第三十七章 —— 海賊に撃たれた船
第三十七章 —— 海賊に撃たれた船
紬はヴェスペラの状態が安定していることを確認してから、医療デッキを後にした。そのスペースハイエルフの女性はまだ弱っていた——傷が癒えるには時間が必要だ——しかし、もうはっきりと話すことはできた。
廊下では、レアが待っていた。
「調子はどうだ?」
「安定している。数日で回復するだろう。」
レアは頷いた。
「外から船を調べた。損傷はかなり酷い。」
「自分の目で見たい。」
二人は、ヴェスペラの船が引き入れられた格納庫へ歩いていった。アストレオンには小型船用の格納庫がいくつかあり、そのうちの一つに、損傷した探査船が収容されていた。
格納庫の扉が開くと、紬は立ち止まった。
その船は想像していたより小さかった——おそらく全長四十メートルほどで、惑星間ヨットのような流線型をしている。船体は白く、色あせた青いラインが走り、前方の探査センサーは損傷していた。いくつかのパネルが開き、切断されたケーブルと焦げた部品が露出している。
「セラフィエル、この船について何がわかる?」
「この船は長距離探査型です——長期の自立航行用に設計されています。全長四十二メートル。標準乗組員:一〜二名。長距離センサー、研究モジュール、高度な航法システムを搭載しています。」
「武器は?」
「ありません。この船に武装システムは搭載されていません。純粋に探査と研究用です。」
紬は眉をひそめた。武器のない船が、フロンティアで一人——それは大きなリスクだ。
「損傷の状況は?」
「船体はプラズマ砲撃による損傷を受けています——少なくとも三発。主エンジンは深刻な損傷。シールドシステムは完全に失敗。航法システムと通信システムにも損傷があります。」
「つまり、襲撃されたのか。」
「はい。そして損傷パターンから判断すると、襲撃は約六〜八時間前です。」
紬はその船に近づき、船体の穴を観察した。プラズマ砲撃は特徴的な痕跡を残す——溶けて黒くなった縁、熱で変色した金属。
「レア、どう思う?」
レアが隣に立ち、鋭い目でその損傷を見つめた。
「狙われた攻撃だ。エンジンを先に撃ち、次にシールド、そして航法だ。これは無差別な攻撃じゃない——無力化を目的とした攻撃だ。破壊じゃない。」
「なぜ破壊しなかった?」
「船を丸ごと欲しかったからかもしれない。略奪のために。」
紬は頷いた。それは理にかなっている。フロンティアの海賊は、貨物や部品を奪うために船を襲うことが多い——殺すためではない。
「しかし彼らは何も奪っていない」と紬は言った。「我々が発見した時、船はまだそこにあった。」
レアは考えた。
「邪魔が入ったのかもしれない。あるいは、何かを見て去ったか。」
「例えば?」
「わからない。でも調べられる。」
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紬はセラフィエルと共に船の内部を調べた。
内部は質素だった——一人乗りのパイロットシートがある小さなコックピット、狭い居住スペース、そして後部にいくつかの研究モジュール。争った痕跡はない。散らかった物もない。すべてが整然としていて、まるでパイロットがちょうど出かけたかのようだ。
「セラフィエル、航行記録はあるか?」
「あります、紬。アクセスできます。」
その船のコックピットのモニターが点灯し、航行データを表示した。紬は注意深くそれを読んだ。
「航行ルート……ヴァスケリル……そして……何もない。」
「記録は襲撃地点で途絶えています。システムはそれ以降何も記録していません。」
「つまり、彼女は襲撃され、その後……何もないのか。」
「はい。航法システムが深刻な損傷を受けたため、記録できなかった可能性があります。」
紬は頷いた。彼は居住スペースへ歩いていった——折りたたみ式のベッド、小さなテーブル、そして棚に整然と並んだ数冊の本がある小さな部屋だ。
テーブルの上には、一冊の日誌があった——使い込まれた革表紙の物理的なノートだ。紬は慎重にそれを開いた。
ページには手書きの記録が綴られていた——整った丁寧な文字。星のスケッチ、訪れた惑星についての記録、そして自然現象についてのいくつかの観察。
「セラフィエル、これは探査日誌だ。」
「はい。ヴェスペラは非常に几帳面な探検家のようです。」
紬は数ページをめくった。ヴァスケリル小惑星帯についての記録がある——小惑星の組成、安全なルート、避けるべき危険について。
最後のページには、より新しい書き込みがあった:
「四十七日目。セクター7で重力異常を発見。さらなる調査が必要。しかし周囲に海賊の活動の兆候がある。注意しなければ。」
紬は日誌を閉じた。
「つまり、彼女は何かを調査していたのか。」
「そのようです。」
「そして襲撃された。」
「はい。」
紬は日誌をテーブルの上に戻した。
「彼女が回復したら返そう。」
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格納庫で、レアはまだ船を調べていた。
「船長、何かおかしなものがある。」
紬が近づいた。
「何だ?」
レアは開いたパネルの一つを指した——損傷した航法システムの一部だ。
「これを見てくれ。ケーブルが切断されている。でも砲撃によるものじゃない。これは切られている。」
紬は眉をひそめた。
「切られている?」
「ああ。工具でな。誰かが船全体を破壊せずに航法を無効にしようとしたんだ。」
紬はより近くで調べた。レアの言う通りだ——ケーブルはきれいに切断されており、熱で溶けたのではない。
「つまり、襲撃後に誰かがこの船に乗り込んだのか?」
「可能性がある。何かを奪おうとした海賊かもしれない。でも彼らは何も取っていない。」
「あるいは、ここにない何かを探していたか。」
レアは頷いた。
「あり得る。」
紬は考えた。この話には何かおかしな点がある——船が襲撃され、ケーブルが切断され、しかし何も盗まれていない。
「セラフィエル。」
「はい、紬?」
「この船を襲った者について、他に手がかりはあるか?」
「プラズマ兵器の残留物を検知しました。しかしプラズマ兵器は一般的な技術です——誰が使用したかを特定するのは困難です。」
「物理的な手がかりは? 指紋や足跡のような?」
「私は法医学的に指紋をスキャンする能力はありません。しかし、残された痕跡があるか確認できます。」
「やれ。」
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紬はヴェスペラと話すために医療デッキに戻った。
女性はもう座ることができた——枕に寄りかかり、以前より落ち着いた表情をしている。
「星崎船長。」
「君の船について聞きたい。」
ヴェスペラは頷いた。
「何を知りたいのですか?」
「君は海賊に襲われた。しかし彼らは何も奪っていない。そして航法システムに切断されたケーブルがあった。なぜかわかるか?」
ヴェスペラはしばらく沈黙した。その目は読み取れない表情で紬を見つめている。
「……わかりません。襲撃後、彼らを見ませんでした。爆発音だけ覚えていて、それからシステムが全部止まった。私はスリーピングポッドに入って待っていました。」
「誰が襲ったか見なかったのか?」
「いいえ。見る暇がありませんでした。」
紬は頷いた。完全には納得していないが、死から逃れたばかりの女性を追及したくなかった。
「君自身について何か話せることは?」
ヴェスペラは微かに微笑んだ——疲れているが誠実な微笑みだ。
「私は探検家です。フロンティアを探索しています——未踏の領域を地図にし、資源を探し、自然現象を研究しています。それが私の仕事です。」
「一人で?」
「はい。一人で働く方が好きです。」
紬は頷いた。
「わかる。」
ヴェスペラは彼を見つめた。
「船長、私はあなたに恩があります。どう返せばいいのかわかりません。」
「返す必要はない。当然のことをしただけだ。」
ヴェスペラは答えなかった。彼女はただ、青白い瞳で紬を見つめた——何かを評価しているかのように。
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夜、紬はレアとランと共にリビングルームに座った。
「つまり彼女は探検家か」とランが言った。「フロンティアで一人。勇敢だな。」
「あるいは愚かだ」とレアが言った。「武器もなく、乗組員もなく。一度の襲撃で全てを失う。」
「でも彼女は生き延びた」と紬が言った。「逃げて、我々が見つけるまで耐えた。」
レアは肩をすくめた。
「運だ。」
「かもしれない。でもそれ以上の何かがあると思う。」
ランが紬を見つめた。
「どういう意味だ?」
「わからない。彼女には何か……違うものがある。」
レアは眉をひそめた。
「どう違う?」
「まだ説明できない。でも突き止めるつもりだ。」
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コックピットの窓際で、紬は外に浮かぶ小惑星を見つめた。
「セラフィエル。」
「はい、紬?」
「ヴェスペラの船の武器残留物は調べたか?」
「はい。興味深いものを発見しました。」
「何だ?」
「ヴェスペラの船のプラズマ残留物のパターンは、この地域の特定の海賊グループが使用する兵器と一致します。しかし一つ奇妙な点があります。」
「何だ?」
「その海賊グループは通常、このセクターでは活動していません。彼らは別の星系を拠点にしています。もし彼らがここで襲撃したのなら、活動範囲を拡大しているということです。」
紬は考えた。
「あるいは、誰かに雇われたかもしれない。」
「可能性があります。」
「この情報は保存しておけ。後で調査する。」
「了解しました、紬。」
紬は外の星々を見つめた。
ヴェスペラへの襲撃には何かおかしな点がある。そして紬は、より大きな問題が起きる前にそれを突き止めるつもりだった。
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【次回予告 第三十八章 —— 「ヴェスペラ・ノクス・アウレル」】
ヴェスペラは急速に回復する。彼女は自分自身についてより多くを語る——探検家としての仕事、損傷した船、そしてできるだけ早く旅に戻りたいという希望について。紬は修理の申し出をし、ヴェスペラは少しずつ心を開き始める。
【第三十八章へ続く…】




