ep:13
北斎は虚空を見つめ続けながらも何かを描いている。
目を離さないのでは無い。
一瞬の間に距離を詰めてくる。
今にもその爪が、嘴が襲いくるのが解って離せない。
捉えたつもりでいたしかし、捉えられていたのは北斎も一緒だ。
「上等。」
後、一筆で絵が完成するところで一瞬目を離した。
ザワザワ…木々が揺らめく。
「…!?来た!」
ゲルドが全容を捉える頃にはグリフィンはもう目の前にいた!
「でか!?」
グリフィンの咆哮が腹の底にまで響く。
「北斎!」
しかし、北斎の耳に届かず。
全集中を一筆に込める。
北斎の周りの色が無くなり、光が放たれる。
一瞬、光で目がくらむグリフィンとゲルド。
「さぁ…お手並み拝見!いでよ!唐獅子!」
ワッと紙面から浮き出る巨大な唐獅子!
ドォン!
凄まじい衝撃音が二人を、村を突き抜ける。
唐獅子が雄叫びを挙げ、グリフィンもそれに呼応する!
「カカッ!豪快!まさに、怪獣百景!」
互いの攻撃が交わされ一進一退の攻防を繰り広げられる。
樹木はなぎ倒され、強風吹き荒れる。
地面は激しく揺れ、あらゆる資材が飛んでいく。
まさに暴風雨の中心地。
「凄…。」
思わず本音が漏れるゲルドに北斎は笑いかける。
「な!?凄いじゃろ!」
唐獅子の攻撃をヒラリと躱しそのまま空中へと逃げるグリフィン。
「やはり、そう来たか!ならば…」
紙に筆を走らせ描くは大きな翼、それを。
「駄目押し!鳳凰の翼!」
唐獅子にピシャリと紙を貼り付け、翼が顕現した。
だが、ジタバタするだけで何も起きない。
「何!?」
驚く北斎。
それもそのはず、唐獅子は唐獅子。
翼が生えたところで飛べるはずも無く。
ジタバタと身体に映えた違和感を取ろうと必死にもがく。
「…。」
ジッと北斎を見つめるゲルドに気まずさから頭を搔いてごまかす北斎。
この好機をグリフィンが見逃す訳もなく。
唐獅子はグリフィンの狂爪に倒れ泡沫の様に消えた。
そして、北斎目掛けて一直線に飛んでくる!
「逃げろ!」
全速力で走るゲルドと北斎。
「いや〜…いける!と思ったんじゃがな?ダメだった!」
「呑気!」
その時、ようやく念話に気付く。
「ゲルド?大丈夫?」
グェンだ。
「今!」
「今?」
「逃げてる!」
「えぇ?ともかくこちらに来れる?」
「向かってる!」
「おい!えれんは居るか!?」
「!?はい!師匠!」
「た、助けてくれ!」
「グェンさん!」
「エレン嬢は旦那の援護に!」
「はい!」
土煙だけを残して瞬く間に飛び出すエレン。
「速っ!ギンちゃん!」
「あいよ!しっかりふん縛っておいた!」
「仕事が早くて助かる!あたい等はここを死守するよ!」
グリフィン戦、2回戦突入!




