【第131話】「商談のあとで」
【第131話】「商談のあとで」
ヴェルドラコン出航後・11日目 場所:ナマリス・エクスチェンジ・ステーション――商業協会事務所 → グランド・エクスチェンジ地区 → アストレオン・ヴェロリア POV:星崎紬
「紬、いい知らせと、あんまり嬉しくないかもしれない知らせがあるんだけど!」
11日目の朝は、俺の食卓の横に立つレアのそんな一言から始まった。
狐耳はぴんと立ち、尻尾は左右に揺れている。しかも、両手を背中の後ろに隠していた。
俺は朝食を咀嚼しながら、彼女を見上げた。
「じゃあ、いい知らせから頼む」
「エドリックさんから、夕食の招待状が届いたよ!」
「おっ。じゃあ、もうナマリスに戻ってきたのか?」
「うん! 参加できるハドリエン・ソルの乗組員も、みんな招待されてるんだって。グランド・エクスチェンジ地区のレストランで、ご馳走してくれるらしいよ!」
「いいじゃないか。それで、悪い知らせは?」
レアは背中の後ろから端末を取り出した。
「そのレストランには事前予約が必要な特別コースがあるんだけど、紬の許可がないと、まだ注文できないの!」
俺は黙った。
「……それが悪い知らせなのか?」
「当たり前でしょ! 売り切れちゃったらどうするの!?」
テーブルの向かい側で、カリスタがカップを下ろした。
「本当の悪い知らせは、注文していい料理の量を確認するためだけに、あんたが朝っぱらから私を起こしたことだよ」
「みんなの分がちゃんとあるか確認したかっただけだもん!」
「1人で特別コースを3つ注文していいかって聞いてきただろ」
「それは重要な質問だよ!」
隣に座っていたセラフィエルが、小さく笑った。
「レストランについては、すでに確認済みですよ、紬。団体予約にも対応していますし、エドリックさんが招待状の内容に従って、今回のお食事会の費用を負担してくださることになっています」
俺は彼女へ顔を向けた。
「まさか、レアはセラフィエルにも連絡してたのか?」
「昨夜からですね」
「……なるほど」
カリスタが長いため息をつく。
「これで、どうしてあんたのところに最後に来たのかわかっただろ?」
レアがすぐに抗議した。
「紬を最後の手段だなんて思ってないよ!」
俺は片手を上げた。
「わかった、わかった。招待状どおりに参加しよう。ただし、ご馳走してもらう分以外の追加注文については、値段も確認せずに無茶な量を頼まないこと。いいな?」
レアが拳を握った。
「了解!」
そうして彼女は席につくと、まるで数百万GCの契約を勝ち取ったかのような幸せそうな顔で、朝食を食べ始めた。
俺はセラフィエルを見た。
「ときどき、レアは戦闘と食べ物のどっちが好きなんだろうって思うよ」
セラフィエルが、少しだけ顔を近づけてくる。
「本当に、その答えをお知りになりたいですか?」
「……いや、やっぱりいい」
個人的な予定を楽しむ前に、俺たちには昨日の護衛契約を片づける仕事が残っていた。
アストレオン・ヴェロリアは引渡施設から離脱許可を受けた後、すでにナマリス・エクスチェンジ・ステーションへ帰還し、停泊している。
護衛対象だった3隻の商船も、それぞれ到着手続きと初期検査を終えていた。
ただし、C-128-ESの契約条件上、船が無事に目的地へ到着したというだけで、事務的にもすべて完了したことにはならない。
企業側による貨物の受領確認、航行報告との照合、そして支払条項の充足確認が、まだ必要だった。
ランは朝から、すべての書類を準備していた。
俺がセラフィエルと一緒に彼女の執務室へ入ると、さっそく3つのファイルを表示してくれた。
「紬、ナマリス・コンソリデーテッド・トレーダーズから最終報告書を受領しました」
「結果はどうだった?」
「メリディアン・ヴェイル、ソレリア・ウィンド、ハドリエン・ソルの全船が、引渡地点への到着と受入れを記録されています。貨物検査も完了しており、護衛事業者へ請求される損失はありません」
俺は微笑んだ。
「よし。じゃあ、これで契約を終了できるな」
「もう少しです。企業側の確認は得られていますが、完了を承認する前に、最終書類を傭兵協会の記録と照合しておきたいと思います」
「何か問題でも?」
「いいえ。取引が実行された後になって、金額や条件の相違が発覚するのを避けたいだけです」
セラフィエルが補助画面を開いた。
「アストレオン・ヴェロリアのシステムに保存された報告書は、すべて到着記録と一致しています。3隻とも受入施設へ到達するまで護衛対象として維持されていました。略奪船との交戦についても、正式な回線を通じて報告済みです」
俺は昨日の戦闘記録を短く再生してみた。
MCV-01が攻撃船の進路を横切るように機動し、その一方で、レアのモビルフレームがハドリエン・ソルへの接近艇の接舷を阻止している。
「カリスタの点検が終わった後、MCV-01の状態はどうだった?」
「追加点検は完了しています。次の運用を妨げるような構造上の損傷は見つかりませんでした。ただし、戦闘使用後の整備予定には、いくつかの部品が引き続き含まれています」
「よかった。レアも喜ぶだろうな」
ランが俺を見た。
「むしろ私は、初めての実戦運用が成功したからといって、すぐにあの子へ新しい戦闘契約を与えないでいただきたいのですが」
「そんなつもりはないよ」
「結構です。実は、支払いが完了したらお話ししたい提案がありますので」
少しだけ、声の調子が違って聞こえた。
俺は眉を上げた。
「提案って?」
「後ほどお話しします。今お伝えすると、書類の確認中に紬の集中力がなくなってしまうかもしれませんから」
「そう言われると、余計に気になるんだけど」
ランが微笑んだ。
「でしたら、まずはお仕事を終わらせましょう」
その朝、俺たちは再びナマリスの商業協会事務所を訪れた。
そろそろここの受付担当者にも、顔を覚えられる頃かもしれない。
そして、その予想は正しかった。
『おはようございます、星崎艦長。ヴァレスさん、ヴェロリアさん。本日はC-128-ESの完了手続きでしょうか?』
「はい」とランが答えた。「ナマリス・コンソリデーテッド・トレーダーズの担当者と、面談の予約をしております」
『先方の書類も受領済みです。それでは、第4精算室へお進みください』
受付の確認ゲートを通過した後、俺はセラフィエルへ顔を向けた。
「どうやら、ここでも少しずつ知られるようになってきたみたいだな」
「登録契約を遂行した後でしたら、ごく自然なことですよ、紬」
「アストレオン・ヴェロリアの大きさが理由じゃなければいいんだけど」
「それが第一印象にまったく影響していないとは、保証できませんね」
ランが小さく笑った。
「まだ私たちの艦を、普通の訪問船として扱ってほしいとお考えですか?」
「俺は静かな傭兵生活を送りたいだけなんだよ」
「全長8,600メートルの個人所有船で、ですか?」
俺は答えないことにした。
なぜか俺が質素な暮らしについて話すたびに、誰かが必ず艦の大きさを持ち出してくる。
精算室では、アルヴェン・リストが商業協会の検証担当者、ネリア・ヴァルコットとともに待っていた。
俺たちが入ると、アルヴェンはすぐに立ち上がった。
『星崎艦長。お越しいただきありがとうございます。3隻すべてから、最終報告書を受領しております』
俺は彼と握手を交わした。
「帰還後のハドリエン・ソルの状態はどうですか?」
『ヴォス船長によれば、主要システムは良好とのことです。交戦中の機動に伴う追加点検はいくつか必要ですが、船体にも貨物にも大きな損傷はありません』
「それはよかった。ほかの2隻は?」
『契約の完了を妨げる問題はありません』
ネリアが着席を促した。
『それでは、最終確認を始めましょう。9日目に合意された修正版の書類を、すべての当事者が使用していることから確認いたします』
ランがさっそくファイルを提出した。
「私たちも、その点を確認したいと思っておりました」
ネリアはいくつかの項目に目を通した後、概要を表示した。
CONTRACT C-128-ES — FINAL VERIFICATION
| 確認項目 | 結果 |
| ------------- | ---------- |
| Meridian Vale | 到着・受入れ完了 |
| Sorelia Wind | 到着・受入れ完了 |
| Hadrien Sol | 到着・受入れ完了 |
| 貨物検査 | 商業事業者側で完了 |
| 護衛編隊 | 引渡地点まで維持 |
| 不審な接触の報告 | 受理済み |
| 戦闘報告書 | 提出済み |
| 護衛事業者に対する損害請求 | なし |
| 基本報酬総額 | 360,000 GC |
ネリアが俺たちを見た。
『依頼主から、護衛義務が履行されたことを確認しております。基本報酬の精算について、異議はございません』
俺は頷いた。
「よかった。それで、予定時刻どおりの到着に対するボーナスは?」
先に答えたのはアルヴェンだった。
『3隻とも、契約日程に定められた到着条件を満たしています。すでにボーナスの承認推薦も提出済みです』
ランがすぐに人差し指を立てた。
「承認の推薦でしょうか。それとも、支払いの最終承認でしょうか?」
アルヴェンが瞬きをする。
『企業の事務部門で受領された、承認推薦です』
「でしたら、最終的な支払承認が発行されるまでは、基本報酬とは別の状態として扱ってください」
『もちろんです』
俺はランへ顔を向けた。
「本当に、1GCたりとも間違った欄へ入れさせないつもりだな?」
「それが私の仕事ですから」
ネリアがわずかに微笑んだ。
『その区分は、精算手続きにも合致しています。ボーナスは、すべての条件の検証が正式に承認された後に処理できます』
セラフィエルも会話に加わった。
「こちらでも、実際の支払通知を受領するまでは、条件付き債権としての状態を維持します」
ランは非常に満足そうだった。
俺は2人を交互に見た。
仮に銀河全体が事務処理の混乱に陥ったとしても、この2人なら、瓦礫の真ん中で整然とした財務報告書を作り上げてしまいそうな気がする。
しばらくして、俺の端末に取引確認通知が届いた。
MERCENARY ASSOCIATION — PAYMENT NOTICE
| 項目 | 状態 |
| ---------- | ---------- |
| 契約 | C-128-ES |
| 基本報酬総額 | 360,000 GC |
| 基本報酬の入金 | 確認済み |
| 予定時刻到着ボーナス | 最終的な支払承認待ち |
| 運用経費 | 別途記録 |
| 契約状況 | COMPLETED |
俺は入金証明を確認してから、ランにも伝えた。
「入金を確認したよ」
「こちらにも取引記録の写しが届いています」と彼女は答えた。「後ほど、運用経費、MCV-01の資源使用量、整備費、航行関連の支出を照合しておきます」
「わかった。まだ支払われていないボーナスは含めるなよ」
ランが微笑んだ。
「私より先におっしゃっていただけるとは、嬉しいですね」
「もう何度も聞かされてるからな」
「つまり、私の注意喚起が効果を発揮しているということです」
俺たちのやり取りを聞いていたアルヴェンが、小さく笑った。
『星崎艦長ほどの巨大な船を、どのように管理されているのか、少しわかってきた気がします』
俺は首を振った。
「大部分は、周りの人たちが俺に軽率なことをさせてくれないおかげですよ」
「悪いことではないでしょう?」とラン。
「悪いとは言ってないよ。ただ、少し怖いだけだ」
セラフィエルが優しく微笑んだ。
「すべて紬のためですよ」
俺は彼女の顔を見つめた。
「……うん。今ので、もっと怖く聞こえた」
事務所を出る前に、俺は昨日損傷させた略奪船に関する証拠パッケージを、ネリアに確認してもらうことにした。
セラフィエルは、センサー記録、攻撃船の通信データ、ハドリエン・ソルへ向けた接近航路、そして護衛義務を放棄することなく取得できた技術情報をまとめていた。
機動能力に障害を受けた船についても、交易航路当局へすでに報告してある。
俺は追加ファイルを開いた。
「昨日、MCV-01による迎撃で、攻撃船の1隻が損傷しました。船団を目的地まで護衛する必要があったため、追撃や拿捕作戦は行っていません。ただ、交戦記録は保存してあります」
ネリアはセラフィエルが表示したデータを確認した。
『拿捕に関する請求をご希望でしょうか?』
「いいえ。乗組員を拘束したわけではありませんし、実際に行っていないことを成果として申請するつもりもありません。この情報を、諜報報告や犯罪行為の証拠として受理してもらえるか確認したいんです」
『審査への提出は可能です。ただし、報告書が受理されたからといって、自動的に報酬が支払われるわけではありません』
ランがすぐに頷いた。
「その点は理解しております」
セラフィエルが、種類ごとに分けたファイルを表示した。
「接近艇がハドリエン・ソルの船体へ到達しようとした際の記録を含め、攻撃船の最終確認時の状態に関する情報もあります。各データの取得元と取得時刻は、すべて記録済みです」
ネリアはその映像を注意深く確認した。
『よく整理された記録ですね。事件審査部門と関係当局へ回付できます』
「サルベージの可能性については?」と俺は尋ねた。
『それについては、別途、法的な地位を判断する必要があります。対象物が盗難貨物であれば、正当な所有者への返還が必要です。また、証拠品として保全されている物品も、護衛事業者が直ちに請求できるわけではありません』
俺は頷いた。
「予想していたとおりですね」
『すでに当該船から何かを回収されていますか?』
「いいえ。護衛中の商船3隻を放置してまで、損傷船を解体しに行くつもりはありませんでしたから」
ネリアは、その答えを好意的に受け止めてくれたようだった。
『主契約の履行を維持するうえで、適切な判断だったと思います。審査完了後、追加請求の根拠が認められましたらお知らせします』
俺はセラフィエルへ顔を向けた。
「じゃあ、データ一式を提出してくれ。原本の写しは艦のアーカイブにも保存しておいてな」
「承知しました、紬」
ランが新しい記録を開いた。
「情報提供報酬の可能性――未確定。サルベージの可能性――法的地位の判定待ち。現時点では、いずれも収入として金額を計上しません」
俺は小さく微笑んだ。
「なんだか、俺が聞くまでもなかったな」
「もちろんです」
昼前にアストレオン・ヴェロリアへ戻ると、レアとカリスタは内部格納庫の1つにいた。
MCV-01は、すでに所定の収容施設へ戻されている。
自動整備ユニットが何機か船体外部を点検しており、エンジニアリング端末の近くには、昨日の運用履歴が投影されていた。
レアは両手を腰に当てて立っていた。
「紬! 報酬はどうだった?」
「契約は無事に終了したよ。基本報酬の360,000 GCも受け取った」
「おおっ! 戦利品のほうは?」
「まだ請求できるものはないな。略奪船のデータは傭兵協会へ提出してきたよ」
彼女の狐耳が少し垂れた。
「じゃあ、追加のお金はまだなんだ?」
「まだだな」
「残念……」
カリスタが、その肩を軽く叩いた。
「船を失わずに済んだし、大規模な修理が必要な損傷もない。そっちのほうが、よっぽど大事だろ?」
「わかってるよ」
俺はMCV-01へ近づき、その船体を見上げた。
「完全点検の結果はどうだった?」
カリスタがすぐに報告書を見せてくれた。
「深刻な構造損傷はなし。推進システム、射撃管制、モビルフレーム収容区画、通信装置は、全部作戦後の点検を通過したよ。次に使うときも監視しておきたい部品はいくつかあるけど、技術的な理由で運用を停止する必要はないね」
「よし。中型艦の指揮官として、レアの評価はどうだった?」
カリスタがレアを見た。
レアはすぐに背筋を伸ばした。
「私も聞きたい!」
「反応能力はいいね」とカリスタは答えた。「相手の航路変更を読み取れていたし、艦の操縦からモビルフレームの運用へ切り替える場面でも、集中を切らさなかった」
「えへへ!」
「ただし――」
「あっ、やっぱり『ただし』があるんだ!」
「艦のシステムが提示する選択肢を全部確認する前に、まだ自分の操縦技術だけで解決しようとすることが多いんだよ。戦闘艦を指揮するなら、クルーとの連携、電力管理、部品の損傷、それから自分が連れていくユニットの安全まで考えなきゃいけない」
レアはしばらく黙った。
そして頷いた。
「……わかった。もっと練習する」
俺は微笑んだ。
「じゃあ、これからは訓練予定に艦船指揮シミュレーションも追加できるな」
レアがぱっと顔を上げる。
「本当!?」
「もちろん。ただし、モビルフレームのパイロットを辞めるって意味じゃないぞ。2つとも役割が違うんだからな」
「わかってる! 私、両方できるようになりたい!」
隣に立っていたセラフィエルも口を開いた。
「レアとカリスタ向けに、合同訓練プログラムを構成できますよ。航法、ダメージコントロール、護衛ユニットと母艦の連携まで、段階的に組み込みましょう」
カリスタが微笑んだ。
「いいね。昨日は使わずに済んだ手順も、全部覚えてもらいたいところだ」
レアが俺を見た。
「紬……なんだか私、仕事が増えちゃったみたい」
「戦闘艦の指揮官になりたいって言ったのは、レアだろ?」
「そうだけど……」
俺はその肩を軽く叩いた。
「新しい役職、おめでとう」
セラフィエルが小さく笑った。
レアは誇らしさと諦めが入り混じったような顔で、俺たちを見つめていた。
昼食後、俺たちはグランドサロンに集まった。
ヴェスペラは航法報告書を持参し、ランは取引概要を表示している。カリスタは格納庫の点検を終え、すでに作業着から着替えていた。
俺はソファに身体を預けた。
「それで、急ぎの仕事は全部終わったのか?」
セラフィエルが答えた。
「C-128-ESについては護衛任務が完了し、基本報酬も受領済みです。ボーナスの事務手続きと、略奪船の情報に関する別件審査は残っていますが、今日中に新しい契約を受けなければならない事情はありません」
「よし」
ランが端末を閉じた。
「実は、その件について紬にお話ししたかったのです」
俺は彼女へ顔を向けた。
「ああ、今朝言ってた提案か?」
「はい」
ランはクルー全員を見渡してから、話を続けた。
「私たちはヴェルドラコンを出発して以来、いくつかの仕事をこなしてきました。技術者の輸送、調査船の捜索、略奪船との遭遇への対処、そして今回の商船3隻の護衛。いずれも経験と収入をもたらしてくれましたが、次の募集があるという理由だけで、契約を受け続ける必要はありません」
俺は眉を上げた。
「いつも真っ先に新しい仕事を探してくれるランが、今度は仕事をやめようって提案するのか?」
「一時的な休養です。すべての活動を停止するわけではありません」
「違いがあるのか?」
「もちろんです。お金の価値を理解している商人は、時間の価値も理解していなければなりません」
俺は小さく微笑んだ。
「なんだか、企業の事務所の壁に飾ってありそうな言葉だな」
ランは俺の感想を無視して続けた。
「アストレオン・ヴェロリアは、目についた契約をすべて引き受けなければならないほど、追い込まれているわけではありません。運用経費を管理する必要はありますが、高額な報酬を受け取ったからといって、すぐにそれ以上の報酬を追い求める義務が生じるわけでもありません」
ヴェスペラも同意するように頷いた。
「私も、数時間おきに商船の避難経路を確認しなくてもいい場所を、いくつか訪れてみたいですね」
カリスタが背もたれに身体を預けた。
「私も、次の出航予定に追われずに艦のシステムを点検する時間が欲しいね」
レアが手を上げた。
「私は美味しいものが食べたい!」
全員が彼女を見た。
「……何?」
俺は笑った。
「少なくとも、レアは一貫してるな」
ランが再び俺を見た。
「いかがでしょう、紬?」
俺は少し黙って考えた。
確かに、ヴェルドラコンを離れてから、俺たちはずっと動き続けていた。
別に、仕事を楽しんでいないわけじゃない。
むしろ、その逆だ。
いろいろな星系を訪れ、新しい人たちと出会い、契約を受け、銀河がどう動いているのかを知ること。
それは、俺が望んでいた生活の一部だった。
けれど、どこの寄港地でも次の仕事の打ち合わせばかりしていたら、結局は会社の予定表に追われ続ける生活と、大して変わらなくなってしまう。
俺はみんなを見た。
「賛成だ。数日くらい、のんびりする時間を取ろう」
レアがすぐに歓声を上げた。
「やったー!」
「ただし、量の多い料理があるレストランを見つけたからって、それだけで目的地を決めるなよ?」
「まだ何も言ってないよ!」
セラフィエルが微笑んだ。
「まずは、クルー全員の希望を聞いてみるのがよさそうですね」
その日の夕方、俺たちはエドリックからの招待に応じるため、グランド・エクスチェンジ地区へ向かった。
彼が選んだレストランは、ステーションの交通航路を見渡せる商業区域の一角にあった。
食事室の大きな窓からは、遠くを移動する輸送船の姿や、施設の構造物の間を行き交う旅客車両が見える。
俺たちが到着したときには、エドリックがハドリエン・ソルの乗組員数名とともに待っていた。
彼はすぐに立ち上がった。
『星崎艦長! ようやくいらっしゃいましたな!』
俺はその手を握った。
「お招きいただき、ありがとうございます。ヴォスさん」
『エドリックと呼んでください。今日は交渉室にいるわけではないんですから』
「それなら、そちらも俺のことは紬で構いませんよ」
『わかりました、紬!』
彼は笑ってから、ほかの乗組員たちを紹介してくれた。
その中には、ハドリエン・ソルの航法担当者であるリオラ・フェンと、昨日、同船の推進システムの監視を担当していた主任技師、ブラン・オルヴェクもいた。
リオラがレアを見つめた。
『あなたが、略奪船の接近艇が私たちの船に取りつくのを防いでくださったパイロットですか?』
レアが頷いた。
「そうだよ! レア・ヴァレンっていうの!」
『ありがとうございました。私は、あの接近艇が迫ってきたとき、航法室にいたんです。正直、もう船団から離れずに済む可能性はなくなったんじゃないかと思いました』
レアは頬を掻いた。
「私は、必要なことをしただけだよ」
ブランが笑った。
『あの攻撃船が発砲したときなんて、うちの艦長は椅子の肘掛けを思いっきり握りしめてましたからね』
エドリックがすぐに振り向いた。
『ブラン!』
『何です? 本当のことでしょう?』
『客人に全部話す必要はないだろう!』
俺は笑った。
「構いませんよ。俺だって商船を運んでいる最中に、誰かが無理やり積荷を奪おうとしてきたら、何かを握りしめてしまうかもしれませんから」
エドリックが勢いよく頷いた。
『ほら! そういうことです!』
カリスタが俺をちらりと見た。
「紬、あんたは危険な状況になると、むしろ妙にくつろいで見えるけどね」
「俺の艦長席は座り心地がいいんだ。それが助けになってる」
セラフィエルが微笑んだ。
「背もたれは、いつでも良好な状態を維持できるようにしておきますね」
「ありがとう、セラフィエル」
ランが片手で一瞬、顔を覆った。
「どうして戦闘の話が、椅子の品質についての議論になっているのでしょうか……」
その質問に、まともな答えを返せる者は誰もいなかった。
料理が運ばれ始めた。
レアは、さっそく新たな喜びを見つけたようだった。
「わあ……!」
彼女が注文したメインディッシュは、いくつかの付け合わせとともに、大きな皿に盛られていた。
まるで宝物でも発見したかのような目で、それを見つめている。
エドリックが笑った。
『中型艦のパイロットさんは、なかなかの食欲の持ち主だと伺っておりましてね。満足していただけるメニューを用意してもらったんですよ』
俺はセラフィエルへ顔を向けた。
「誰から聞いたんだろうな?」
セラフィエルが微笑んだ。
「主催者の方に、クルーの食事の好みを少しお伝えしただけですよ」
レアがすぐに両手の親指を立てた。
「ありがとう、セラフィエル!」
カリスタがため息をつく。
「どうやら、この2人は来る前から協力してたみたいだね」
俺は飲み物を手に取った。
「まあ、いいじゃないか。少なくとも今日は、略奪船の砲撃をどう避けるかなんて話をしなくて済むんだから」
ランが頷いた。
「今回ばかりは、全面的に同意します」
夕食の途中で、話題は再び昨日の航行へと移った。
エドリックは、ハドリエン・ソルが編隊変更に従っていたとき、通信障害を受けた状況について説明してくれた。
『あのとき、センサーではまだメリディアン・ヴェイルとソレリア・ウィンドを確認できていたんです。ですが、音声通信が途切れ始めましてね。その直後に略奪船が現れて、横から圧力をかけてきたわけです』
リオラが頷いた。
『ヴェスペラさんが早めに航路修正を送ってくださっていなければ、私たちはもっと難しい機動を強いられていたかもしれません』
ヴェスペラは礼儀正しく微笑んだ。
「私は3隻の能力に基づいて航路を計算しただけです。ハドリエン・ソルは巡航特性がほかの船と異なりますから、適切でない速度を強いたくなかったのです」
ブランが即座に頷いた。
『そこは本当に感謝しています。うちの機関は、好き勝手に酷使していい代物じゃありませんからね』
カリスタは、気の合う相手を見つけたようだった。
「ほらね。ようやくわかってる人がいたよ」
『あなたも技師なんですか?』
「カリスタ・フェロ。アストレオン・ヴェロリアのエンジニアリングを担当してるよ」
『それなら、昨日使用されていた中型艦について、少し聞いてみたいことがあります。戦闘ユニットとしては、ずいぶん滑らかな機動でしたから』
カリスタが微笑んだ。
「制御の考え方や一般的な運用手順くらいなら話せるよ。ただし、内部仕様を全部教えてもらえるとは思わないでおくれ」
『もちろんです。そんなことをお願いするつもりはありませんよ』
それから間もなく、2人は技術談義に夢中になってしまった。
俺はセラフィエルを見た。
「どうやら、カリスタにも新しい友達ができたみたいだな」
「ブランさんは、カリスタの専門分野にも十分な理解がありそうですね」
「よかったよ。ただ、食卓の上で機関の設計図を描き始めたりしなければいいんだけど……」
しばらくすると、ブランが小さな端末を取り出した。
カリスタはすぐに身を乗り出し、その画面を覗き込む。
俺はため息をついた。
「……遅かったか」
夕食が終わりに近づいた頃、エドリックがグラスを持ち上げた。
『紬、少しお話ししてもよろしいですかな?』
「もちろんです」
彼は、同席しているハドリエン・ソルの乗組員たちを見渡した。
『私は長いこと商船の船長を務めています。この仕事をしていると、とにかく早く契約を終わらせることしか考えていない護衛事業者に出会うこともあります。逆に、敵を追いかけるのに夢中になりすぎて、本来守るべき船のことを忘れてしまう者もいる』
俺は口を挟まず、話を聞いていた。
『昨日、皆さんはそのどちらでもありませんでした。略奪船がハドリエン・ソルを引き離そうとしたときも、私たちを船団と一緒に守り続けてくれた。それこそが、私たちにとって最も必要なことだったんです』
リオラも頷いた。
『本当に感謝しています』
エドリックが微笑んだ。
『ですから、紬とアストレオン・ヴェロリアのクルーの皆さんへ。私たちを無事に連れ戻してくださって、ありがとうございました』
俺たちはそれぞれのグラスを掲げた。
「こちらこそ。皆さんも指示にきちんと従ってくれましたから。通信が乱れたときに、どれか1隻でも独断で動いていたら、俺たちの仕事はずっと難しくなっていたはずです」
エドリックが笑った。
『では、全員がいい仕事をしたということで、意見は一致しましたな!』
グラス同士が軽く触れ合った。
その後、レアが俺へ顔を向けた。
「紬、もしまたこの人たちと会うことがあったら、次の護衛でもMCV-01を使っていい?」
「仕事の内容に合っていればな」
「えへへ!」
エドリックが眉を上げた。
『そういえば、あの中型艦にはまだ名前がないのですか?』
俺は首を横に振った。
「まだなんです。今のところは、内部コードのMCV-01を使っています」
『それはもったいない。昨日の活躍を見た限り、あの船には立派な名前が似合うと思いますよ』
俺は微笑んだ。
「そうですね。そのうち。せっかくなので、ちゃんと考えて決めたいと思っています」
レアが何か言いたげな顔をした。
だが、その前にカリスタが口を挟んだ。
「食べ物にしか関係のない名前を提案するんじゃないよ」
「まだ何も言ってないよ!」
再び、テーブルが笑い声で満たされた。
レストランを出る頃には、すっかり夜も更けていた。
グランド・エクスチェンジ地区は、仕事を終えたばかりの人々で、まだ賑わっている。
俺はセラフィエルとランと一緒に歩いていた。少し前方にはレアとヴェスペラがいる。
カリスタは、まだ端末で何か技術的な話を確認していたが、やがてそれも片づけた。
「紬」とランが呼んだ。
「ん?」
「今回の契約を終えて、どのように感じていますか?」
俺は光に満ちたステーションの通路を眺めた。
「結構満足してるよ。3隻とも無事に到着したし、仕事も終わった。それに、新しい友達もできたからな」
「支払いだけではない、ということですね?」
「もちろん、お金を受け取れるのは嬉しいよ。でも、数字を追いかけることだけが目的になったら、この旅で得られる何かが失われてしまう気がするんだ」
ランが微笑んだ。
「だからこそ、休養の時間を取ることを提案したのです」
「わかってるよ」
セラフィエルが少しだけ距離を詰めてきた。
「もう、訪れてみたい場所はお決まりですか?」
「まだだな。みんなの希望を聞いてみたい」
「でしたら、観光施設、アストレオン・ヴェロリアのドッキング条件、クルー全員の宿泊に必要な設備などを基準に、いくつか候補を用意できますよ」
「いいな。ホテルの部屋へ行くためだけに、施設をいくつも乗り継がなきゃいけないような場所は避けてくれよ」
ランが頷いた。
「私も、費用と予約規定が最初から明確な施設を希望します」
俺は笑った。
「休暇の話をしてるときまで、予算のことを考えてるんだな」
「休暇中こそ、気づかないうちに支出が膨らみやすいものですから」
「わかったよ、降参。財務計画はランに任せる」
「喜んで」
アストレオン・ヴェロリアへ戻ったとき、俺はてっきり、全員がそれぞれの部屋へ帰るものだと思っていた。
ところが、レアには別の計画があったらしい。
「紬! みんな! いいもの見つけた!」
端末を手に、彼女がグランドサロンへ駆け込んできた。
座ったばかりのカリスタが、すぐに顔を向けた。
「今度は何だい?」
「旅行パッケージ!」
「さっき夕食から帰ってきたばかりじゃないか」
「それは関係ないでしょ!」
俺は飲み物をテーブルへ置いた。
「わかったよ。見せてくれ」
レアがすぐに投影映像を起動した。
目の前に、青緑色の惑星が現れる。
その周囲には、観光施設、ビーチエリア、豪華なリゾート建築、ショッピングセンター、そして非常に広大なレクリエーション区域の画像が並んでいた。
PLANET OLYSSENE — TRAVEL PACKAGE
主要目的地:Veyrath's Lantern Resort
俺はその映像を眺めた。
「オリセーヌ?」
ヴェスペラがすぐに近づいてきた。
「ああ、この惑星でしたら、以前に観光地のカタログで情報を見たことがあります。有名なレクリエーション区域がいくつかあるようですね」
レアが勢いよく頷いた。
「見て! 訓練アリーナがあるの!」
彼女は最初の項目を指さした。
「施設がすっごく大きくて、レクリエーション用のプログラムも何種類かあるんだって。だから、ご飯を食べた後にちょっと身体を動かしたくなったら、ここで訓練できるんだよ!」
カリスタが目を細めた。
「今、訓練アリーナへ行くことを『ちょっと』って言ったのかい?」
「もちろん!」
レアはすぐに表示を切り替えた。
「それから、人工ビーチに、ショッピングセンターに、レストラン! あと、豪華な宿泊施設もあるよ!」
次の画像には、温かな光を受けてきらきらと輝く水面が映し出されていた。
その背後には、景色を一望できる広いテラスを備えたリゾート建築が並んでいる。
ヴェスペラはしばらく、その画面に見入っていた。
「綺麗な景色ですね。観測施設や、惑星周辺の観光区域も見てみたいです」
ランが追加情報を開いた。
「交通アクセスはどうなっていますか? アストレオン・ヴェロリアを、あまりにも離れた施設へ置いていかなければならないようでは困ります」
「ふふん! そこも調べてあるよ!」
レアがカタログの下部を指さした。
大型船の来訪に対応可能な施設情報とともに、軌道複合施設が表示された。
セラフィエルがすぐに公開情報の詳細を確認する。
「ヴェイラス・ランタン・リゾートには、惑星への訪問サービスと接続された軌道施設があります。ドッキング能力については、アストレオン・ヴェロリアの寸法をもとに正式な確認が必要ですが、事務上は大型船向けのサービスも提供されています」
俺はゆっくりと頷いた。
「つまり、リゾートに泊まるためだけに、艦を別の星系へ置いていく必要はないわけだな?」
「はい、紬。条件に合った施設の利用申請が可能です」
ランは価格情報と予約条件を拡大した。
「宿泊施設には、いくつかのカテゴリーがありますね。パッケージを選ぶ前に、総費用を比較しておきたいと思います」
レアがすぐに彼女へ顔を向けた。
「ラン、訓練アリーナを利用できないプランは選ばないでね!」
「まだ何も選んでいませんよ」
「でも、そこは重要なの!」
「希望条件の1つとして記録しておきます」
ヴェスペラも小さく手を上げた。
「でしたら、私は眺望がよくて、自然観光区域へもアクセスしやすい施設を希望します」
カリスタは少し考えた。
「私はビーチでも構わないよ。ただ、団体行動の予定を詰め込みすぎるのは勘弁してほしいね。ステーションの整備作業をしてるみたいな気分にならず、自由な時間を楽しみたいんだ」
俺はセラフィエルへ顔を向けた。
「セラフィエルはどうだ?」
彼女は柔らかく微笑んだ。
「私は紬と一緒に行きたいです。クルー全員で利用できるプライベートなレクリエーション施設があれば、きっと楽しいと思いますよ」
「簡単すぎる答えだな」
「ほかにも希望を追加したほうがよろしいですか?」
「いや。その答えでいいよ。俺は好きだ」
彼女の笑みが少しだけ深くなった。
続いてランが俺を見た。
「それで、紬。どうなさいますか?」
俺は再び、オリセーヌの投影映像へ目を向けた。
レアのための訓練アリーナ。
ヴェスペラが楽しめそうなビーチと美しい景色。
カリスタがのんびり過ごせる自由な時間。
みんなで楽しめる、さまざまな施設。
そして何より、数日間だけでも傭兵契約のことを考えずに過ごせる機会だ。
俺は微笑んだ。
「よし。オリセーヌへ行こう」
レアがすぐに両手を突き上げた。
「やったああああっ!」
「ただし」と俺は続けた。「仕事を探しに行くわけじゃないからな」
ランが満足そうに頷いた。
「休暇の予算を組み、軌道施設の空き状況を確認しておきます」
「セラフィエル、プランが決まったらランの予約手続きを手伝ってくれ。ヴェスペラは快適な航路を準備。カリスタは出航前に、予定されている残りの艦の点検を終わらせておいてくれ」
「了解しました、紬」
3人の返事は、ほとんど同時だった。
レアが近づいてきた。
「私は?」
俺は彼女を見た。
「レアは観光プランを選ぶのを手伝ってくれ」
「本当!?」
「ただし、条件が1つ。予定を訓練アリーナとレストランだけで埋め尽くすなよ」
「ええっ!?」
カリスタがすぐに笑った。
「もう手遅れだろうね。どうせ、一覧くらい作ってあるんじゃないかい?」
レアが顔をそむけた。
俺は、彼女がまだ手に持っている端末を見つめた。
「……レア?」
「いくつか候補を用意しただけだよ!」
「いくつ?」
「そんなに多くないってば!」
セラフィエルが、レアから共有されたカタログを確認した。
「紬、暫定リストには27件のアクティビティが登録されています」
俺は片手で顔を覆った。
「俺たち、数日間の休暇を取りたいだけなんだけど……」
ランが小さく笑った。
「どうやら今度は、商業契約ではなく、日程調整の交渉が必要になりそうですね」
俺は、今もゆっくりと回転を続けるオリセーヌの投影映像を見つめた。
なぜだろう。
アストレオン・ヴェロリアのクルー全員で休暇の予定を組むのは、商船3隻を護衛するより、ずっと複雑な仕事になるような予感がしてきた。
けれど、相変わらず目を輝かせているレアや、景色のいい場所を探し始めたヴェスペラ、こっそりリゾート施設の情報を確認しているカリスタ、すでに予算を組み始めているラン、そして隣で微笑むセラフィエルを見ていると……。
やっぱり、この決断は正しかったんだと思えた。
これから数日間、俺たちは新しい契約を追いかけなくていい。
この旅を、純粋に自分たちのための旅として楽しめるんだ。
「よし、みんな。次の目的地は決まったぞ」
俺はスクリーンの惑星を指さした。
「休暇に出かけよう!」
【次回・第132話】
「Olyssene への休暇」
オリセーヌへの休暇――アストレオン・ヴェロリアはナマリスを離れ、ヴェイラス・ランタン・リゾートの軌道施設へ向かう。ランは休暇の予算を準備し、レアは訓練アリーナ選びに夢中になる。一方、紬はクルー全員の自由時間を調整することにも、思いのほか難しさがあると気づき始める。




