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ASTRAEON VELORIA――銀河を旅する自由傭兵――  作者: Ren Hazumi


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第三十九章 —— ヴェスペラの船

第三十九章 —— ヴェスペラの船


紬はヴェスペラの船の前に立ち、注意深くそれを見つめた。


今日、その船は初めて見た時よりもずっと良い状態だった。船体はいくつかの場所で補修され、開いていたパネルは元に戻され、周囲のインジケーターライトは安定して点灯している。アストレオンのドローンはまだいくつかの部分で作業しているが、修理の大部分は完了していた。


「セラフィエル、進捗はどうだ?」


「構造修理は九十パーセント完了しました。主エンジンは新しいユニットに交換済みです。航法システムは修復済み。シールドはアップグレード済み。隠し武器は搭載され、テスト済みです。」


「よし。ヴェスペラはもう見たか?」


「いいえ。船長がお見せするのを待っていました。」


紬は頷いた。彼はヴェスペラを迎えに医療デッキへ歩いていった。


---


ヴェスペラは医療用ベッドに座り、自分の日誌を読んでいた。紬が入ってくると、彼女は顔を上げた。


「顔色が良くなったな」と紬は言った。


「気分も良くなった。」ヴェスペラは日誌を置いた。「何かあった?」


「見せたいものがある。君の船だ。」


ヴェスペラの目が輝いた。


「もう終わったの?」


「完全じゃない。でも見せるには十分だ。」


ヴェスペラは素早く立ち上がった——少し急ぎすぎて、すぐに顔をしかめ、体の側面を押さえた。


「急ぐな」と紬が言った。「まだ回復中だ。」


「大丈夫。」ヴェスペラは彼を見つめた。「自分の船を見たい。」


紬は微かに微笑んだ。「ついて来てくれ。」


---


二人は一緒に格納庫へ歩いていった。


道すがら、ヴェスペラは周囲に注意を払った——広く清潔なアストレオンの廊下、隅々を照らす温かな灯り、時折通り過ぎる他の乗組員。レアが遠くを通り過ぎ、手を振ってからモビルフレーム格納庫への曲がり角へ消えていった。ランは通信室で、画面越しに誰かと話しているのが見えた。


「あなたの船はとても……生きている」とヴェスペラは言った。


「ここにはたくさんの人がいる。」


「それが生きている理由ね。」


紬は答えなかった。二人は歩き続け、格納庫の扉にたどり着いた。


扉が静かな音を立てて開き、ヴェスペラは足を踏み入れた。


彼女は立ち止まった。


目の前に、彼女の探査船が立っていた——記憶しているよりもずっと良い状態で。穴が開き黒く焦げていた船体は今では滑らかで、新しいパネルが元の色と溶け合っている。周囲の航行灯は明るく点灯し、後部には新しいエンジンが目立っている——より大きく、より頑丈で、見覚えのないデザインだ。


ヴェスペラは近づき、目を一つの部分から別の部分へと動かした。


「これ……私の船?」


「ああ。」


「でも……」彼女は船体に触れ、滑らかな金属の表面を感じた。「前とは違う。」


「いくつかの部分を交換した。エンジン、航法システム、シールド。」


ヴェスペラは振り返った。


「エンジンを交換したの?」


「古いエンジンは修理するには損傷が酷すぎた。だからセラフィエルがより良いものに交換した。」


ヴェスペラは目を見開いて彼を見つめた。


「より良いもの?」


「アストレオンの技術。銀河標準より一段上だ。」


ヴェスペラは沈黙した。彼女の目は再び船へ——そこに搭載された新しいエンジンへ、以前より高度に見えるパネルへと向かう。


「私……何と言えばいいのかわからない。」


「中を見ていないだろ。」


---


紬はヴェスペラを船の中へ連れて行った。


内部は清掃され、修理されていた。狭かったコックピットは今ではより広く感じられ、新しいパイロットシートとより現代的なコントロールパネルがある。周囲のモニターは明確な航法データで点灯している。


ヴェスペラはパイロットシートに座った——自分のシートに、そしてそのシートが自分の体に合わせて調整されるのを感じた。


「これ……新しいシート。」


「セラフィエルが君の体型に合わせた。」


ヴェスペラは彼を見つめた。


「そんなことができるの?」


「彼女は多くのことができる。」


ヴェスペラは静かに首を振り、それから前方のコントロールパネルを見つめた。


「これは?」


「新しい航法システム。より正確で、より速い。より効率的にルートをマッピングできる。」


ヴェスペラがそのパネルに触れると、前方の画面が変わり——彼女が今まで見たことのないほど詳細な星図を表示した。


「これ……とても完全な航法データ。」


「セラフィエルがアストレオンのアーカイブから一部のデータを統合した。君は今、より良いフロンティアの地図へのアクセスを持っている。」


ヴェスペラは彼を見つめた。


「あなたは自分の探査データを……私の船に与えたの?」


「私は自分の探査データを与えていない。標準的な航法データへのアクセスを与えた。君はまだ自分の探査データを集めなければならない。」


ヴェスペラは微かに微笑んだ。


「区別が上手いのね。」


「ただ慎重なだけだ。」


---


紬は船の別の部分を見せた。


後部には、アップグレードされた研究スペースがある——より高度な機器と、より大きなデータ保存システムを備えている。


「君の研究モジュールは修理された。いくつかの機器はより良いものに交換された。」


ヴェスペラはその機器を観察した。


「これ……高価な機器よ。」


「セラフィエルが作った。」


ヴェスペラは鋭く振り返った。


「作った?」


「アストレオンには製造施設がある。セラフィエルは必要な部品を生産できる。」


ヴェスペラはしばらく彼を見つめた。


「あなたの船は……本当に素晴らしい。」


「わかってる。」


ヴェスペラは微笑んだ——以前よりずっと誠実な微笑みだ。


「あなたは決して謙遜しないのね?」


「ただ事実を言っているだけだ。」


---


二人は船から出て、格納庫に立った。


ヴェスペラはもう一度自分の船を見つめた——以前よりずっと良い状態の船を。


「どうやってお礼をすればいいのかわからない」と彼女は静かに言った。


「お礼は必要ない。」


「借りを作るのは好きじゃない。」


「言っただろ、君は借りを作っていない。」


ヴェスペラは青白い瞳で彼を見つめた。


「紬、本気で言っている。あなたは私のために多くのことをしてくれた。命を救い、船を修理し、私が求めもしなかった防御システムまで追加した。ただ去るわけにはいかない。」


紬は考えた。


「わかった。もし返したいなら、一つできることがある。」


「何?」


「君の探査データだ。見てみたい。」


ヴェスペラは眉をひそめた。


「私の探査データ?」


「君はセクター7で重力異常を調査していたと言った。何を見つけたのか知りたい。」


ヴェスペラはしばらく沈黙した。その目は評価するように紬を見つめている——何かを決めようとしているかのように。


「そのデータは……まだ完全じゃない。襲撃される前に調査を始めたばかりだった。」


「完全なデータは必要ない。君が何を探しているのか知りたいだけだ。」


ヴェスペラはため息をついた。


「わかった。見せる。」


---


二人はアストレオンの展望室に座り、間にホログラフィックディスプレイを置いた。


ヴェスペラはタブレットを開き、データを表示した——グラフ、地図、そして自分で作ったいくつかの記録。


「これが私が見つけた重力異常」と彼女は言い、地図上の一点を指した。「場所はセクター7、ここからFTLで約十二時間のところ。」


紬はそのデータを観察した。


「何がおかしいんだ?」


「そのエリアの重力が不安定なの。ブラックホールや普通の自然現象とは違う。パターンが……不規則。何かがそこで時空に影響を与えているように。」


「どんな風に?」


ヴェスペラはグラフを表示した。


「これを見て。そのエリアの重力は予測できないパターンで変動している。時には強く、時には弱く。そして……信号がある。」


「信号?」


「ええ。非常に弱い信号。まだ特定できないけど、自然な信号じゃない。」


紬はしばらくそのデータを見つめた。


「これは技術だと思うか?」


「わからない。技術かもしれない。私たちがまだ理解していない自然現象かもしれない。だから調査したいの。」


紬は頷いた。


「面白い。」


ヴェスペラは彼を見つめた。


「興味がある?」


「かもしれない。」紬は地図を見つめた。「我々の契約が終わったら、一緒に見に行ける。」


ヴェスペラは眉を上げた。


「一緒に来るの?」


「安全にそこへ連れて行ける船がある。そして君にはデータがある。協力できる。」


ヴェスペラは考えた。


「本気?」


「いつも本気だ。」


ヴェスペラは微笑んだ——以前より温かい微笑みだ。


「わかった。後で考えましょう。」


---


ヴェスペラが自分の部屋に戻った後、紬はレアとランと共にリビングルームに座った。


「つまり彼女は重力異常のデータを持っているのか?」とレアが尋ねた。


「ああ。セクター7だ。」


「危険なのか?」


「まだわからない。でもヴェスペラは調査するのに十分興味を持っている。」


ランが彼を見つめた。


「そこにビジネスの機会があると思う?」


「かもしれない。でも俺は何が見つかるかの方が興味がある。」


レアは微笑んだ。


「いつも知りたがりだな、船長。」


「ただ探検が好きなだけだ。」


---


夜、紬はコックピットの窓の前に立った。


「セラフィエル。」


「はい、紬?」


「ヴェスペラからの異常データを分析したか?」


「はい。あのデータは確かに普通ではありません。その領域の重力パターンは標準的な天体物理学モデルと一致しません。」


「それは何を意味する?」


「つまり、そこに何かがあるということです。未知の自然現象か、あるいは……別の何かが。」


紬は星々を見つめた。


「突き止めよう。」


---


【次回予告 第四十章 —— 「ヴェスペラのフロンティア地図」】


ヴェスペラは補償として自分の探査データを紬に手渡す——採掘区域、安全なルート、放棄されたステーション、そして交易の機会を含むフロンティアの地図だ。そのデータの中に、一つの場所が際立っている:オルテイア採掘コロニー、その記録には「商業的不安定性:深刻」と記されていた。


【第四十章へ続く…】

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