第四十五章 整いすぎた数字
第四十五章 整いすぎた数字
ツムギはセラフィエルの報告書を三度読んだ。
アストレオンのリビングルームの画面には、過去六ヶ月間にわたる価格グラフが表示されている——チタン、プラチナ、ニッケル、そしてサルン・ヴェイルルートで取引されるその他の鉱物。表面だけを見れば、そのグラフは正常に見える。上がったり下がったり、一般的な市場のように。
しかし長く見ていると、何かが引っかかった。
「セラフィエル、さっき頼んだ部分をもう一度見せてくれ。」
「了解しました、ツムギ。」
画面が変わった。今度は五つの異なる供給業者の価格比較を表示している——全てヴェイラウン市場でチタンを販売している。五本の曲線、五つの色。
五本の曲線はほぼ同一に動いていた。
一緒に上がり、一緒に下がる。供給業者間の価格差は一・二パーセント以下——自由市場ではありえないことだ。各供給業者はそれぞれのコスト構造、供給ルート、価格戦略を持つはずだから。
「ラン、これを見てくれ。」
ソファに座ってタブレットを手にしていたランが顔を上げた。彼女はタブレットを置き、近づいて画面を見つめた。
目を細める。
「それは……」彼女は止まった。より長く見つめる。「それはおかしい。」
「君も気づいたか。」
「五つの異なる供給業者。五つの異なるルート。五つの異なるコスト構造。なのに彼らの価格は一つの存在のように動いている。」ランは画面を指した。「日々の変動さえほぼ同じ。これは自由市場じゃない。」
「自由市場じゃなければ、何だ?」
「協調。」ランはツムギを見つめた。「誰か——あるいは何人かが——この価格を操作している。」
ツムギは頷いた。彼は既に同じ結論に達していたが、ランからそれを聞くことでより現実味を帯びた。
「セラフィエル、このデータはどこから得た?」
「フロンティア情報ネットワークからです、ツムギ。いくつかの交易ステーションが価格を公開しています。ヴェイルズ・レスト、メイラスク、そしてサルン・ヴェイル沿いの二つのステーションからデータを統合しました。」
「このデータは信頼できるか?」
「私が検証できる限りでは、はい。ただし公開されているデータは全ての取引を反映していない可能性があります。公開市場以外の取引は記録されていないかもしれません。」
ツムギは考えた。
「ならば、より深いデータが必要だ。」
彼はランに振り返った。
「内部取引データを提供できる連絡先はあるか?」
ランは微かに微笑んだ——同じことを考えていたことを示す微笑みだ。
「いくつかあるわ。でも彼らはただでそんなデータをくれるわけじゃない。」
「いくらだ?」
「場合による。金を求める者もいれば、助けを求める者もいる。長期的な関係を求める者もいる。」
「我々には金がある。船がある。評判がある。最も理にかなったものを選べ。」
ランは頷いた。
「今夜連絡してみる。」
---
ランが働く間、ツムギは別の情報源から情報を探すことにした。
彼とレアはヴェイルズ・レストへ行った——彼らが最初にルート利用者として登録したステーションだ。そこには、パイロットや商人が話を共有するために使う小さなバーがステーションの角にある。噂を聞くのに最適な場所だ。
そのバーは「ザ・ドリフティング・アンカー」と呼ばれていた——使い込まれた木のテーブルと、低い天井から吊るされた薄暗い灯りがある簡素な場所だ。中では数人がそれぞれのテーブルに座っている——ほとんどが貨物パイロット、数人の商人、そして時折休息中の傭兵。
ツムギとレアは角のテーブルに座った。ツムギはアルコールの入っていない飲み物を注文した——フロンティアの惑星のハーブティー。レアは暗い色で煙の立つものを注文した。
「それは安全に飲めるのか?」とツムギは尋ねた。
「慣れてる。」レアは答えた。「焦げたコーヒーみたいな味だ。美味くはないが、目が覚める。」
ツムギはそれ以上尋ねなかった。
二人はしばらく黙って座り、周囲の会話を聞いていた。ほとんどは興味を引かない——燃料価格への不満、うまく回避した海賊の話、トラブルに巻き込まれたパイロットの噂。
しかし、ツムギは何かを聞いた。
「——で、何が起きたと思う? 価格が突然上がったんだ。理由もなく。このルートで十年取引してるが、こんなのは初めてだ。」
ツムギは振り返った。その会話は向かいのテーブルから聞こえた——白い髪としわくちゃの肌を持つ年老いた人間の男性が、若いドワーフの女性と話している。
「わかってる」とドワーフの女性が答えた。「私の供給業者も同じことを言ってた。『市場が不安定だから』価格を下げられないって。でも何が不安定にしているのか誰も知らない。」
「ヴェルクラーデンのせいだって聞いた。」
ツムギは身を固くした。レアも——キツネの耳が動き、その会話をはっきりと捉えている。
「ヴェルクラーデン? あの大企業?」
「ああ。彼らは最近このセクターに支店を開いた。すると突然、彼らと取引する全ての供給業者が値上げを始めた。」
「でもなぜ?」
「わからん。市場を支配したいのかもしれない。小さな競合を排除したいのかもしれない。」
年老いた男性は首を振った。
「彼らがいなければフロンティアは既に厳しいのに。」
ツムギはその全てを心に留めた。彼は彼らに近づかなかった——注目を集めたくなかった。しかし必要なものは手に入れた。
「レア」と彼は静かに言った。
「はい?」
「もう十分だ。戻ろう。」
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アストレオンで、ツムギは通信室でランと合流した。
ランは画面越しに誰かと話していた——銀髪と鋭い青い目を持つスペースエルフの男性だ。会話は静かで速い言葉で進んでいる——商人の言葉だ。
ツムギは会話が終わるまで待った。
「どうだ?」と彼は尋ねた。
ランは彼を見つめた。
「必要なデータは手に入れた。でもただじゃない。」
「いくらだ?」
「金じゃない。関係よ。彼の貨物を今後三ヶ月間、十パーセント割引で輸送することを約束しなければならなかった。」
ツムギは考えた。
「それは価値があるか?」
「このデータが正しければ、はい。市場で何が起きているか、より明確な全体像が得られる。」
「見せてくれ。」
ランはタブレットを軽く叩いた。部屋の画面が変わり、セラフィエルが持っていたものよりもはるかに詳細なデータを表示した。内部取引がある——公開価格だけでなく、量、時間、そして関与した当事者も。
ツムギは注意深くそれを見つめた。
「セラフィエル、これを以前のデータと比較しろ。」
「了解しました、ツムギ。」
画面が分割された。片側に公開データ。もう片側に内部データ。ツムギはそれらを比較した——そして彼が見たものに眉をひそめた。
「これを見ろ」と彼は言い、あるパターンを指した。「公開データでは、価格は規則的なパターンで上下している。しかし内部データでは、各価格上昇の直前に大規模な取引が行われている。」
ランが近づいた。
「それは大量購入よ。誰かが価格を上げるために大量に買っている。」
「そして価格が下がる直前に売っている。」
「それは古典的な操作よ。安く買って高く売る——でも大規模に行われている。」
ツムギはセラフィエルを見た。
「これらの取引を行っているのは誰だ?」
「いくつかを追跡しました。ほとんどはヴェイラウン星系に登録された子会社を指しています。しかし、いくつかは別の実体を指しています——公開データベースに登録されていない企業です。」
「ヴェルクラーデンか?」
「可能性があります。しかし直接的に証明することはまだできません。」
ツムギは頷いた。
「より強力な証拠が必要だ。」
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夜、ツムギは全員をリビングルームに集めた。
レアは真剣な表情でソファに座った。ランはその隣に座り、タブレットを手にしている。ヴェスペラは窓の近くに立っていた——座らないが、去りもしない。彼女は聞いている。
「問題がある」とツムギは言った。
「何だ?」とレアが尋ねた。
「サルン・ヴェイルルートで市場操作がある。誰か——あるいは何人かが——鉱物と食料の価格を操作している。彼らは価格を上げるために大量に買い、下げるために売る。自分たちで作り出した変動から大きな利益を得ている。」
「そして我々は?」
「我々はこの市場では小さなプレイヤーだ。何かを変える影響力はない。しかしどう対応するかは決められる。」
ランが彼を見つめた。
「どういう意味だ?」
「いつも通り働き続けることもできる——鉱物を輸送し、利益を得て、この操作を無視する。あるいはより深く調査することもできる——犯人を明らかにするのに十分な証拠を探すために。」
「二番目の選択肢のリスクは?」
「もし調査して、犯人がヴェルクラーデンのような大企業なら、彼らは快く思わないかもしれない。彼らは我々を圧迫できる——価格を通じて、ルートへのアクセスを通じて、政治的影響力を通じて。」
レアはにやりと笑った。
「挑戦は好きだ。」
ツムギは彼女を見つめた。
「いつも挑戦が好きだな。」
「私はモビルフレームパイロットだ。挑戦は仕事の一部だ。」
ツムギはランに振り返った。
「君は?」
ランはしばらく考えた。
「私は商人よ。大企業と遊ぶのは好きじゃない。でも不公平な市場を見るのも好きじゃない。」彼女は微かに微笑んだ。「参加するわ。」
ツムギはヴェスペラに振り返った。
「君は?」
ヴェスペラは窓から彼を見つめた。
「私はこのクルーの一員じゃない。でも何が起きているか知りたい。」彼女は一瞬止まった。「手伝うわ——できる範囲で。」
ツムギは頷いた。
「ならば、調査する。慎重に。直接攻撃はしない。証拠を集め、ネットワークを築き、支援を探す。」
「その後は?」とレアが尋ねた。
「その後、どうするか決める。」
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他の者たちが去った後、ツムギはコックピットの窓の前に立った。
「セラフィエル。」
「はい、ツムギ?」
「ヴェルクラーデン・インダストリアルについて何か見つけたか?」
「いくつかの情報を集めました。ヴェルクラーデン・インダストリアルはコラヴェル星系を拠点とする企業です——ここからFTLで約三日。彼らはフロンティア全域で事業を展開しています:採掘、輸送、交易、そして民間警備。」
「民間警備?」
「はい。彼らはかなりの規模のパトロール船隊を持っています。他の企業が輸送を守るために雇うこともよくあります。」
「彼らは危険か?」
「彼らは犯罪組織ではありません。合法企業です。しかしビジネスにおいては攻撃的です——競合を圧迫し、影響力を使って利益を得ることを躊躇しません。」
ツムギは頷いた。
「彼らは我々のことを知っているか?」
「可能性はあります。フロンティアでのアストレオンの存在は注目を集めています。しかしこれまでのところ、彼らは我々に直接的な関心を示していません。」
「よし。今は低いプロファイルを維持する。」
「賢明な判断です、ツムギ。」
ツムギは外の星々を見つめた。
遠くに、動く力がある——彼らの存在を快く思わないかもしれない力が。しかしツムギは怖くなかった。彼は実際に何が起きているのかを突き止める。そして自分なりの方法でやるつもりだ——慎重に、計画的に、急がずに。
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【次回予告 第四十六章 —— 「ナルコール・フロンティア・ステーション」】
ツムギとその乗組員はナルコール・フロンティア・ステーションに到着する——メイラスクより大きく、活発な傭兵コミュニティを持つステーションだ。そこでレアはモビルフレーム評価試験への参加を打診される——より大きな舞台で自分の能力を試す機会だ。
【第四十六章へ続く…】




