↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ASTRAEON VELORIA――銀河を旅する自由傭兵――  作者: Ren Hazumi


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

67/168

【第66話】「七か月間、返答なし」

【第66話】「七か月間、返答なし」


23時00分。


ASTRAEONは、依然として星系間の民間航路に沿って航行していた。


ペラジック・メリディアン航路は、船の遥か前方へと伸び、さまざまな星系を銀河レジャー回廊へとつなぐ旅路のネットワークを形成している。


数時間前まで、その旅は単純なものに思えた。


Tsumugi自身、しばらく仕事はないと言っていた。


契約もない。


護衛もない。


警備作戦もない。


ただ観光地へ向かっているだけだった。


しかし、少し前にSeraphielが告げた言葉によって、ブリッジの空気は変わった。


「Tsumugi。船を一隻検知しました」


眠りから目覚めたばかりのTsumugiは、すぐにブリッジへ向かった。


自動ドアが開く。


彼女はまだ普段着のまま中へ入った。


「どこ?」


Seraphielはメインコンソールの前に立っていた。


そのうちの一つの画面には、民間航路のマップが表示されている。


数十の船舶を示す点が交通回廊に沿って移動する中、一つだけ異なる表示があった。


動いていない。


識別信号を送っていない。


そして、民間船がいるはずの位置にもいない。


Seraphielが表示を拡大する。


「主要航路の外です。位置は外縁民間漂流セクターにあります」


Tsumugiは画面へ近づいた。


「どれくらい離れてる?」


「主要航路から十分に離れているため、交通の妨げにはなりません。しかし、ASTRAEONの長距離センサーの範囲内にはあります」


Tsumugiはその点を見つめた。


「船の種類は?」


「識別中です」


数秒が過ぎる。


データが表示され始めた。


Seraphielが検査結果を読み取る。


「旅客船」


Tsumugiは眉をひそめた。


「旅客船?」


「その通りです。船体形状の検査結果から、民間の高級旅客船クラスの構成と判断できます」


Tsumugiはすぐには答えなかった。


彼女はその船の位置を見つめる。


「旅客船なら、どうしてあんなところにいるの?」


「それを現在調査しています」


Seraphielは次のスキャンを実行した。


ASTRAEONのセンサーは、船の外形だけを読み取っているわけではない。


識別システムは複数の層を通して機能している。


トランスポンダー。


船舶登録情報。


リアクターの放射パターン。


通信。


航法データ。


推進システムの状態。


そして、民間ネットワークを通じて取得可能な交通記録。


一つずつデータが画面に表示される。


Seraphielが黙った。


Tsumugiはすぐにそれに気づいた。


「どうしたの?」


「いくつか不一致を発見しました」


「説明して」


「船のトランスポンダーは停止しています。通信システムも応答していません」


Tsumugiは画面を見つめた。


「故障?」


「可能性は高いです。しかし、そのデータだけでは断定できません」


「推進システムは?」


Seraphielが検査を実行する。


いくつかのインジケーターが変化した。


「推進システムは停止しています」


「エンジンが止まってる?」


「完全ではありません。リアクターはまだ電力を生成しています。しかし、非常モードに入っています」


Tsumugiは黙った。


「つまり、船にはまだ電気がある?」


「はい。ただし、量は非常に限られています」


「それで動いてない?」


「その通りです」


Tsumugiは両手をコンソールについた。


「生命維持装置は?」


Seraphielが再びスキャンする。


「最低限です」


「最低限……」


Tsumugiはその言葉を小さく繰り返した。


ブリッジの空気が変わった。


先ほどまで残っていた休暇旅行の気楽な雰囲気が、ゆっくりと消えていく。


しかし、Tsumugiは急がなかった。


むしろ椅子を引き、腰を下ろした。


「まだ近づかないで」


「了解しました」


「まず、あの船が何なのか調べよう」


「賛成です」


Tsumugiは画面を指した。


「まずは登録情報から」


Seraphielは民間船舶識別ネットワークを開いた。


船名はまだ表示されない。


一部のシステムに残っている古い登録コードだけが表示されている。


Seraphielはそれをデータベースと照合する。


一つの結果が表示された。


そして消える。


その後、別のステータスで再び表示された。


Tsumugiはその変化を見つめる。


「どうしてデータが変わったの?」


「アクセスしたデータベースに複数の異なる記録があります。現在、別のデータコピーと照合しています」


「一つの情報源だけを使わないで」


「それも実行しています」


Tsumugiはうなずいた。


彼女は銀河に来てからのさまざまな経験を通じて学んでいた。


船は、外から見えるものだけで判断してはいけない。


登録情報は変更されることがある。


所有権も移転することがある。


船が別の企業に貸し出されることもある。


事故に遭った船でさえ、行方不明になった後も何年もの間、行政記録だけが残っている場合がある。


だからこそ、Tsumugiは一つの画面だけを根拠に判断したくなかった。


「どう?」


「古い登録情報を取得しました」


Tsumugiが立ち上がる。


「ステータスは?」


「民間旅客船として登録されています」


「所有者は?」


「所有者情報を開いています」


数秒後、Seraphielが言った。


「所有権の記録があります。しかし、現在の民間交通網では有効な状態になっていません」


Tsumugiは眉をひそめた。


「どういうこと?」


「その船が現在航行中であるという記録がありません」


「それなら、どうしてあそこにいるの?」


「現時点では不明です」


Tsumugiは息を吐いた。


「遭難記録を調べて」


「処理します」


別の画面が開く。


緊急報告の一覧が表示された。


その大半は、エンジン故障、航法事故、通信喪失、あるいは医療上の緊急事態を経験した船からのものだった。


Seraphielは登録コードから検索する。


該当なし。


リアクターの特徴から検索する。


その後、最後に確認された航路から検索する。


さらに船舶クラスから検索する。


結果は依然として不完全だった。


Tsumugiが尋ねる。


「ないの?」


「その船に一致する有効な遭難記録はありません」


「古い記録は?」


「確認中です」


再びブリッジが静寂に包まれる。


しばらくして、Seraphielが口を開いた。


「一件あります」


Tsumugiがすぐに振り向く。


「何?」


「ただし、ステータスはすでに終了しています」


「どうして?」


「その報告は、現在有効な遭難案件のカテゴリーには入っていないためです」


Tsumugiは画面を見つめる。


「つまり?」


Seraphielはすぐには答えなかった。


「完全な記録を開く必要があります」


「開いて」


行政データが表示される。


一つずつ情報が現れる。


Tsumugiはゆっくりと読み取っていく。


メイン画面には乗客の名前は表示されていない。


最後の通信もない。


現在進行中の救難要請もない。


あるのは、旅客船の行方不明に関連する古い記録だけだった。


Tsumugiが顔を上げる。


「どれくらい?」


Seraphielが一瞬停止する。


「その船が最後に稼働中として記録された日付を発見しました」


「今からどれくらい前?」


Seraphielが答える。


「およそ七か月です」


Tsumugiはすぐには何も言わなかった。


七か月。


彼女は再び画面上の船の表示を見る。


その船は動いていない。


信号も送っていない。


救助も求めていない。


そして七か月もの間、誰にも発見されていなかった。


あるいは少なくとも、誰かが発見したことを示す公式記録は存在しない。


Tsumugiはようやく尋ねた。


「つまり、あの船は……」


Seraphielがその言葉を続ける。


「およそ七か月前から行方不明として記録されています」


Tsumugiはしばらく画面を見つめた。


「行方不明……」


「はい」


「そして今、私たちが見つけた」


「その通りです」


Tsumugiは顔を手で拭った。


「これは無視できないね」


「私もそう考えています」


Tsumugiは再び座った。


「保険記録を調べて」


Seraphielがうなずく。


「処理します」


その民間船に関する情報が、再び照合される。


保険会社には独自の記録がある。


船舶登録とは異なる。


宇宙交通管制とも異なる。


船が交通ネットワーク上から姿を消していても、行政上のステータスだけは有効なままになっている場合がある。


Tsumugiが知りたいのは一つだった。


その船が、本当に責任を負う側から行方不明とみなされているのか。


Seraphielが記録を開く。


「保険記録を発見しました」


「ステータスは?」


「喪失請求が提出されています」


Tsumugiは眉をひそめる。


「つまり、本当に誰かが届け出た?」


「はい」


「もう支払われた?」


「まだ全額ではありません。請求にはいくつか未完了の行政手続きがあります」


TsumugiはSeraphielを見る。


「七か月も経ってるのに、どうして終わってないの?」


「請求書類の全体を開かなければ確定できません。いくつかの部分には追加の法的アクセスが必要です」


「無理に調べないで」


「了解しました」


Tsumugiはうなずいた。


「合法的にアクセスできないデータなら、取らないで」


Seraphielが薄く微笑む。


「それがあなたから聞きたかった答えです」


Tsumugiは彼女を見る。


「何?」


「何でもありません」


「明らかにからかってるでしょ」


「かもしれません」


Tsumugiは鼻を鳴らした。


「Seraphiel」


「はい?」


「集中して」


「私はいつでも集中しています」


Tsumugiは首を振る。


「たまに信じられないけど」


Seraphielはただ微笑んだ。


しかし数秒後、その表情は再び真剣なものへ戻った。


「事故記録を発見しました」


Tsumugiはすぐに冗談をやめた。


「事故があったの?」


「その船の行方不明に関連する報告があります」


「どんな事故?」


「まだ確定できません。初期文書には、航行中に通信が途絶したと記載されています。その後、船からの応答はありません」


「最後の位置は?」


「現在照合しています」


Tsumugiは待った。


マップが変化する。


古い位置が一つ表示される。


その隣に、現在検知されている船の位置が表示された。


Tsumugiはそれを見つめる。


「遠い?」


「かなり離れています」


「じゃあ、行方不明になった後に移動した?」


「必ずしもそうとは限りません」


TsumugiはSeraphielを見る。


「最後の記録だけでは、その船が通常航行によって移動したのか、慣性によって流されたのか、あるいは航法障害による移動が発生したのかを判断できません」


「つまり、まだ分からない」


「その通りです」


Tsumugiはうなずいた。


「分かった」


彼女は立ち上がった。


「外から確認できるものを全部調べて」


「すべてですか?」


「登録情報、所有権、遭難記録、保険、事故記録」


Tsumugiは指を使って数えた。


「それからリアクターの状態」


「すでに確認済みです」


「通信」


「オフラインです」


「推進」


「停止しています」


「生命維持装置」


Seraphielが少し黙る。


「最低限です」


Tsumugiは画面を見つめた。


「それなら、七か月前から行方不明とされている船が、主要航路から離れた場所にいて、リアクターは非常モードでかろうじて稼働し、推進システムは停止、通信は死んでいて、生命維持装置は最低限しか動いていない」


「現時点での結論としては正しいです」


Tsumugiは息を吐いた。


「それなのに、中に人がいるかどうかすら分かってない」


「まだ分かりません」


Tsumugiは再びその船の表示を見る。


「なら、無闇に近づかないで」


Seraphielがうなずく。


「ASTRAEONの位置を維持し、遠隔スキャンを実施します」


「それでいい」


数分後、Rheaがブリッジに現れた。


髪はまだ少し乱れている。


どうやら船内通信を聞いて、部屋を出てきたばかりらしい。


「Captain?」


Tsumugiが振り向く。


「起きた?」


Rheaはあくびをした。


「Seraphielが船があるって言ってるのを聞いた」


Tsumugiは画面を指した。


「航路の外に民間船がいる」


Rheaが近づく。


「旅客船?」


「そう」


「壊れてる?」


「たぶん」


Rheaはデータを見る。


「どうして近づかないの?」


「まだ状況が分からないから」


Rheaはうなずいた。


「それなら納得」


さらに画面へ近づく。


「リアクターは非常モード?」


「そう」


「推進は?」


「停止」


「通信は?」


「オフライン」


Rheaは黙った。


「どれくらい?」


Tsumugiが答える。


「およそ七か月」


Rheaがすぐに振り向く。


「七か月?」


「公式記録ではそうなってる」


Rheaは再び画面を見つめる。


「それなら……」


その先を言わなかった。


Tsumugiはうなずいた。


「そう」


二人は同じことを理解していた。


旅客船がそのような状態で七か月も持ちこたえているのなら、確認しなければならないことがある。


しかし、Tsumugiはそれをすぐに謎とは呼ばなかった。


何が起きたのか分からない。


だから、データを得る前に答えを作り上げることはしない。


「Seraphiel」


「はい?」


「船の外側をスキャンして」


「船体、リアクター区画、推進区画、通信アレイ、それからまだ電力を受け取っている部分から開始します」


「船の中には入らないで」


「了解しました」


Rheaが腕を組む。


「もし人がいたら?」


Tsumugiは迷いなく答えた。


「生きている人がいるなら、助ける」


Rheaが小さく笑う。


「分かった」


遠隔スキャンが開始された。


ASTRAEONはそれほど近づく必要はない。


長距離センサーが少しずつ船体の形状を読み取っていく。


外装は暗く見える。


船体の一部は、他の部分と同じようにエネルギーを反射していない。


電力を失っている区画がある。


別の部分では、まだ残留熱が発生している。


Seraphielがスキャン結果を拡大する。


「船体の複数箇所に損傷があります」


Tsumugiが近づく。


「ひどい?」


「全損と分類される状態ではありません。主要構造はまだ維持されています」


「リアクターは?」


「非常用リアクターは稼働中です。出力は非常に低いです」


「推進は?」


「停止しています」


「通信は?」


「応答がありません」


Rheaが尋ねる。


「その船、自力で動ける?」


Seraphielが答える。


「現在の状態では、可能性は低いです」


Tsumugiはうなずく。


「つまり、本当に漂流してる」


「はい」


Tsumugiは画面を見る。


「なら、どうしてこの船がまだここにあるのかを知る必要がある」


Seraphielが航法区画を拡大する。


「もう一つあります」


「何?」


「船が完全に停止している状態とは一致しないエネルギー消費パターンを発見しました」


Rheaが眉を上げる。


「どういうこと?」


「大部分のシステムは停止しています。しかし、一部の区画だけが安定して電力を受け続けています」


Tsumugiの表情がすぐに真剣になる。


「どこ?」


Seraphielは数秒間、答えなかった。


二度目のスキャンを実行する。


続いて三度目。


データが再び更新される。


「まだ確定できません」


Tsumugiは彼女を見る。


「どうして?」


「船体構造の障害によって、センサーの読み取りが一部遮られています。スキャン角度を変更する必要があります」


「やって」


「了解しました」


ASTRAEONは動かない。


Seraphielがセンサー構成を変更する。


一方の側。


そしてもう一方。


エネルギーの読み取り結果が変化する。


船内の小さな区画が、徐々に見えてきた。


大きくはない。


しかし、その電力状態は異なっていた。


Tsumugiはグラフを見つめる。


「まだ稼働してる?」


「はい」


「どれくらい?」


「船を運用するには不十分です。特定のシステムを維持するのに十分な程度です」


Tsumugiは考えた。


「非常用シェルター?」


「可能性はあります。しかし、まだ確定できません」


Rheaが画面を見る。


「もし中に人がいるなら……」


Tsumugiはうなずいた。


「まだ分からない」


彼女はSeraphielを見る。


「生命反応を調べて」


「生体スキャンを開始します」


数秒。


結果は出ない。


Seraphielが周波数を変更する。


何もない。


範囲を狭める。


それでも空白だった。


Tsumugiは息を吐いた。


「誰もいないのかも」


Rheaが彼女を見る。


「Captain」


「ん?」


「がっかりしてるみたい」


Tsumugiは薄く笑う。


「誰もいないなら、少なくとも心配する必要はないから」


Rheaはうなずいた。


しかし、突然Seraphielが停止した。


Tsumugiはすぐに彼女を見る。


「Seraphiel?」


数秒間、返事がない。


そしてSeraphielの声が聞こえた。


先ほどよりも低い声だった。


「Tsumugi」


「何?」


「何かを発見しました」


Rheaが背筋を伸ばす。


「何?」


Seraphielが画面の一部分を拡大する。


小さなインジケーターが表示された。


Tsumugiがそれを見つめる。


「生命反応?」


「確認中です」


「確認して」


「すでに再スキャンを実施しています」


Seraphielが再び確認する。


一度。


そして、もう一度。


読み取りエラーはない。


結果を説明できるほどの干渉もない。


Seraphielはついに言った。


「一つの生命反応を検知しました」


Tsumugiはすぐには反応しなかった。


Rheaが画面を見る。


「一つ?」


Seraphielがうなずく。


「一つです」


Tsumugiがコンソールへ近づく。


「まだ生きてる?」


「生命反応を検知しています。非常に弱いですが、安定しています」


Tsumugiは、その生命反応の位置を示す点を見つめる。


「どの区画?」


Seraphielが船内マップを拡大する。


「まだ正確な部屋までは特定できません。しかし、発生源は船内です」


Rheaが拳を握る。


「七か月経って?」


Tsumugiは黙った。


その船は、およそ七か月間行方不明だった。


通信はない。


推進システムもない。


生命維持装置は最低限しか維持されていない。


それでも、誰かが船内で生きている。


Tsumugiがようやく口を開いた。


「Seraphiel」


「はい、Tsumugi?」


「自動ドッキングはしないで」


「了解しました」


「船の状態が分からない」


「その通りです」


「ASTRAEONを安全距離の外側で維持して」


「了解しました」


Tsumugiはもう一度画面を見つめた。


「そのあと、あの人を救助する方法を探そう」


Rheaがうなずく。


「なら、私は準備する」


Tsumugiが振り向く。


「まだ」


Rheaが瞬きをする。


「まだ?」


「船の状態が分かるまでは、まだ」


Rheaはその後、笑った。


「分かった」


Tsumugiは再び画面を見る。


観光地へ向かうはずだった旅は、まったく別のものへと変わってしまった。


しかし、Tsumugiにとって、その決断は単純だった。


船内にいる人物が誰なのか、彼女は知らない。


どうしてその船が七か月も生き残っているのかも知らない。


その船が行方不明になる前に何が起きたのかも知らない。


そして、証拠を得る前に結論を出すことはしない。


しかし、一つだけ明らかなことがある。


まだ生きている人がいる。


そして、その人が生きている限り、彼らは何事もなかったかのように通り過ぎることはない。


Seraphielはセンサーデータを見つめる。


その生命反応はまだ存在している。


弱い。


安定している。


一人きり。


Tsumugiが小さく言った。


「一人……」


Rheaがその隣に立つ。


「うん」


Tsumugiは息を吸った。


「なら、まずはその人を助けよう」


メイン画面には、遠くに漂う民間船が再び表示される。


動かない。


応答しない。


七か月が、返答のないまま過ぎていた。


しかしその夜、初めて、一つの答えが暗闇の中から現れた。


一つの生命反応。


そしてASTRAEONの誰かが、彼らの休暇へ向かう旅が、しばらくの間止まらなければならないことに気づいた。


【次話 第67話 ― 「放棄されたクルーズ船」】


ASTRAEONは、発見した民間船へ接近する前に、外縁民間漂流セクターで安全な位置を維持する。やがて船の身元は、AURELIS SERENAという、全長約1,100メートルの高級旅客クルーザーであることが確定する――ASTRAEONより遥かに小さく、軍用船ではまったくない。


その状態は悪かった。船体の一部が損傷し、一部のデッキは停止し、通信はオフライン。そして電力は非常用リアクターによってかろうじて維持されているだけだった。


Tsumugiはその船を大きな謎だとは考えない。彼女は、確認できた状況だけを根拠に判断する。


「確認する。生きている人がいるなら、助ける」


しかし、ASTRAEONが接近に成功し、外部から検査を行った後、Seraphielはメディカルデッキにまだ電力が供給されていることを発見する。


【第67話へ続く……】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。