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ep:5

「第3、第4騎士団!陣を展開!魔法特務隊は騎士達の援護を!いいか!一兵たりとも城内へ入らせるな!」

マーリンの怒号に騎士達が呼応する。

「うぅ〜ん…。あのメスゴリラがいないというのにやりよるな。」

特徴的な顎髭をなぞりながら戦場を見つめ愚痴をこぼすこの男は、帝国軍大佐バスク・メイヤード。

「軍曹!」

「はっ!」

「ゲブィッターの首尾はどうなっている!?」

「はっ!技師が早急に見ております!もう少しでまた動かせせます!」

「頼むぞ〜俺等の命運がかかってんだ!」

「はっ!」

「もし壊したり、作戦そのものをおじゃんにしてみろ…あの総統の事だ死刑が生温く思える罰が待っているに違いない…。」

「…。」

「ま、そん時ぁ北の国にでもトンズラすっかな!ガッハッハッハ!」

召喚魔法。

攻撃魔法。

治癒魔法。

マーリンと部下4名がそれぞれの詠唱を唱え、前線の騎士達の援護を行いながら一瞬も隙を見せず士気をとるマーリン。

しかし、

(数は問題では無い、やはり対魔法装置との相性が悪すぎる…。)

バァン!

一発の銃声がマーリンを貫く。

「隊長!」

倒れ込むマーリン。

「大丈夫だ…肩にかすっただけだ!」

即座に起き上がり体制を整える、だが帝国軍が一斉に引き始めた。

「またあの、鉄の箱か!」

地鳴りが徐々に近づいてくる。

ドォォン!

轟音と共に城壁が崩れる、味方の負傷もわからない。

「突撃ぃ!」

号令と共に一斉に雪崩込む。

しかし、

巨大な竜巻が雪崩込んだ兵士を城壁から掃き出した。

「え!?」

煌めく羽根。

焦点が合う瞳。

筋骨隆々な獅子の半身。

あの日観た記憶から飛び出てきたような錯覚。

グリフィンが崩れた城壁からゆっくりと顔をだし咆哮を挙げた!

「ほ、北斎様!?」

(まさか…あの絵が!?)

「おぉ!やはりおった!」

一瞬の事であっけにとられていたマーリンの背後を兵士が襲う!

「ぐわ!」

「マーリン隊長!ご無事ですか!?」

瞬時に敵を切り伏せる。

「エレン…!?」

その姿はオーレイと見間違えるほどだった。

「その槍はオーレイの…!?」

「師匠が!詳しい説明は後で…師匠!」

エレンが指差す方向、次弾の装填準備中の戦車

「北斎様!あれは、水が弱点だ!」

「了解した。」

グリフィンの背に飛び乗り空高く舞い上がる。

尚も空を見上げ

右手で空をなぞり

全てを1枚の構図へ、

特大の筆を掲げ思わず笑みがこぼれる。

「やはり手に馴染む…さぁ、絶景を御覧じろ!」

空一面に墨が走る。

波頭は鋭い爪の様に砕け。

青龍王国の空が、1枚の浮世絵へと変わる。

「富嶽三十六景、神奈川沖波裏!」

天を覆う波が帝国軍へ落ちる。

洗い流される自軍の兵士をただ見つめるバスク。

「何が起こった?なんだあの爺、筆?絵を描いて波が?はぁ?」

「た、大佐…。」

「撤退だ!なんなんだあの爺!くそ!おい!後で必ずゲブィッターを回収させろ!」

「ぷはっ!陸で溺れ死ぬ!」

「投降すれば命は助けます!」

戦車からなんとか這い上がって来た兵士に切っ先を向けるエレン。

「うわっはっはっは!絶景じゃあ!」

森林の中。

「くそ!くそくそくそくそ!あんのクソ爺!」

「大佐、オーレイです!」

「なに!クソ息掛けの駄賃だ!てめぇの首だけでも…」

一筋の閃光が走り、バスクの首が宙を舞う。

(速すぎて見えなかった…。)

はるか先だと思っていた姿は部隊の前に舞った首を掲げ言う。

「聴け!貴公等の将はこのオーレイが討ち取った!大人しく投降するか去るか!この場で決めよ!」

波は静まり、グリフィンは静かに降り立つ。

グリフィンの首元に手をあて、

「ようやく描けた。」

「師匠〜!」駆け寄るエレン。

こうして青龍王国と朱雀帝国の戦争は青龍王国の勝利で幕を閉じる。

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