第四十八章 パイロットと機械
第四十八章 パイロットと機械
ナルコール・フロンティア・ステーションの朝は、遠くに浮かぶ巨大ガス惑星からの柔らかな青い光とともに訪れた。アストレオンの格納庫では、産業用の照明がずっと前から点灯している——セラフィエルは決して眠らず、ツムギとレアが来る前にすべてを準備していた。
レアは、これまで見たことのない機体の前に立っていた。
そのモビルフレームは格納庫のより暗い隅に立っている——整然と棚に収められた標準機の列からは遠く離れて。機体はヴァルキリーより細身で、より鋭く攻撃的なラインをしている。基本色は深い黒で、アクセントに星の表面のように輝くアストラルブルー。背中には、ヴァルキリーのような大きな一つのノズルではなく、円形に配置された複数の小さなノズルからなる、より複雑なスラストシステムがある。
「これ……」レアは近づき、目を細部から細部へと動かした。「標準機じゃない。」
「その通りです。これは私が船長のために特別に設計したプロトタイプ機です。」
セラフィエルの声が格納庫の壁のスピーカーから聞こえる。ツムギはレアの数メートル後ろに立ち、両手を背中で組んでいる。
「この機体は俺用に設定されていると言ったな」とツムギは言った。「でも俺は一度も使ったことがない。」
「船長がまだ必要としていなかったからです。この機体は最大性能のために設計されています——快適さのためではありません。船長が本当に必要とする時まで待っていました。」
レアはツムギに振り返った。
「試してもいい?」
「昨日も聞いたな。答えは同じだ——いいぞ。」
レアは微笑んだ。彼女は機体のコックピットへ続く階段を上った。コックピットの扉を開けた時、彼女は一瞬立ち止まった。
コックピットはヴァルキリーとは違っていた。より狭く、より焦点が絞られている。パイロットシートは彼女の知らない素材でできている——表面は滑らかだが、滑りはしない。コントロールパネルはよりミニマルで、壁に貼られたのではなく、空中に浮かぶホログラフィックスクリーンがある。
「これ……変だ」とレアは呟いた。
「この機体は異なる制御システムを使用しています。ヴァルキリーのような物理的なボタンはありません。すべてニューラルインターフェースで制御されます。」
レアは眉をひそめた。
「ニューラルインターフェース?」
「はい。この機体はパイロットの神経系に直接接続します。手ではなく——思考で操作します。」
レアはツムギを見た。
「本気か?」
「俺自身は試したことがない」とツムギは答えた。「だがセラフィエルは安全だと言っている。」
「安全です、パイロットが十分な精神的規律を持っていれば。そうでなければ、この機体は非常に危険になり得ます——パイロット自身にとって。」
レアはパイロットシートに座った。彼女は深く息を吸った。
「わかった。準備はできている。」
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シミュレーションが始まった。
レアは仮想の戦場の中央に立っていた——赤い空と遠くの廃墟のある不毛の平原。彼女の周囲では、いくつかの敵モビルフレームが廃墟の陰から現れる。
プロトタイプ機が動いた。
レアは何か違うものを感じた。左に動こうと考えた時、機体は動いた——間もなく、遅延もなく。撃とうと考えた時、機体の腕の武器が上がり、発砲した——彼女が撃つと決めたことに気づく前に。
「これ……すごい」と彼女は言った。
「集中してください、レア。この機体はあなたの思考に反応します——あなたが意識していない思考にも。集中しなければ、機体は衝動に基づいて行動します。」
レアは頷いた。彼女は自分を強制的に集中させた——全ての動きを実行する前に考える。機体は恐ろしいほどの精密さで動いた。彼女はヴァルキリーでは不可能な動きで敵の攻撃をかわした。完璧な正確さで射撃した。
しかし何かが彼女を悩ませていた。
機体は……飢えているように感じられた。まるで動き続け、戦い続け、破壊し続けたいかのように。レアはその衝動を心の背後に感じることができた——完全に彼女自身のものではない切迫感。
「レア、注意してください。この機体には非常に攻撃的な自律戦闘システムがあります。あなたが制御しなければ、機体があなたを制御します。」
レアは歯を食いしばった。
「俺が制御できる。」
彼女は自分を落ち着かせようとした——すべての動きを注意深く考え、衝動に支配されないように。機体は減速し、より制御された動きになった。
シミュレーションが終了した。
レアは少し息を切らしながらコックピットを出た。ツムギが下で待っていた。
「どうだった?」とツムギは尋ねた。
レアは彼を見た。
「あの機体は……危険だ。」
「どう危険なんだ?」
「反応が良すぎる。攻撃的すぎる。集中し続けなければ——そうでなければ、機体が主導権を握る。」レアは首を振った。「実戦では使えない。本当に慣れるまでは。」
ツムギは頷いた。
「なら、ヴァルキリーを使い続けろ。」
レアは微かに微笑んだ。
「ああ。ヴァルキリーの方が俺に合っている。」
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彼らはヴァルキリーの整備プラットフォーム近くのベンチに座った。レアはまだプロトタイプ機での経験を考えていた。
「船長」と彼女は言った。
「何だ?」
「あの機体……いつか使うつもりなのか?」
ツムギは考えた。
「わからない。かもしれない。状況がそれを必要とするなら。」
「あの機体は冗談じゃない。俺は……自分自身と戦っているような感じがした。」
「わかっている。だからセラフィエルはまだ俺に与えていない。俺が準備できるまで待っているんだ。」
レアは彼を見つめた。
「怖くないのか?」
「怖い。でも恐怖に止められはしない。」
レアは微笑んだ——いつもより誠実な微笑みだ。
「お前は本当に変なやつだな、船長。」
「よく言われる。」
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夜、ツムギはアストレオンのコックピットの窓の前に立った。
「セラフィエル。」
「はい、ツムギ?」
「あの機体をわざと攻撃的にしたのか?」
「最大性能のために設計しました。攻撃性はその一部です。」
「パイロットにとって危険になり得ることはわかっているな。」
「はい。だから船長が本当に必要とするまで、船長に与えなかったのです。」
ツムギは星々を見つめた。
「いつかは使うだろう。でも今じゃない。」
「待っています、ツムギ。」
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【次回予告 第四十九章 —— 「フロンティア・モビルフレーム・マッチ」】
レアはナルコール・フロンティア・ステーションでモビルフレームの大会に参加する。改造されたヴァルキリーで、彼女はフロンティア中のトップパイロットたちと戦う——超能力ではなく、経験、位置取り、そして戦術的規律で。
【第四十九章へ続く…】




