【第109話】「帝国首都の小艦隊」
【第109話】「帝国首都の小艦隊」
ヴェルドラコン帝都 — 帝都外縁軌道複合施設 → アストレオン・ヴェロリア
光点は、まだ動いていた。
速くもない。
遅くもない。
むしろ、あまりにも規則正しい。
アストレオン・ヴェロリアのメインディスプレイ上で、先ほどまで単なるセンサー航跡の集合にしか見えなかった編成が、セラフィエルの分析システムによって一つずつ分離され始めていた。
大型艦が1隻。
数隻の随伴艦。
高い加速性能を持つ小型艇。
そして、民間船とは異なるパターンで移動する複数の物体。
紬はコマンドディスプレイの前に立ったまま、何も言わなかった。
その隣では、セラフィエルが帝都の軌道マップを拡大している。
カイラもまだそこにいる。
レア、ラン、ヴェスペラ、カリスタもコマンドデッキを離れていない。
誰一人、普段の仕事へ戻る必要を感じていなかった。
状況が変わりすぎている。
「セラフィエル、船種ごとに分けてくれ」
「処理しています」
マップが変化する。
重なっていたセンサー航跡が、それぞれ仮の識別情報を持ち始めた。
長距離編成分析
検出編成: 1
推定構成
護衛巡洋艦 — 4
攻撃艇 — 11
電子戦艇 — 3
モビルフレーム母艦/展開ユニット — 2
追加支援艇 — 5
推定総数: 25ユニット
編成完全性: 94.7%
指揮同期率: 91.8%
民間交通類似度: 7.3%
軍用編成類似度: 88.6%
現在の進行方向: 帝都
推定到着時間: 17分40秒 ~ 22分15秒
意図: 不明
レアが近づく。
「25ユニット……ただ通過するだけなら、多すぎますよね」
ヴェスペラが航跡パターンを確認する。
「それに、主要商業航路を使っていません。単なる通過が目的なら、スペース・トラフィック・コントロールを通じて軌道スロットを申請するはずです。この編成は、むしろ民間航路から距離を取っています」
ランがいくつかのデータを自分の画面へ移す。
「ドッキング申請なし。これだけの規模に見合う貨物申告もありません。初期通信パターンも、極端に限定されています」
カリスタが眉を寄せる。
「つまり、見つからないように近づいてるってこと?」
セラフィエルが口を開くより先に、カイラが答えた。
「見つからないように、ではありません。自分たちが望む位置についた後で、見せるつもりなのです」
紬が彼女を見る。
カイラがマップを指す。
「各ユニットの間隔を見てください。護衛巡洋艦は後方。攻撃艇は前方に近い位置。電子戦艇は最前列ではなく、左右へ少しずつ展開しています。大規模な軍事目標を攻撃するための編成ではありません」
「なら、何のためだ?」
「行動範囲を制御するための回廊を形成しています」
紬は再び画面を見る。
「つまり、誰かを連れ去りに来た」
カイラはすぐには答えなかった。
だが、その視線だけで十分だった。
「可能性が最も高いのは、公爵家です」
セラフィエルが分析を更新する。
「編成の進行方向と、公爵家保護区域との間に相関関係を確認しました。ただし、主要標的が公爵家の居住区域なのか、特定個人なのかまでは、まだ確定できません」
紬が息を吐く。
「オーレリアか」
その名前が、自然に口から出た。
カイラが紬を見る。
「はい」
コマンドデッキが再び静まり返る。
紬自身、答えは分かっていた。
AURELIS SERENAが発見されて以来。
護衛の構成が変わって以来。
オーレリアの航路が変更されて以来。
最初の襲撃以来。
すべてが一つの方向へ動いている。
それでも今まで、紬には関わらないための理由があった。
自分は公爵家の一員ではない。
帝国の役人でもない。
ヴェルドラコンの兵士でもない。
ただ、死にかけていた少女を偶然旅客船の中で見つけ、彼女を家まで送り届けた独立系宇宙傭兵にすぎない。
自分の仕事は終わった。
本来なら、ここで終わるはずだった。
それなのに今は、武装した25ユニットが帝都へ向かっている。
そして、自分の船は封鎖のせいで出られない。
紬は長く息を吐いた。
「俺が黙っていれば、連中が終わるまで待てる。俺が出ようとしても、出航回廊が開くまで待つしかない。手を貸せば、また公爵家の問題に巻き込まれる」
レアが腕を組む。
「どれを一番選びたいかと聞かれたら、答えはもう分かっている気がします、船長」
紬が横目で見る。
「俺は出たい」
「でしょうね」
レアが薄く笑う。
「でも、3つ目の選択肢を、それほど悪くないものにする方法が一つあります」
紬が問い返すより早く、セラフィエルが片手を上げた。
「優先通信を受信しました」
紬の前の画面がすぐに切り替わる。
傭兵協会・帝都支部のロゴが表示された。
紬がすぐに眉をひそめる。
「ギルド?」
「はい。帝都傭兵ギルドからの通信です。送信者の本人確認は完了しています。偽装の兆候もありません」
カイラが画面を見る。
「現地の傭兵ギルド?」
「その通りです、カイラさん」
セラフィエルが通信を開く。
帝都傭兵ギルド
優先契約通知
契約種別: 民間人保護/緊急防衛
作戦区域: 帝都市民軌道区域
脅威レベル: 引き上げ
任務: 武装した敵対勢力から民間船舶および民間軌道インフラを保護すること
契約状態: 受注可能
必要資格: 登録済み傭兵
政治的所属: 不要
完了報酬: 500,000 GC
ランク昇格: 成功時 +2ランク
現在の傭兵ランク: E
昇格後のランク: C
交戦規定:
民間人保護を最優先
不要な交戦は禁止
無許可の政治介入は禁止
民間インフラの破壊は禁止
紬は最後の行まで読む。
そして、報酬の部分へ視線を戻した。
500,000 GC。
ランクEからランクC。
単なる金銭ではない。
傭兵にとって、2段階のランク上昇は、受注できる契約そのものが変わることを意味する。
活動可能な範囲。
信用。
組織からの信頼。
そして、これから受ける仕事の種類まで。
だが、紬はすぐには受諾しなかった。
むしろ、別の項目を見つめる。
政治的所属:不要
そこが気になった。
「セラフィエル、これは正式な民間人保護契約なのか。それとも、帝都保安局の作戦に俺たちを組み込もうとしてるのか?」
「行政条項を確認しました。この契約は傭兵協会から発行されたもので、帝国政府からの直接契約ではありません。依頼主は傭兵協会を契約窓口として使用しています。アストレオン・ヴェロリアの法的地位は『高級私有宇宙船』のまま。紬の身分も『独立系宇宙傭兵』のままです。軍への従属条項も、公爵家への従属条項もありません」
紬はもう一度読む。
「責任は、民間船と軌道施設の保護だけか?」
「その通りです」
「連中を追うんじゃない?」
「ありません」
「誰かの邸宅を攻撃するわけでもない?」
「ありません」
「オーレリアを別の場所へ運ぶことも?」
「そのような条項はありません」
紬は黙った。
カイラがその表情を見る。
「キャプテン・ホシザキ。もしその契約を受ければ、法的な立場はより明確になります。公爵家を助けるのではありません。民間人を保護するために、傭兵として仕事をするだけです」
「分かってる」
紬はコマンドシートへ体を預ける。
「そこが違う」
カイラが小さく頷く。
「私も、そのように考えます」
レアが、さらに興奮した様子で画面を指す。
「それにランクが2段階上がります。EからCですよ。船長が受けるなら、かなり大きな契約です」
ランが、レアが先へ行きすぎる前に口を挟む。
「500,000 GCも、端金とは言えません。ただ、私がより気になるのは行政上の効果です。Cランクになれば、受注できる契約の種類が広がります」
カリスタが肩をすくめる。
「ここを出た後も傭兵生活を続けるつもりなら、悪くない話ね」
ヴェスペラがマップを見る。
「問題は、まだここから出られていないことです」
紬が彼女を見る。
「その通りだ」
ヴェスペラが軌道経路を指す。
「それに武装ユニットが25。こちらへ接近中です。民間区域に侵入されたら、選んでいる時間はそれほど残らないでしょう」
セラフィエルが新しいデータを表示する。
民間交通 — 帝都外縁軌道
旅客船 — 317
商業輸送船 — 428
私有船 — 1,126
貨物船 — 783
サービス艇 — 594
影響対象軌道区域の推定民間人口
1,840,000+
敵対編成が区域へ侵入した場合の民間交通への予測影響
高
紬はその数字を読む。
1,840,000。
もう抽象的な数字ではない。
人だ。
移動している人々。
家へ帰ろうとしている人。
商品を運ぶ商人。
惑星へ降りようとしている家族。
武装した船が自分たちへ向かっていることすら知らない子供たち。
紬は、しばらく黙っていた。
レアが表情の変化に気づく。
「船長」
紬は画面を見たまま答える。
「分かってる」
「まだ何も言ってませんよ」
「でも、お前が何を言いたいのかは分かってる」
レアが笑う。
「それなら、言わなくてもいいですね」
紬はようやく全員を見る。
「俺は貴族の権力争いを手伝うつもりはない。あいつらが勝手に争うなら、それはあいつらの問題だ。誰が正しいかだって、声が大きい方だけを理由に決めるつもりはない」
カイラは口を挟まずに聞いている。
紬は続ける。
「でも民間船は別だ。あいつらは、この争いの真ん中にいたいわけじゃない。ただ、誰かが武器を持ってここへ来たとき、たまたま帝都にいただけだ。俺に、それを被害者にさせない方法があるなら、やる」
セラフィエルが再び契約を表示する。
「では、紬?」
紬は500,000 GCを見る。
次に、"E → C"を見る。
そしてマップへ視線を移す。
敵対編成は、さらに接近している。
「契約を受ける」
セラフィエルが微笑む。
「受諾を送信します」
光の指が空中を走る。
傭兵契約
契約受諾: 確認済み
操作者: 星崎紬
現在ランク: E
契約必要ランク: E
任務: 民間人保護
報酬: 500,000 GC
ランク昇格: 完了時 +2
昇格後ランク: C
政治的所属: なし
帝国軍指揮権: なし
公爵家指揮権: なし
交戦規定: 有効
数秒後、システムが確認を出した。
契約有効化。
紬が背もたれへ体を預ける。
「少なくとも、これで黙って見ている必要はなくなった」
カイラが紬を見る。
「そして契約が完了すれば、Cランクへ昇格する」
「そうだな」
「傭兵協会におけるあなたの立場も変わります」
「分かってる」
紬はマップを指した。
「でも勘違いするな。報酬目当てで受けたわけじゃない」
ランが薄く笑う。
「もちろんです、キャプテン。ただし、500,000 GCが正式な契約収入として入ることは記録しておきます」
紬がランを見る。
「記録しろ。記録するなとは言ってない」
レアが笑う。
「ほら、やっぱり私の知っている船長です」
カリスタが椅子を回してコンソールへ戻る。
「じゃあ、立ってるだけじゃなくて動こう。船を主目標にしない範囲で、どの防御システムが使えるか確認したい」
紬が立ち上がる。
「セラフィエル、防御システムは維持。コンバットモードはまだ起動するな」
セラフィエルが紬を見る。
「承知しました」
「最優先は民間船。次に避難経路。その次が軌道施設だ。武器を持って来たからって、無差別に撃つな」
カイラが頷く。
「私はモビルフレームへ戻ります」
紬が彼女を見る。
「カイラ」
ドラゴンキンが足を止める。
「はい、紬さん?」
「追いすぎるな。撤退するなら放っておけ。別の区域まで追跡するのが俺たちの仕事じゃない」
「承知しました。指定区域の防衛に専念します」
レアがすぐに前へ出る。
「それなら私も行きます。ヴァルキリーはまだ準備できています。あいつらがユニット数で上回っているからって、民間船に近づけさせるつもりはありません」
紬が彼女を見る。
「契約の範囲を守れ。戦いが面白そうだからって、勝手に追いかけるな」
レアが少しだけ無邪気すぎる笑顔を浮かべる。
「できる限り頑張ります、船長。ただ、戦いそのものを楽しむなと言われても、それだけは約束できません」
「目的だけは忘れるな」
「覚えています。民間人を守る。敵を狩るんじゃない」
ヴェスペラが航法経路を開く。
「避難用経路を計算しました。まだ十分な余裕のある回廊が3本あります。電子戦によって航法が妨害され始めた場合、小型船を副経路へ誘導できます」
紬が頷く。
「やれ。主要経路が混雑するまで待つな」
ランがすぐに続ける。
「私は港湾と商業船の状態を監視します。民間事業者が通信を失った場合、混乱が発生する前に把握したいです」
カリスタが技術データを切り替える。
「私は防御システムを最小構成に維持する。ただし、必要になった瞬間に迅速に引き上げられるようにしておく。設定変更のせいで防御に空白が生じるのは避けたい」
紬は一人ずつを見る。
もう全員が動いている。
何度も指示する必要などない。
それこそが、アストレオン・ヴェロリアをこれまで見てきたどんな船とも違うものにしていた。
追加の人間クルーはいない。
数十人のオペレーターで埋め尽くされた指揮室もない。
いるのは彼らだけ。
そしてセラフィエル。
それ以外は、船のシステムが担っている。
セラフィエルが最新データを表示する。
「紬。敵対編成が外縁保安境界へ侵入しました」
画面が変わる。
敵対編成
距離 — 2,180,000 km
接近速度 — 18,400 km/s
推定到着時間 — 1分58秒
護衛巡洋艦 — 4
攻撃艇 — 11
電子戦艇 — 3
モビルフレーム・ユニット — 2展開グループ
支援艇 — 5
通信状態
識別要求 — なし
民間交通要求 — なし
ドッキング要求 — なし
軍事認証 — 検出なし
兵装準備状態
検出 — 高
カイラが立ち上がる。
「許可を求めずに入ってきた」
ヴェスペラが進行経路を見る。
「それでも編成を維持しています。停止するつもりはなさそうです」
セラフィエルがセンサーを切り替える。
「複数ユニットに変化を確認しました」
紬が顔を上げる。
「何だ?」
「攻撃艇が主編成から離れ始めています」
小さな点が分離していく。
1。
2。
4。
6。
さらに増える。
それぞれが広がっていく。
公爵家の居住区域へ向かっているわけではない。
帝都中心部へ直接向かっているわけでもない。
むしろ、民間船で埋め尽くされた航路へ向かっている。
レアが声を強める。
「民間航路を横切るつもりです」
紬がマップを見る。
「セラフィエル、移動予測を出してくれ」
迎撃予測
民間回廊A — 31秒
民間回廊B — 46秒
民間回廊C — 1分12秒
迎撃区域内の予測民間船舶数
回廊A — 38隻
回廊B — 71隻
回廊C — 114隻
避難能力
現在 — 63%
自動再経路設定時 — 91%
紬は即座に決断した。
「ヴェスペラ、回廊AとBを再経路設定。大型船を狭い航路へ無理に入れるな。旅客船と医療船を優先しろ」
「承知しました。すぐに実行します」
「ラン、民間ネットワークを通じて警告を送れ。敵対艦隊だとは、まだ確認できていない以上、言うな。緊急交通制限が発生していると伝えて、代替経路へ誘導しろ」
「了解しました、紬。公式チャンネルを使用して、パニックを起こさないようにします」
「カリスタ、ポイントディフェンスを準備。ただし、直接的な脅威が確認されるまでは撃つな」
カリスタが薄く笑う。
「それなら納得できる命令ね」
紬は続けてレアとカイラを見る。
「2人とも準備。自分の区域を守れ。互いの意地を守るんじゃない。民間航路へ侵入しようとするユニットがいたら止めろ。撤退したら追うな」
カイラが力強く答える。
「承知しました、キャプテン・ホシザキ。可能な限り民間交通から引き離します」
レアがヘルメットを被る。
「ヴァルキリー、準備完了。今回は保護区域の外まで誰も追いかけません」
紬は再びコマンドシートへ戻る。
正面の画面には、帝都が光の海のように映っていた。
数百万の命が、ステーション、旅客船、商業輸送船、軌道施設の間を移動している。
そして、その中へ――
25の武装ユニットが侵入してくる。
セラフィエルが紬の隣に立つ。
「紬」
「何だ?」
「傭兵協会の契約によって、あなたの作戦行動ステータスが有効化されました。任務が規定通り完了した場合、評価後に2ランクの昇格処理が自動的に行われます」
紬は画面を見つめる。
「ランクのことは後でいい。今は民間人を一人も死なせないことを優先しろ」
「承知しました」
セラフィエルが再びマップを拡大する。
攻撃艇の1隻が保安境界を越える。
続いて2隻目。
そして前方の編成全体が速度を上げる。
警報が鳴った。
戦闘警報ではない。
民間船衝突警告。
紬が立ち上がる。
「セラフィエル」
「はい、紬?」
紬の視線は、画面を埋め始めた赤い点へ向けられている。
「防御を開始しろ」
セラフィエルが片手を上げる。
アストレオン・ヴェロリアのシステムが応答した。
全出力ではない。
まだだ。
必要な防御だけ。
任された区域を守るために必要な防御だけだった。
傭兵防衛作戦
契約: 民間人保護
状態: 稼働中
第一目標: 民間人の生存
第二目標: 軌道インフラの保護
第三目標: 敵対勢力の迎撃
アストレオン・ヴェロリア
防御シールド — 待機 → 稼働
ポイントディフェンス — 待機 → 稼働
ドローン防衛 — 待機 → 稼働
電子対抗手段 — 待機 → 稼働
コンバットモード: OFF
紬は最後の文字を見る。
コンバットモードは、まだ切ったままだ。
それで十分だった。
今は。
コマンドデッキの窓の外では、帝都の光が人工の星々のように流れ続けている。
そして――
前方の遠くで、小さな爆発が起きた。
アストレオン・ヴェロリアの近くではない。
1隻の攻撃艇が、航路から抜けられなかった民間船へ向けて、攻撃を開始したのだ。
アストレオン・ヴェロリアのポイントディフェンスが即座に反応する。
最初の閃光が、暗い宇宙を切り裂いた。
セラフィエルが静かな声で告げる。
「目標を迎撃。民間船は健全な状態を維持しています」
紬は答えなかった。
ただ画面を見つめていた。
1隻が救われた。
続いて2隻目が危険区域へ入る。
そして3隻目。
敵対編成は、なおも接近してくる。
そして帝都へ到着して以来、初めて紬は、どうすればここから出られるのかを考えなくなった。
今は――
自分には、やるべき仕事がある。
【次回 第110話 — 「セラフィエル、コンバットモード」】
「セラフィエル、コンバットモード」
帝都への攻撃は、次の段階へ入る。
通常防御だけでは、広範囲に存在する民間区域を同時に守ることが難しくなり始めていた。レアとカイラは再びモビルフレームで動き始め、セラフィエルはアストレオン・ヴェロリアの防御手段を計算し続ける。
紬は、あくまで明確な境界線を示す。
民間人を守る。
必要以上に破壊しない。
そして、紬はついに、Volume 4に入ってから一度も口にしていなかった命令を告げる。
「セラフィエル」
そして初めて、アストレオン・アストラリス・システムが目を覚まし始める。
【第110話へ続く……】




