugiはすぐにそれに気づいた。
「どうしたの?」
「いくつか不一致を発見しました」
「説明して」
「船のトランスポンダーは停止しています。通信システムも応答していません」
Tsumugiは画面を見つめた。
「故障?」
「可能性は高いです。しかし、そのデータだけでは断定できません」
「推進システムは?」
Seraphielが検査を実行する。
いくつかのインジケーターが変化した。
「推進システムは停止しています」
「エンジンが止まってる?」
「完全ではありません。リアクターはまだ電力を生成しています。しかし、非常モードに入っています」
Tsumugiは黙った。
「つまり、船にはまだ電気がある?」
「はい。ただし、量は非常に限られています」
「それで動いてない?」
「その通りです」
Tsumugiは両手をコンソールについた。
「生命維持装置は?」
Seraphielが再びスキャンする。
「最低限です」
「最低限……」
Tsumugiはその言葉を小さく繰り返した。
ブリッジの空気が変わった。
先ほどまで残っていた休暇旅行の気楽な雰囲気が、ゆっくりと消えていく。
しかし、Tsumugiは急がなかった。
むしろ椅子を引き、腰を下ろした。
「まだ近づかないで」
「了解しました」
「まず、あの船が何なのか調べよう」
「賛成です」
Tsumugiは画面を指した。
「まずは登録情報から」
Seraphielは民間船舶識別ネットワークを開いた。
船名はまだ表示されない。
一部のシステムに残っている古い登録コードだけが表示されている。
Seraphielはそれをデータベースと照合する。
一つの結果が表示された。
そして消える。
その後、別のステータスで再び表示された。
Tsumugiはその変化を見つめる。
「どうしてデータが変わったの?」
「アクセスしたデータベースに複数の異なる記録があります。現在、別のデータコピーと照合しています」
「一つの情報源だけを使わないで」
「それも実行しています」
Tsumugiはうなずいた。
彼女は銀河に来てからのさまざまな経験を通じて学んでいた。
船は、外から見えるものだけで判断してはいけない。
登録情報は変更されることがある。
所有権も移転することがある。
船が別の企業に貸し出されることもある。
事故に遭った船でさえ、行方不明になった後も何年もの間、行政記録だけが残っている場合がある。
だからこそ、Tsumugiは一つの画面だけを根拠に判断したくなかった。
「どう?」
「古い登録情報を取得しました」
Tsumugiが立ち上がる。
「ステータスは?」
「民間旅客船として登録されています」
「所有者は?」
「所有者情報を開いています」
数秒後、Seraphielが言った。
「所有権の記録があります。しかし、現在の民間交通網では有効な状態になっていません」
Tsumugiは眉をひそめた。
「どういうこと?」
「その船が現在航行中であるという記録がありません」
「それなら、どうしてあそこにいるの?」
「現時点では不明です」
Tsumugiは息を吐いた。
「遭難記録を調べて」
「処理します」
別の画面が開く。
緊急報告の一覧が表示された。
その大半は、エンジン故障、航法事故、通信喪失、あるいは医療上の緊急事態を経験した船からのものだった。
Seraphielは登録コードから検索する。
該当なし。
リアクターの特徴から検索する。
その後、最後に確認された航路から検索する。
さらに船舶クラスから検索する。
結果は依然として不完全だった。
Tsumugiが尋ねる。
「ないの?」
「その船に一致する有効な遭難記録はありません」
「古い記録は?」
「確認中です」
再びブリッジが静寂に包まれる。
しばらくして、Seraphielが口を開いた。
「一件あります」
Tsumugiがすぐに振り向く。
「何?」
「ただし、ステータスはすでに終了しています」
「どうして?」
「その報告は、現在有効な遭難案件のカテゴリーには入っていないためです」
Tsumugiは画面を見つめる。
「つまり?」
Seraphielはすぐには答えなかった。
「完全な記録を開く必要があります」
「開いて」
行政データが表示される。
一つずつ情報が現れる。
Tsumugiはゆっくりと読み取っていく。
メイン画面には乗客の名前は表示されていない。
最後の通信もない。
現在進行中の救難要請もない。
あるのは、旅客船の行方不明に関連する古い記録だけだった。
Tsumugiが顔を上げる。
「どれくらい?」
Seraphielが一瞬停止する。
「その船が最後に稼働中として記録された日付を発見しました」
「今からどれくらい前?」
Seraphielが答える。
「およそ七か月です」
Tsumugiはすぐには何も言わなかった。
七か月。
彼女は再び画面上の船の表示を見る。
その船は動いていない。
信号も送っていない。
救助も求めていない。
そして七か月もの間、誰にも発見されていなかった。
あるいは少なくとも、誰かが発見したことを示す公式記録は存在しない。
Tsumugiはようやく尋ねた。
「つまり、あの船は……」
Seraphielがその言葉を続ける。
「およそ七か月前から行方不明として記録されています」
Tsumugiはしばらく画面を見つめた。
「行方不明……」
「はい」
「そして今、私たちが見つけた」
「その通りです」
Tsumugiは顔を手で拭った。
「これは無視できないね」
「私もそう考えています」
Tsumugiは再び座った。
「保険記録を調べて」
Seraphielがうなずく。
「処理します」
その民間船に関する情報が、再び照合される。
保険会社には独自の記録がある。
船舶登録とは異なる。
宇宙交通管制とも異なる。
船が交通ネットワーク上から姿を消していても、行政上のステータスだけは有効なままになっている場合がある。
Tsumugiが知りたいのは一つだった。
その船が、本当に責任を負う側から行方不明とみなされているのか。
Seraphielが記録を開く。
「保険記録を発見しました」
「ステータスは?」
「喪失請求が提出されています」
Tsumugiは眉をひそめる。
「つまり、本当に誰かが届け出た?」
「はい」
「もう支払われた?」
「まだ全額ではありません。請求にはいくつか未完了の行政手続きがあります」
TsumugiはSeraphielを見る。
「七か月も経ってるのに、どうして終わってないの?」
「請求書類の全体を開かなければ確定できません。いくつかの部分には追加の法的アクセスが必要です」
「無理に調べないで」
「了解しました」
Tsumugiはうなずいた。
「合法的にアクセスできないデータなら、取らないで」
Seraphielが薄く微笑む。
「それがあなたから聞きたかった答えです」
Tsumugiは彼女を見る。
「何?」
「何でもありません」
「明らかにからかってるでしょ」
「かもしれません」
Tsumugiは鼻を鳴らした。
「Seraphiel」
「はい?」
「集中して」
「私はいつでも集中しています」
Tsumugiは首を振る。
「たまに信じられないけど」
Seraphielはただ微笑んだ。
しかし数秒後、その表情は再び真剣なものへ戻った。
「事故記録を発見しました」
Tsumugiはすぐに冗談をやめた。
「事故があったの?」
「その船の行方不明に関連する報告があります」
「どんな事故?」
「まだ確定できません。初期文書には、航行中に通信が途絶したと記載されています。その後、船からの応答はありません」
「最後の位置は?」
「現在照合しています」
Tsumugiは待った。
マップが変化する。
古い位置が一つ表示される。
その隣に、現在検知されている船の位置が表示された。
Tsumugiはそれを見つめる。
「遠い?」
「かなり離れています」
「じゃあ、行方不明になった後に移動した?」
「必ずしもそうとは限りません」
TsumugiはSeraphielを見る。
「最後の記録だけでは、その船が通常航行によって移動したのか、慣性によって流されたのか、あるいは航法障害による移動が発生したのかを判断できません」
「つまり、まだ分からない」
「その通りです」
Tsumugiはうなずいた。
「分かった」
彼女は立ち上がった。
「外から確認できるものを全部調べて」
「すべてですか?」
「登録情報、所有権、遭難記録、保険、事故記録」
Tsumugiは指を使って数えた。
「それからリアクターの状態」
「すでに確認済みです」
「通信」
「オフラインです」
「推進」
「停止しています」
「生命維持装置」
Seraphielが少し黙る。
「最低限です」
Tsumugiは画面を見つめた。
「それなら、七か月前から行方不明とされている船が、主要航路から離れた場所にいて、リアクターは非常モードでかろうじて稼働し、推進システムは停止、通信は死んでいて、生命維持装置は最低限しか動いていない」
「現時点での結論としては正しいです」
Tsumugiは息を吐いた。
「それなのに、中に人がいるかどうかすら分かってない」
「まだ分かりません」
Tsumugiは再びその船の表示を見る。
「なら、無闇に近づかないで」
Seraphielがうなずく。
「ASTRAEONの位置を維持し、遠隔スキャンを実施します」
「それでいい」
数分後、Rheaがブリッジに現れた。
髪はまだ少し乱れている。
どうやら船内通信を聞いて、部屋を出てきたばかりらしい。
「Captain?」
Tsumugiが振り向く。
「起きた?」
Rheaはあくびをした。
「Seraphielが船があるって言ってるのを聞いた」
Tsumugiは画面を指した。
「航路の外に民間船がいる」
Rheaが近づく。
「旅客船?」
「そう」
「壊れてる?」
「たぶん」
Rheaはデータを見る。
「どうして近づかないの?」
「まだ状況が分からないから」
Rheaはうなずいた。
「それなら納得」
さらに画面へ近づく。
「リアクターは非常モード?」
「そう」
「推進は?」
「停止」
「通信は?」
「オフライン」
Rheaは黙った。
「どれくらい?」
Tsumugiが答える。
「およそ七か月」
Rheaがすぐに振り向く。
「七か月?」
「公式記録ではそうなってる」
Rheaは再び画面を見つめる。
「それなら……」
その先を言わなかった。
Tsumugiはうなずいた。
「そう」
二人は同じことを理解していた。
旅客船がそのような状態で七か月も持ちこたえているのなら、確認しなければならないことがある。
しかし、Tsumugiはそれをすぐに謎とは呼ばなかった。
何が起きたのか分からない。
だから、データを得る前に答えを作り上げることはしない。
「Seraphiel」
「はい?」
「船の外側をスキャンして」
「船体、リアクター区画、推進区画、通信アレイ、それからまだ電力を受け取っている部分から開始します」
「船の中には入らないで」
「了解しました」
Rheaが腕を組む。
「もし人がいたら?」
Tsumugiは迷いなく答えた。
「生きている人がいるなら、助ける」
Rheaが小さく笑う。
「分かった」
遠隔スキャンが開始された。
ASTRAEONはそれほど近づく必要はない。
長距離センサーが少しずつ船体の形状を読み取っていく。
外装は暗く見える。
船体の一部は、他の部分と同じようにエネルギーを反射していない。
電力を失っている区画がある。
別の部分では、まだ残留熱が発生している。
Seraphielがスキャン結果を拡大する。
「船体の複数箇所に損傷があります」
Tsumugiが近づく。
「ひどい?」
「全損と分類される状態ではありません。主要構造はまだ維持されています」
「リアクターは?」
「非常用リアクターは稼働中です。出力は非常に低いです」
「推進は?」
「停止しています」
「通信は?」
「応答がありません」
Rheaが尋ねる。
「その船、自力で動ける?」
Seraphielが答える。
「現在の状態では、可能性は低いです」
Tsumugiはうなずく。
「つまり、本当に漂流してる」
「はい」
Tsumugiは画面を見る。
「なら、どうしてこの船がまだここにあるのかを知る必要がある」
Seraphielが航法区画を拡大する。
「もう一つあります」
「何?」
「船が完全に停止している状態とは一致しないエネルギー消費パターンを発見しました」
Rheaが眉を上げる。
「どういうこと?」
「大部分のシステムは停止しています。しかし、一部の区画だけが安定して電力を受け続けています」
Tsumugiの表情がすぐに真剣になる。
「どこ?」
Seraphielは数秒間、答えなかった。
二度目のスキャンを実行する。
続いて三度目。
データが再び更新される。
「まだ確定できません」
Tsumugiは彼女を見る。
「どうして?」
「船体構造の障害によって、センサーの読み取りが一部遮られています。スキャン角度を変更する必要があります」
「やって」
「了解しました」
ASTRAEONは動かない。
Seraphielがセンサー構成を変更する。
一方の側。
そしてもう一方。
エネルギーの読み取り結果が変化する。
船内の小さな区画が、徐々に見えてきた。
大きくはない。
しかし、その電力状態は異なっていた。
Tsumugiはグラフを見つめる。
「まだ稼働してる?」
「はい」
「どれくらい?」
「船を運用するには不十分です。特定のシステムを維持するのに十分な程度です」
Tsumugiは考えた。
「非常用シェルター?」
「可能性はあります。しかし、まだ確定できません」
Rheaが画面を見る。
「もし中に人がいるなら……」
Tsumugiはうなずいた。
「まだ分からない」
彼女はSeraphielを見る。
「生命反応を調べて」
「生体スキャンを開始します」
数秒。
結果は出ない。
Seraphielが周波数を変更する。
何もない。
範囲を狭める。
それでも空白だった。
Tsumugiは息を吐いた。
「誰もいないのかも」
Rheaが彼女を見る。
「Captain」
「ん?」
「がっかりしてるみたい」
Tsumugiは薄く笑う。
「誰もいないなら、少なくとも心配する必要はないから」
Rheaはうなずいた。
しかし、突然Seraphielが停止した。
Tsumugiはすぐに彼女を見る。
「Seraphiel?」
数秒間、返事がない。
そしてSeraphielの声が聞こえた。
先ほどよりも低い声だった。
「Tsumugi」
「何?」
「何かを発見しました」
Rheaが背筋を伸ばす。
「何?」
Seraphielが画面の一部分を拡大する。
小さなインジケーターが表示された。
Tsumugiがそれを見つめる。
「生命反応?」
「確認中です」
「確認して」
「すでに再スキャンを実施しています」
Seraphielが再び確認する。
一度。
そして、もう一度。
読み取りエラーはない。
結果を説明できるほどの干渉もない。
Seraphielはついに言った。
「一つの生命反応を検知しました」
Tsumugiはすぐには反応しなかった。
Rheaが画面を見る。
「一つ?」
Seraphielがうなずく。
「一つです」
Tsumugiがコンソールへ近づく。
「まだ生きてる?」
「生命反応を検知しています。非常に弱いですが、安定しています」
Tsumugiは、その生命反応の位置を示す点を見つめる。
「どの区画?」
Seraphielが船内マップを拡大する。
「まだ正確な部屋までは特定できません。しかし、発生源は船内です」
Rheaが拳を握る。
「七か月経って?」
Tsumugiは黙った。
その船は、およそ七か月間行方不明だった。
通信はない。
推進システムもない。
生命維持装置は最低限しか維持されていない。
それでも、誰かが船内で生きている。
Tsumugiがようやく口を開いた。
「Seraphiel」
「はい、Tsumugi?」
「自動ドッキングはしないで」
「了解しました」
「船の状態が分からない」
「その通りです」
「ASTRAEONを安全距離の外側で維持して」
「了解しました」
Tsumugiはもう一度画面を見つめた。
「そのあと、あの人を救助する方法を探そう」
Rheaがうなずく。
「なら、私は準備する」
Tsumugiが振り向く。
「まだ」
Rheaが瞬きをする。
「まだ?」
「船の状態が分かるまでは、まだ」
Rheaはその後、笑った。
「分かった」
Tsumugiは再び画面を見る。
観光地へ向かうはずだった旅は、まったく別のものへと変わってしまった。
しかし、Tsumugiにとって、その決断は単純だった。
船内にいる人物が誰なのか、彼女は知らない。
どうしてその船が七か月も生き残っているのかも知らない。
その船が行方不明になる前に何が起きたのかも知らない。
そして、証拠を得る前に結論を出すことはしない。
しかし、一つだけ明らかなことがある。
まだ生きている人がいる。
そして、その人が生きている限り、彼らは何事もなかったかのように通り過ぎることはない。
Seraphielはセンサーデータを見つめる。
その生命反応はまだ存在している。
弱い。
安定している。
一人きり。
Tsumugiが小さく言った。
「一人……」
Rheaがその隣に立つ。
「うん」
Tsumugiは息を吸った。
「なら、まずはその人を助けよう」
メイン画面には、遠くに漂う民間船が再び表示される。
動かない。
応答しない。
七か月が、返答のないまま過ぎていた。
しかしその夜、初めて、一つの答えが暗闇の中から現れた。
一つの生命反応。
そしてASTRAEONの誰かが、彼らの休暇へ向かう旅が、しばらくの間止まらなければならないことに気づいた。
【次話 第67話 ― 「放棄されたクルーズ船」】
ASTRAEONは、発見した民間船へ接近する前に、外縁民間漂流セクターで安全な位置を維持する。やがて船の身元は、AURELIS SERENAという、全長約1,100メートルの高級旅客クルーザーであることが確定する――ASTRAEONより遥かに小さく、軍用船ではまったくない。
その状態は悪かった。船体の一部が損傷し、一部のデッキは停止し、通信はオフライン。そして電力は非常用リアクターによってかろうじて維持されているだけだった。
Tsumugiはその船を大きな謎だとは考えない。彼女は、確認できた状況だけを根拠に判断する。
「確認する。生きている人がいるなら、助ける」
しかし、ASTRAEONが接近に成功し、外部から検査を行った後、Seraphielはメディカルデッキにまだ電力が供給されていることを発見する。
【第67話へ続く……】




