第四十三章 ランの交渉術
第四十三章 ランの交渉術
ヴェイラウン・ロジスティクスとの協力が二週目に入った頃、紬はラン・ヴァレスについてあることに気づいた。
ランは四時間以上眠ったことがない。
毎朝、紬が起きて朝食のためにギャレーへ歩いていくと、ランは既にテーブルに座ってタブレットを手にしている——目は素早くデータを読み、指は画面を叩き、時折静かだが断固とした口調で音声通信を通じて誰かと話している。
「ヴェイラウン市場のチタン価格が昨夜三パーセント下落しました」とランはある朝、顔を上げずに言った。「でもプラチナは五パーセント上昇しました。貨物の構成を調整すべきです。」
紬は向かいに座り、セラフィエルからお茶を受け取った。
「ミラルには連絡したか?」
「はい。貨物の構成を変えることに同意しました。プラチナを増やし、チタンを減らします。」
「よし。」
ランはようやく顔を上げた。その目——鋭いエメラルドグリーン——が読み取れない表情で紬を見つめる。
「船長、話したいことがあります。」
「どうぞ。」
「我々の事業を拡大したいのです。ヴェイラウン・ロジスティクスだけでなく、オルテイア全体のために。」
紬はカップを置いた。
「どういう意味だ?」
「オルテイアには三つの大きな鉱山があります。我々は既にヴェイラウン鉱山——ミラルの家族の鉱山——と仕事をしています。しかし他に二つの鉱山も輸送を必要としています。」
「北鉱山と南鉱山だな。」
「はい。北鉱山は地元のコンソーシアムが所有しています。南鉱山はヴェイラウン星系の企業が所有しています。どちらも同じ問題を抱えています——鉱物を輸送できる者がいないのです。」
紬は考えた。
「君は我々が彼らとも仕事をすべきだと言うのか?」
「はい。三つの鉱山全てから契約を得られれば、オルテイアの鉱物輸出の大部分を掌握できます。それはフロンティア市場で強い立場を与えてくれます。」
「そしてそれはより多くの利益を意味する。」
「はるかに多くの。」
紬はしばらく彼を見つめた。
「計画はあるのか?」
ランは微笑んだ——この話題を出すずっと前から考えていたことを示す微笑みだ。
「両方の鉱山に連絡しました。会うことに同意してくれました。」
---
最初の打ち合わせは北鉱山の事務所で行われた——デッキ12にある簡素な部屋で、鉱山の地図と古い書類で埋め尽くされている。紬はランとセラフィエルと共に訪れた。
机の向こうには、長い白髭と鋭い目を持つ年老いたドワーフの男性が座っている。名前はボリン——メイラスクで知っているボリンとは別人だ。ボリン・ストーンハート、北鉱山を管理する地元コンソーシアムの指導者である。
「君がラン・ヴァレスか」とボリンは前置きなしに言った。「噂は聞いている。ミラル・ヴェイラウンを窮地から救ったそうだな。」
「仕事をしただけです」とランは丁寧に答えた。
「そして今度は私のところに来た。なぜだ?」
「あなたも助けたいからです。」
ボリンは笑った——重く、疑いに満ちた笑いだ。
「私を助ける? そんな約束は以前にも聞いたことがある。大企業が来て、利益を約束し、状況が厳しくなると去っていく。」
「私は大企業ではありません。協力したいだけの商人です。」
「そして見返りに何が欲しい?」
「公正な利益です。それ以上でも以下でもなく。」
ボリンはしばらく彼を見つめた。目を細め、値踏みするように。
「標準契約だ。君が我々の鉱物を輸送し、我々が輸送費を払う。隠れた費用も、我々を縛る条項もなしだ。」
ランは微かに微笑んだ。
「それは我々にとって公正ではありません。我々は輸送のリスクを負います——海賊の襲撃、船の損傷、価格変動。そのリスクに対する補償が必要です。」
「何を提案する?」
「貨物価値の十パーセントを輸送費として頂きます。加えて、販売価格が我々が合意した目標を超えた場合、販売利益の五パーセントを。」
ボリンは眉をひそめた。
「十五パーセント? 高すぎる。」
「安全で時間通りの輸送を保証できるなら、それでも高すぎますか? 北鉱山は鉱物を送れないことで多くの収入を失っています。我々がいれば、より多く、より速く送れます。」
ボリンは沈黙した。
「どうやって輸送の安全を保証する? このフロンティアは海賊だらけだ。」
「我々には自衛できる船があります。そして経験豊富なモビルフレームパイロットがいます。」
ボリンは紬を見つめた——ずっと黙っていた紬を。
「君が船長か?」
「はい。」
「我々の貨物を守れると自信があるのか?」
「ヴェイラウン・ロジスティクスで既にやっています。あなたにもできます。」
ボリンはしばらく考えた。そして静かに頷いた。
「わかった。十パーセントに加えて利益の三パーセントで同意しよう。それ以上はない。」
ランは紬を見た。紬が小さく頷く。
「同意します」とランは言った。
ボリンは手を差し伸べた。
「取引成立だ。」
---
二度目の打ち合わせは南鉱山の事務所で行われた——より大きく、より現代的な部屋で、調度品はこの企業にまだ資金があることを示している。机の向こうには、四十代ほどの金髪と冷たい青い目をした人間の女性が彼らを見つめている。
名前はヘレナ・ヴォス——アリン・ヴォスの親族ではなく、単に同じ姓を持つだけだ。彼女は南鉱山を管理するヴェイラウン星系の企業の代表である。
「ヴェイラウン鉱山と北鉱山との協力のことは聞いています」とヘレナは前置きなしに言った。「動きが速いですね。」
「助けたいだけです」とランは答えた。
「フロンティアで『ただ助けたいだけ』などありません、ヴァレス嬢。誰もが利益を求めています。」
「その通りです。我々も利益を求めています。しかし同時に助けたいとも思っています。」
ヘレナは微かに微笑んだ。
「少なくとも正直ね。いいわ。何を提案する?」
「南鉱山からヴェイラウン市場へ、他の輸送業者より低いコストで鉱物を輸送できます。」
「いくら?」
「貨物価値の八パーセント。追加費用なし。」
ヘレナは眉を上げた。
「八パーセント? 北鉱山に提示したより低いじゃない。」
「北鉱山は量が少ない。南鉱山は量が多いので、より低い価格を提供できます。」
ヘレナは考えた。
「保証は?」
「指定された時間内の配送を保証します。もし失敗すれば、補償を支払います。」
ヘレナはしばらく彼を見つめた。
「そんな保証をよく出すわね。」
「我々の能力を信じていますから。」
ヘレナは静かに頷いた。
「わかった。同意する——ただし一つ条件がある。」
「何でしょう?」
「あなたたちの船を見せてほしい。本当に能力があるか確認したい。」
ランは紬に振り返った。
紬が頷いた。
「いつ見たいですか?」と紬は尋ねた。
「明日。ドックに行きます。」
---
翌日、ヘレナ・ヴォスはアストレオンを見るためにドック4に来た。
彼女はその巨大な船の前に立ち、読み取れない表情を浮かべている——感嘆と疑いが混ざったような。
「これがあなたの船?」
「ああ」と紬が答えた。
「全長は?」
「八千六百メートル。」
ヘレナはしばらく沈黙した。
「それは……思っていたより大きいわ。」
「この船は長距離航行用に設計されています。大量の貨物を輸送できます。」
「注目を集めるのが怖くないの?」
「フロンティアに現れた時から注目されています。でも問題を探しているわけではありません。」
ヘレナは彼を見つめた。
「あなたは何者? 商人? 傭兵? 探検家?」
「その全部です。そしてどれも支配的すぎません。」
ヘレナは微かに微笑んだ。
「面白い人ね、星崎船長。」
「よく言われます。」
---
アストレオンを見た後、ヘレナは協力に同意した。
「条件は同じよ」と彼女は言った。「貨物価値の八パーセント。そして毎週の配送報告書が欲しい。」
「同意します」とランは言った。
ヘレナは手を差し伸べた。
「ならば、取引成立ね。」
---
夜、紬とランはアストレオンのリビングルームに座った。
「我々は今、オルテイアの三つの大きな鉱山全てと契約を結んでいます」とランは言った。「つまりこのコロニーの鉱物輸出の大部分を掌握していることになります。」
「利益の予測は?」
「三つの鉱山からの貨物量で、月に八万から十万GCの利益が見込めます。市場価格によりますが。」
紬は頷いた。
「当初の予想よりずっと良い。」
「はい。そしてより重要なのは、フロンティア交易ネットワークにおいて強い立場を得たことです。これを維持できれば、他の星系へ拡大できます。」
紬は彼を見つめた。
「本当に長期的に考えているんだな。」
「私は商人です。それが仕事です。」
紬は微かに微笑んだ。
「君はただの商人以上だ、ラン。君は貴重なパートナーだ。」
ランはしばらく彼を見つめた。そのエメラルドグリーンの目は読み取れない何かを示している——愛ではなく、感謝でもなく、もっと深い何か。承認だ。
「ありがとう、船長。嬉しく思います。」
---
レアが疲れたが満足げな表情で部屋に入ってきた。
「訓練が終わった」と彼女は言った。「モビルフレームは素晴らしい。こんな性能は初めてだ。」
「よし」と紬は言った。「必要になるかもしれない。」
「何のために?」
「輸送の護衛だ。我々が使うルートは海賊活動で知られるいくつかの区域を通る。」
レアは微笑んだ。
「やっと面白いことが来たな。」
ランは首を振った。
「いつも戦いたがる。」
「私はモビルフレームパイロットだ。それが仕事だ。」
紬は彼らの会話を静かに聞いていた。彼は画面の地図を見つめた——今や掌握している交易ルート、今やサービスを提供している鉱山、そして今や自分たちの事業の一部となっている船。
「セラフィエル。」
「はい、紬?」
「我々はオルテイアで大きな進歩を遂げた。」
「はい。二週間足らずで、三つの大きな鉱山、一つの物流企業、そしていくつかの地元商人との関係を築きました。」
「心配すべきことはあるか?」
「一つあります、紬。サルン・ヴェイルで耳にしたヴェルクラーデン・インダストリアル——この地域のいくつかの鉱山に利害関係を持つ企業です。彼らは我々の存在を快く思わないかもしれません。」
紬は眉をひそめた。
「ヴェルクラーデン?」
「彼らはフロンティア全域で活動する大企業です。競合他社を圧迫し、価格を操作する評判があります。」
「彼らは問題になるか?」
「おそらく。しかし現時点では、我々に注目している兆候はありません。」
紬は頷いた。
「警戒しよう。」
---
ヴェスペラがリビングルームに現れた——数日ぶりに。彼女はより元気そうで、長い銀髪を後ろで結んでいる。
「船長。」
「ヴェスペラ。どうした?」
「話したいことがある。」
「どうぞ。」
「船のテストが終わった。新しいエンジン、シールド、武器——全て正常に機能している。セラフィエルは素晴らしい仕事をした。」
「よかった。」
「もう一度お礼を言いたい。そして伝えたいことがある。」
「何だ?」
「セクター7へ行く——前に話した重力異常のところ。さらに調査したい。」
紬は彼女を見つめた。
「一人で?」
「ええ。それが私の仕事だから。」
「君はつい最近襲撃されたばかりだ。」
「わかってる。でも怖がって止まるわけにはいかない。」
紬は考えた。
「いつ出発する?」
「数日後。準備が整ってから。」
「我々も一緒に行くか?」
ヴェスペラはしばらく沈黙した。
「私……まだわからない。これまで誰かと一緒に仕事をしたことがないから。」
「今決める必要はない。一緒に来てほしければ来ればいい。一人で行きたければ、我々は理解する。」
ヴェスペラは青白い瞳で彼を見つめた。
「あなたは本当に変な人ね、紬。」
「よく言われる。」
---
夜、紬はコックピットの窓の前に立ち、遠くで点滅するオルテイアを見つめた。
「セラフィエル。」
「はい、紬?」
「ここで何かを変えた。」
「はい。オルテイアには今、新しい希望があります。ヴェイラウン・ロジスティクスは生き残れる。鉱山は操業できる。人々は働ける。」
「そして我々は利益を得る。」
「はい。大きな利益を。」
紬は星々を見つめた。
「でもそれ以上に大切なことがある。」
「何ですか?」
「我々は関係を築いている。信頼を。評判を。それは金より長く続く。」
セラフィエルは一瞬沈黙した。
「それは賢明な考えです、紬。」
紬は微かに微笑んだ。
「これを続ける。人を助け、関係を築き、利益を得る。それは良い生き方だ。」
「同意します、紬。」
---
【次回予告 第四十四章 —— 「サルン・ヴェイル交易路」】
紬はより大規模な商業運行を始める——サルン・ヴェイル交易路を通じて鉱物、食料、機械部品を輸送する。大きな利益がもたらされるが、セラフィエルはあまりに整然とした価格パターンを発見する——大企業による市場操作の兆候だ。
【第四十四章へ続く…】




