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ASTRAEON VELORIA――銀河を旅する自由傭兵――  作者: Ren Hazumi


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第二十二章 —— 救出作戦

第二十二章 —— 救出作戦


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紬が貨物船から救出した三人の乗組員の状態を確認し終えたちょうどその時、コックピットの警報が鳴り響いた。


「紬、新たな緊急信号を受信しました。」


彼はすぐにコックピットへ走った。セラフィエルが速足でその後を追う。


「何が起きた?」


「小型旅客船——『オーロラ・ドーン』——が海賊の襲撃を報告しています。深刻な損傷を受け、動力を失いました。民間人乗客47名が乗船しています。」


紬はパイロットシートに座り、画面を見つめた。


「位置は?」


「現在地から約10万キロメートル離れた地点です。先ほど救助した貨物船と同じ区域です。」


「海賊はまだいるのか?」


「いいえ。既に去っています。おそらく我々が近くにいることを察知したのでしょう。」


紬は頷いた。


「彼らはどのくらい持つ?」


「生命維持装置が損傷しています。予備電力はあと2時間分です。その後は酸素が尽きます。」


紬は既に通信ボタンを押していた。


「ラン、こちらASTRAEON。緊急事態だ。旅客船が襲撃された。救助に向かう。」


「聞こえています、船長。ここで待っています。気をつけてください。」


---


ASTRAEONが高速で旅客船の位置へ向かった。


画面で、紬はその船をはっきりと見ることができた——白い小型船で、船体に民間航空会社のエンブレムが描かれている。船体の数箇所に穴が開き、エンジンからは細い煙が立ち上っている。


「セラフィエル、救助できるか?」


「はい。トラクタービームで船を安定させ、シャトルと医療ドローンを使って乗客を避難させることができます。」


「どれくらいかかる?」


「全て順調に進めば、約45分です。」


「やれ。」


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ASTRAEONが旅客船に接近した。


紬は警戒しながら画面を見つめた。船体の穴——プラズマの被弾痕だ。船の一部は爆発で黒く焦げている。


「セラフィエル、負傷者は?」


「47の生命反応を検知しています。全員生存していますが、数名は重篤な状態です。」


「直ちに避難させろ。優先は負傷者だ。」


「了解しました、紬。救難モードを起動します。」


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画面に変化が現れた。


ASTRAEONが救助システムを作動させ始める。船体下部からは柔らかな青い光が放たれている——損傷した旅客船を安定させるトラクタービームだ。船体側面では格納庫が開き、小型シャトルが発進を始める。


「トラクタービーム作動。旅客船を安定化しました。救難シャトルが目標に向かっています。」


紬は緊張した面持ちで画面を見つめた。


「避難完了までどのくらいだ?」


「約30分と見積もります。」


「監視を続けろ。海賊が戻ってくる兆候があればすぐに知らせろ。」


「もちろんです、紬。」


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画面で、紬は救難シャトルが旅客船に到達するのを見ることができた。


一人、また一人と乗客が避難していく——老人、子供、女性、男性、様々な種族だ。人間、スペースエルフ、ビーストマン、そして紬には見覚えのない種族もいる。彼らは皆、恐怖と疲れの表情を浮かべている。


紬は真剣な表情で画面を見つめた。


「セラフィエル、彼らは全員助かるのか?」


「はい。状態はおおむね安定しています。緊急治療を必要とする者はごくわずかです。」


「よし。ユーフォリア医療施設へ運べ。」


「了解しました、紬。」


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避難は迅速かつ効率的に進んだ。


20分足らずで、47人の乗客全員がASTRAEONに収容された。彼らはユーフォリア医療施設へ運ばれ、医療ドローンと自動システムが治療を開始した。


紬は彼らの状態を確認するために医療室へ降りた。


そこには心を打つ光景が広がっていた——泣いている小さな子供たち、抱き合う老夫婦、そして傷を負ってベッドに横たわる人々。


年老いたスペースエルフの女性が涙で潤んだ目で彼に近づいてきた。


「あなた……あなたが私たちを救ってくれたのですか?」


紬は頷いた。


「はい。私は星崎紬船長です。この船はASTRAEON VELORIAです。」


女性は涙を流した。


「ありがとう……ありがとう……私たちはあそこで死ぬと思っていました。」


「もう安全です。ここで誰もあなたたちを傷つけません。」


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紬は乗客たちの間を歩き、全員が無事であることを確認した。


小さな子供——キツネの耳を持つビーストマン——が大きな目で彼を見つめた。


「おじちゃん、あなたはヒーローなの?」


紬は微笑んだ。


「ヒーローじゃないよ。ただの傭兵だ。」


「でもぼくたちを助けてくれた!」


「正しいことをしただけだ。」


子供は微笑んだ——輝くような、無邪気な笑顔だ。


「ありがとう、おじちゃん。」


紬はその頭を優しく撫でた。


「礼はいらない。もう安全だから。」


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紬はコックピットに戻った。


画面では、損傷した旅客船がまだ宇宙空間に漂っている——ASTRAEONのトラクタービームが流されないよう保持している。


「セラフィエル、あの船を修理できるか?」


「ここでは無理です。あの船はステーションでの大規模な修理が必要です。しかしトラクタービームを使ってケストレル・フリーポートまで牽引できます。」


「どのくらいかかる?」


「低速で約2時間です。」


「やれ。あの船をここに置き去りにはできない。」


「了解しました、紬。」


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ASTRAEONがゆっくりと動き始め、損傷した旅客船を後方に牽引しながらケストレル・フリーポートへ向かった。


紬はパイロットシートに座り、画面を見つめた。


「セラフィエル。」


「はい、紬?」


「今日こんなことをするとは思わなかった。」


「何をですか?」


「人を救うことだ。傭兵の仕事は戦うことだけだと思っていた。でもこれは……何かが違う。」


「傭兵は戦うだけではありません、紬。彼らは守り、救い、助けを必要とする人々を助けるのです。」


紬は頷いた。


「わかってきた。」


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紬はランからメッセージを受信した。


「船長、旅客船を牽引しているのが見えました。何があったのですか?」


「乗客47名を救助した。船が海賊に襲撃されたんだ。」


「……あなたは本当に素晴らしい方です、船長。」


「正しいことをしただけだ。」


「それがあなたを特別な人にしているのです。ケストレルで待っています。」


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ASTRAEONがケストレル・フリーポートに到着し、後方に旅客船を牽引していた。


ステーション当局が直ちにその船を引き継いだ——修理チームと医療スタッフを派遣し、まだ治療を必要とする乗客たちを支援した。


紬はエアロックに立ち、乗客たちが自分の船から降りていくのを見送った。


一人の人間の男性が感謝の表情で彼に近づいた。


「船長、どうお礼を申し上げればよいのか……」


「必要ありません。私は自分の仕事をしただけです。」


「しかし、あなたのご親切を無報酬のままにはできません。もし何かお役に立てることがあれば……」


紬は考えた。


「もしお役に立てたいとお考えなら、今日起きたことを広めてください。一般市民の安全を気遣う傭兵がいることを、人々に知らせてください。」


男性は頷いた。


「必ずそうします。」


---


紬はASTRAEONに戻った。


船長専用居住区で、彼はソファに座り、ケストレル・フリーポートを映す窓を見つめた。


「セラフィエル。」


「はい、紬?」


「疲れた。でも気分はいい。」


「船長は今日、善行を行いました。それは当然の気持ちです。」


「全ての傭兵がこんなことをするのか?」


「いいえ。金にしか興味がない者もいます。しかし最高の者たちは——船長のように——他人を気遣います。」


紬は微笑んだ。


「これからも続けるつもりだ。」


「わかっています、紬。」


---


紬はリアからメッセージを受信した。


「星崎船長、旅客船を救助したと聞きました。本当にじっとしていられないんですね?」


紬は微笑んだ。


「やるべきことをしただけだ。」


「あなたは普通の傭兵じゃないって思い始めている。」


「どういう意味だ?」


「普通の傭兵は他人のことなんて気にしない。でもあなたは……違う。」


「正しいことをしているだけだ。」


「それがあなたを違う存在にしているんです、船長。覚えておきます。」


---


紬はセラフィエルと夕食をとった。


料理は質素だ——ご飯、野菜、焼き魚。


「セラフィエル。」


「はい、紬?」


「今日のことを考えていた。」


「何を?」


「この銀河には助けを必要としている人がたくさんいる。そして俺は彼らを助けることができる。」


「それは良い考えです、紬。」


「これからも人を助け続けたい。金のためじゃない。正しいことだからだ。」


セラフィエルは微笑んだ。


「船長は善良な人です、紬。」


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紬はベッドに横たわり、天井を見つめた。


窓の外では、ケストレル・フリーポートが小さな灯りを点滅させている。


「セラフィエル。」


「はい、紬?」


「明日、リラディスに戻る。」


「はい、紬。帰路です。」


「次の契約が待ち遠しい。」


「船長は本当に働くことがお好きなのですね。」


「人を助けるのが好きなんだ。それが生きているって感じがする。」


「船長は善良な人です、紬。」


---


紬はケストレルの傭兵協会からメッセージを受信した。


「星崎船長、本日の救出活動に関する報告を受領しました。あなたの評価が大幅に向上しました。現在60ポイント——Eクラスへの昇格に十分なポイントです。」


紬は微笑んだ。


「セラフィエル、ランクアップだ!」


「おめでとうございます、紬。船長はEクラスになりました。」


「こんなに早くランクアップするとは思わなかった。」


「船長は懸命に働き、並外れた能力を示しました。それは当然の結果です。」


---


【次回予告 第二十三章 —— 「リア・ヴァレン、再び」】


翌日、紬はケストレル・フリーポートでリア・ヴァレンと再会する。リアはある契約のための協力を求めるが、彼女の船では能力が不足している。紬はASTRAEONの格納庫を提供する——そしてリアは乗組員の一員になることを考え始める。


【第二十三章へ続く…】

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