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ep:5.5

数分前

「ダメですよ!師匠!盗みはダメです!」

「ちょっと借りるだけじゃそれに見ろ!」

どうじゃと見せつけた紙には釣竿の様な物と、身の丈程の大きな魚を担ぎ満面の笑みを浮かべる恵比寿様が描かれている。

「ご利益がありそう!じゃなくて、また店主さんに破かれますよ!」

「なんとかなるじゃろ!さて…。」

「きゃああ!」

「抵抗する者は殺せ!」

倒れ込む民間人へ帝国の凶弾が襲いかかるその時。

「うわぁ!」

北斎達の後方から攻撃魔法が民間人を救う

「民を城へ!北斎様、エレンも急いで!」

先程まで北斎達を監視していた兵が負傷した民間人を担ぎ城内医務室へと誘導する。

「…。」

医務室に着いてからのエレンは塞ぎ込む様に静かになる。

「…よし!お主はここで待ってろ!俺ぁちょっと外の様子を観てくる!」

まるで、遊びに出掛けるかのように北斎は医務室を出た。

「あ…。」

エレンは動けずに居た。

どこか他人事の様だった戦争が今目の前で。

人の命が目の前で終える光景が、流血が、エレンを硬直させた。

「そこに居るのはエレンか?」

頭部から目まで包帯で巻かれた重傷の兵が声をかける。

「副団長?」

聞き覚えがある声だ。

「北斎様は?」

「今程…外に…。」

「…。あの方は優しい方だ。きっと君を戦地から遠ざけたのだろう。」

「…。」

「団長も恐らく同じ事をしただろうな。」

「お~い紙!」

「お~い炭が折れたぞ!」

「厠はどこだ?」

「め、飯ぃ〜…」

「おい!えれん!」

北斎とのやり取りを走馬灯の様に思い出すが無性に腹がたってきた!そして、

(北斎様の事、頼みましたよ。)

オーレイの言葉で吹っ切れた。

「あの人を守らなきゃ!」

医務室を駆け出すエレン。

「やれやれ、師弟揃って世話が焼ける。」

フッと軽口を叩きスゥっと眠りにつく。彼もまたオーレイからエレンを頼まれていたのだ。

北斎が向かう場所など十中八九筆屋に違いないと思い一直線に走った、そして。

「見つけた!」

眼前には身の丈程の筆を担ぐ北斎、それはもう屈託のない笑顔であった。

「師匠!」

「げっ!もう来たのか!?」

「普段ならお説教!ですが、状況を打破できるんですね!?」

「へへっ、まぁ、とくと御覧じろってやつだ!」

身の丈の筆を携え、壁へ。

先程までの喧騒が嘘の様に静かに、空は暗く、北斎とエレン以外の周りの周囲から色が無くなった様な。

一筆、一筆、と込める毎に命が宿る。

壁一面に描きたるは一頭のグリフィン。

「さぁ、御覧あれぇい!」

すると、描かれた壁からグリフィンが音を鳴らして出てくる。

その風格は、聞き及ぶ伝聞よりも逞しく勇ましいまさに、威風堂々。

「えぇ〜ッ!!」

「我ながら良い出来だ!」

北斎は腰を曲げ瓦礫の中からオーレイの槍をエレンへ。

「それと、お前ぇさんにはこれを。」

「えぇーッ!?私の手に馴染むの何でーッ!?」

「そりゃあお前ぇさん様に拵えたからよ。数日も一緒に居らぁ採寸せんでもわかるわい!」

カカッと笑う北斎と未だ呆気にとられているエレン達の横で瓦礫が崩れる

「…。こいつぁ…敵さんの玉が当たっちまったって事にしよう。」

「…ですね…。」

「さぁて…。」

上着を襷掛け気合を入れる北斎。

槍を握りしめるエレン。

2人に負けじと咆哮を挙げるグリフィン。

「奴さん方に絶景でも拝ませてやろう!」

「はいっ!」


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