第四十一章 —— オルテイア鉱山コロニー
第四十一章 —— オルテイア鉱山コロニー
アストレオンは、護衛契約を滞りなく完了させた後、ヴァスケリル小惑星帯を離れた。
紬はコックピットの窓の前に立ち、遠くで小さくなり始めた小惑星群を見つめていた。隣では、ヴェスペラが両手を背中で組んで立っている——このスペースハイエルフの女性が考え事をしている時にする癖だと、彼は気づいていた。
「君の船は修理が終わった」と紬は言った。
ヴェスペラは頷いた。
「セラフィエルが昨夜すべて終わらせた。新しいエンジン、シールド、隠し武器、更新されたAI。全部よ。」
「いつでも出発できる。」
「わかってる。」
しかしヴェスペラはその場から動かなかった。彼女は紬の隣に立ち続け、同じ星々を見つめている。
「先にオルテイアまで同行する」と彼女はついに言った。「少なくとも、修理後に自分の船がちゃんと動くことを確認するまでは。」
紬は振り返った。
「同行するのに理由はいらない。望むなら来ればいい。」
ヴェスペラは青白い瞳で彼を見つめた。
「目的もなく旅をするのは好きじゃない。」
「なら、これを船のテストだと思えばいい。オルテイアの後で、どうするか決めればいい。」
ヴェスペラはしばらく沈黙した。そして頷いた。
「わかった。」
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オルテイアへの旅は約六時間かかった。
紬はその時間の大半をコックピットで過ごし、航法を監視しながらセラフィエルと手持ちのデータについて話し合った。レアはモビルフレームの点検とシミュレーターでの訓練を交互に行った。ランはタブレットで忙しく、オルテイアに関する情報を求めてフロンティアのいくつかの連絡先に問い合わせていた。ヴェスペラはナビゲーション・ラウンジに座り、自分の日誌を読み、時折何かを書き留めていた。
彼らがオルテイア星系に近づいた時、紬は全員をコックピットに呼び集めた。
「まもなく到着する」と彼は言った。「これを見てほしい。」
画面に、一つの恒星系が現れた——薄暗いオレンジ色の恒星と、その周囲を回るいくつかの惑星。それらの惑星の間に、普通の小惑星とは異なる大きな小惑星があった。その表面は人工構造物で埋め尽くされている——建物、塔、そして点滅する灯り。
「オルテイア鉱山コロニー」とヴェスペラが言った。「人口は約二万人。ほとんどが鉱物採掘で働いている。」
紬は表示を拡大した。小惑星の表面に取り付けられたドックが見える——いくつかは空だ。貨物船も数隻停まっているが、この規模のコロニーにしては少ない。
「静かだ」とレアが言った。
「ええ」とヴェスペラが答えた。「言った通り、彼らは苦しんでいる。」
ランは鋭い目で画面を見つめた。
「貨物船が見える。まだ交易活動はあるのかもしれない。」
「少しはね」とヴェスペラ。「でもコロニー全体を養うには足りない。」
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アストレオンは慎重にオルテイアに接近した。
リラディスやメイラスクのような複雑な交通管制はない。ステーションからの短いメッセージだけだ——平板な、熱意のない口調。
「正体不明の船、こちらオルテイア鉱山コロニー。ドック4にドッキングしてください。ようこそ。」
紬は眉をひそめた。
「身元の確認はないのか?」
「いいえ、紬。彼らはあまり気にしていないようです。」
「あるいは、自分たちの問題で手一杯なのか。」
アストレオンはドック4へ向かった——小惑星の側面にある大きなプラットフォームだ。他のドックと同様、このプラットフォームも古びて見え、いくつかの部分は錆びつき、灯りは不規則に点滅している。
「ドッキング完了。気圧接続は安定しています。」
紬はパイロットシートから立ち上がった。
「このコロニーがどんなものか見に行こう。」
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彼らはアストレオンを降りた——紬、セラフィエル、レア、ラン、そしてヴェスペラ。
オルテイアの空気は、紬が今まで訪れたどの場所とも違っていた。金属と岩の粉塵の強い香りがあり、それに汗とエンジンオイルのようなものが混ざっている。廊下の灯りは薄暗い黄色い光を放ち、いくつかは今にも消えそうに点滅している。
通り過ぎる人々は彼らを見つめた——疲れ切った、好奇心のない視線だ。汚れた作業服の鉱山労働者、陰鬱な顔の商人、そして目的もなく走り回る子供たち。
「ここは……違う」とレアが静かに言った。
「ああ」と紬が答えた。「ここは瀕死の場所だ。」
ヴェスペラは頷いた。
「一年前に来た時も、状態は悪かった。今はもっと悪い。」
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彼らは管理エリアへ歩いていった——正面に机があり、いくつかの古びた椅子が置かれた小さな部屋だ。机の向こうには、五十歳ほどの灰色の髪と疲れた目をした人間の男性が座っている。
「オルテイアへようこそ」と彼は気力なく言った。「何かお手伝いできますか?」
紬が近づいた。
「私は星崎紬船長です。このコロニーの状況について知りたい。」
男性は眉を上げた——少し驚いたようだ。
「船長? ドック4の大きな船はあなたのものですか?」
「はい。」
男性はしばらく彼を見つめた。
「私はアリン・ヴォス、オルテイアの行政責任者です。何を知りたいのですか?」
「すべてを。」
アリンは長くため息をついた。
「どこから始めればいいのか……」
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アリンは彼らをより小さな部屋へ連れて行った——大きなテーブルと不揃いな椅子がある一種の会議室だ。壁には色あせたオルテイアの地図と、いくつかの書類が掛けられている。
「オルテイアは約八十年前に設立されました」とアリンは始めた。「最初は小さな採掘基地に過ぎませんでした。その後、かなり大きなコロニーへと発展しました——二万人の人口、生産的な鉱山、安定した交易。」
「何が起きたのですか?」と紬が尋ねた。
「数年前、鉱物価格が下落しました。ここに投資していた大企業が資本を引き上げ始めたのです。もう利益が出ないと言って。一つ、また一つと、彼らは去っていきました。」
「住民は?」
「一部は去りました。一部は残りました。残った者たちは……苦闘しています。」
アリンは壁の地図を指した。
「まだいくつかの鉱山は操業しています。しかしその収益はコロニー全体を養うには足りません。食料、医薬品、装備が不足しています。いくつかの地元企業はほぼ破綻状態です。」
「何かできることはありますか?」
アリンは、こんな質問を長い間聞いていなかったことを示す目で彼を見つめた。
「本気ですか?」
「いつも本気です。」
アリンはしばらく沈黙した。
「まだ持ちこたえている企業が一つあります——ヴェイラウン・ロジスティクスです。彼らは鉱山から隣の星系の市場へ鉱物を輸送しています。しかし船が足りません。彼らの二隻の船が壊れ、修理できません。もし鉱物を送れなければ、彼らは倒産します。」
紬は頷いた。
「どこで彼らに会えますか?」
「彼らの事務所はデッキ7にあります。でもまだ営業しているかどうかはわかりません。」
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彼らは管理事務所を出て、デッキ7へ歩いていった。
道すがら、紬はオルテイアについてさらに多くのことに気づいた。廊下で簡単なおもちゃで遊ぶ子供たち。ベンチに座って手作りのパンを売る老女。あり合わせの道具で壊れた電気パネルを修理する若い男性。
「ここは死んだ場所じゃない」と紬は静かに言った。
レアが振り返った。
「どういう意味だ?」
「ここの人々はまだ戦っている。諦めていない。」
ランが頷いた。
「それがフロンティアを他の場所と違わせている。ここにいる人々は、自分たち以外に誰も救ってくれないことを知っている。」
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デッキ7は、オルテイアの他の部分よりも寂れた工業エリアだった。
ここにはいくつかの工房と倉庫があり、手入れが行き届いていないように見える。廊下の突き当たりに、扉に文字が書かれた小さな事務所がある:「ヴェイラウン・ロジスティクス」。
紬は扉をノックした。
返事はない。
もう一度ノックした。
しばらくして、扉が開いた。髪の毛がもつれた金髪と、疲れた緑の目をしたスペースエルフの女性が彼らを見つめる。
「はい? 何かご用ですか?」
「ここはヴェイラウン・ロジスティクスの事務所ですか?」
「ええ。私はミラル・ヴェイラウン。オーナーです。」
紬は自己紹介をした。
「私は星崎紬船長です。御社が困難を抱えていると聞きました。」
ミラルは疑わしそうに彼を見つめた。
「オルテイアの誰もが困難を抱えているわ。なぜあなたが気にするの?」
「協力できる機会があるか知りたい。」
ミラルはしばらく沈黙した。そして扉をより大きく開けた。
「入ってください。」
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ヴェイラウン・ロジスティクスの事務所は非常に簡素だった——使い込まれた木の机、不揃いな椅子、そして床に散らばったいくつかの書類。部屋の隅には、色あせた交易ルートの地図がある。
ミラルは机の後ろに座り、前の椅子を指した。
「で、何が欲しいの?」
「御社の状況を知りたい。」
ミラルはため息をついた。
「ヴェイラウン・ロジスティクスは祖父が設立した。私たちはオルテイアの鉱山から隣の星系の市場へ鉱物を輸送している。昔は六隻の貨物船があった。今は二隻しか動いていない。残りは壊れている——二隻は修理不能、二隻は大規模な修理が必要だけど、その費用を払えない。」
「そして今は?」
「今は二週間に一度、一つの貨物しか送れない。それでは会社を養えない。先月、何人かの従業員を解雇しなければならなかった。何も変わらなければ、数ヶ月で閉鎖するわ。」
紬は考えた。
「生き残るには何が必要だ?」
「私たちの船の修理。あるいは、借りられる別の船へのアクセス。でも、倒産寸前の会社に船を貸してくれる人はいない。」
紬はセラフィエルを見た。
セラフィエルが頷いた。
「ミラル、見せてもらえる配送契約はあるか?」
ミラルは眉をひそめた。
「契約?」
「協力できる機会があるか知りたい。」
ミラルは机の引き出しを開け、数枚の書類を取り出した。
「現在進行中の契約がいくつかある。オルテイアの鉱山からヴェイラウン星系の工場への鉱物。でも船が足りないから、全部は果たせない。」
紬はその契約書を注意深く読んだ。
「セラフィエル、これは利益になるか?」
「この鉱物を輸送できれば、利益は貨物価値の約十五パーセントです。金額はかなりのものです。」
紬は頷いた。
「ミラル、もし我々が手伝ったらどうだ?」
ミラルは目を見開いて彼を見つめた。
「どうやって?」
「我々には貨物を輸送できる船がある。協力できる——我々が輸送し、君が物流と販売を管理する。」
ミラルはしばらく沈黙した。
「本気なの?」
「いつも本気だ。」
ミラルは目が輝き始めた表情で彼を見つめた。
「もしそれができたら……ヴェイラウン・ロジスティクスは生き残れる。もしかしたら成長もできる。」
紬は微かに微笑んだ。
「なら、詳細を話し合おう。」
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ミラルとの打ち合わせの後、紬と他の者たちはアストレオンに戻った。
リビングルームで、彼らは一緒に座った。
「良い機会だ」とランが言った。「ヴェイラウン・ロジスティクスには安定した契約と地元鉱山との関係がある。我々が彼らを助ければ、彼らのネットワークへのアクセスを得られる。」
レアが頷いた。
「そしてこのコロニーも助けることになる。」
紬はヴェスペラを見た。
「どう思う?」
ヴェスペラは考えた。
「本当に彼らを助けたいの?」
「ああ。」
「なぜ?」
「彼らが助けを必要としているから。そしてこれが良い機会だから。」
ヴェスペラはしばらく彼を見つめた。
「ねえ、紬。なぜみんながあなたと働きたがるのか、わかってきた気がする。」
「なぜ?」
「あなたは気にかけているから。そして賢いから。それは珍しい組み合わせよ。」
紬は答えなかった。彼はただ、画面のオルテイアの地図を見つめていた。
やるべき仕事がある。
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夜、紬はコックピットの窓の前に立った。
「セラフィエル。」
「はい、紬?」
「我々はヴェイラウン・ロジスティクスと協力する。」
「船長が検討できるよう、契約書の草案を既に用意しました。」
「よし。明日から始める。」
「船長はオルテイアを助けると決めたのですか?」
「ヴェイラウン・ロジスティクスを助けると決めた。それがオルテイアを助けることになれば、ボーナスだ。」
「賢明な判断です、紬。」
紬は外の星々を見つめた。
遠くで、オルテイア鉱山コロニーが小さな灯りを点滅させている——生き残るために戦っているコロニーだ。
そして紬は、自分なりの方法で彼らを助けるつもりだった。
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【次回予告 第四十二章 —— 「最初の投資」】
紬はヴェイラウン・ロジスティクスの鉱物輸送を手伝うことで、オルテイアへの投資を始める。彼は慎重にデューデリジェンスを行う——契約、鉱業権、輸送費を分析する。この投資は成功し、利益予測は+三十一パーセントに達する。
【第四十二章へ続く…】




